この記事では、筆者が男性目線で育休のお得な取り方を解説していきます。
長期で取得するか、短期で取得するかにもよりますが、結論、「月末に取得する」ことが
最も育休をお得に活用できます。
育児のサポートが大前提ですが、せっかく取得するなら、金銭的なメリットもあると嬉しいですよね。
実際に育休を取得したことで、数十万円も得した私が、実例を交えてご紹介していきます。
ぜひ、最後までご覧になってください。
育休とは?
まずは、「そもそも育休とは何か?」を理解することから始めましょう。
育児休業制度について
「育児休業とは、原則1歳未満のこどもを養育するための休業で、育児・介護休業法という法律に定められています。」
(引用:育児・介護休業法改正のポイント|厚生労働省 (mhlw.go.jp))
つまり、お子さんが生まれたら、「養育(子育て)するために仕事を休んでよい」ということが法律で定められているのです。
そのため、仮にお勤めの会社の就業規則に育休の規定が無くても、法律に基づき取得することができるようになっています。
次に、育休と産休の違いが正直よくわからないという疑問について解説していきます。
育休と産休の違い
産休とは、産前休業と産後休業のことを指し、こちらは労働基準法で定められています。
産前休業は出産予定日の6週間前(双子以上の場合は14週間前)から取得できます。
一方、産後休業は出産の翌日から8週間は就業できない(産後6週間以降、本人が請求し、医師が認めた場合は就業可能)という決まりになっています。
(参考:厚生労働省「あなたも取れる!産休&育休」2014728155215.pdf (mhlw.go.jp))
また、育休は男女ともに取得することができる一方、産休は女性しか取得することができません。
しかし、昨今では男性の低い育休取得率が問題視され、通常の育児休業とは別に、「産後パパ育休(出生時育児休業)」が創設されたことで、女性の産休中にも、男性が子育て参加しやすい環境が整備されつつあります。
次からは、育休を取得すると、どのようなメリットがあるのか、具体的に解説していきます。
育休中の社会保険料免除
育休中には、休業中の収入を補う目的で「育児休業給付金」が貰える他、社会保険料(健康保険・厚生年金保険)が免除されます。
休業することで金銭的な不安を感じる方も多くいらっしゃるとは思いますが、こうした制度があるのは非常に有難いことですよね。
ここでは、育児休業給付金の概要、そして、2022年10月に改正された社会保険料の免除基準について、どのような点が変更になったのかを中心に解説していきます。
育休中の公的な収入保障
まず、育児休業給付金についてです。
育児休業給付金は、育休を取得された方に、休業中の収入を補償する意味合いで、雇用保険から支給される給付金で、 子どもが1歳(延長要件に該当する場合は1歳2か月、1歳6カ月、または2歳)になるまで給付を受けられます。
給付される金額は下記のように算出されます。

(引用:厚生労働省「育児休業給付の内容と支給申請手続」000986158.pdf (mhlw.go.jp))
社会保険料の免除基準
次に、社会保険料の免除についてです。
男性目線でのお得な育休の取り方のテーマはまさにここがメインです。
先ほどもお伝えしたように、育休を取得すると、社会保険料が免除されます。
免除される基準は下記になっています。
育児休業の開始日が属する月から終了日の翌日が属する月の前月までの保険料が免除される。
少しわかりづらい文章なので、例を用いてご説明します。
では、どのような改正がされたのか、次の章で説明していきます。
どう変わった?法改正による社会保険料の免除基準
改正されたのは、月額保険料の免除要件と、賞与保険料の免除要件の2点です。
1. これまでの保険料免除要件(育児休業等を開始した日の属する月から終了する日の翌日が属する月の 前月まで)に加えて、育児休業等を開始した日の属する月内に、14日以上(休業期間中に就業予定日 がある場合は、当該就業日を除く。また、土日等の休日も期間に含む。)の育児休業等を取得した場合も、当該月の月額保険料が免除されます。
2. 賞与を支払った月の末日を含んだ連続した1か月を超える育児休業等を取得した場合 に免除されます。1か月を超えるかは暦日で判断し、土日等の休日も期間に含みます。
(引用:日本年金機構ikukyu-chirashi.pdf (nenkin.go.jp))
実は、2022年9月までは、月末に1日でも育休を取得していれば、月額保険料も賞与保険料も免除になっており、巷でも「育休取得で手取りを増やす裏ワザ」のように多くの記事でその方法が紹介されていました。
今、記事を読んでいる方も、そのような記事をみて、このページにたどり着いたのではないでしょうか?
しかし、ここで問題視されたのは、下記2点です。
- ① 育休期間が月末日を含んでいなければ、社会保険料が免除にならない
- ② 社会保険料免除を目的に月末だけ短期間で育休取得することは制度の趣旨に反する
①のケースでは、月内に数週間の育休を取得しても、月末が被っていない場合、社会保険料の免除にならず、一方で、月末に1日だけでも育休取得した人が社会保険料免除になるのは不公平だという意見が多かったためです。
今回の改正では、月末日を含んでいなくても、その月に14日以上の育休を取得していれば社会保険料が免除になります。
②のケースは、まさに筆者のケースで、月末に1日でも育休を取得して手取りを増やそうとする人が多く、これは育休の本来の目的に反するということが問題になっていました。
今回の改正では、賞与月の月末を含んだ連続した1か月を超える育休を取得していなければ賞与から社会保険料が免除されません。
※尚、月額保険料については、月末に1日でも育休を取得していれば免除の対象になることは変わりません。
手取りが増える!男性が育休を取るお得なタイミングと時期
今回の改正により、男性の筆者のようなケース(賞与月の月末に短期間の育休取得)では、賞与保険料が免除されなくなりました。
それでもやはり育休を取得することで、手取り額を増やせることがあります。
本章では、取得できる期間別に、どれくらい手取り額が増えるかシミュレーションしていきます。
※ここでは、育休取得による影響をわかりやすく解説する為、免除される社会保険料(健康保険・厚生年金保険)のみでご説明いたします。また、給与についても、実際には育休期間中は育児休業給付金となり、給与額の67%になることをご承知おきください。
(前提:東京都、会社員、扶養1人、給与30万円、協会けんぽに加入している場合)
長期間取得される場合(6/1~8/1まで2か月間取得)
■給与:300,000円
■社会保険料(健康保険・厚生年金保険)額=84,900円(2か月分※6月と7月分)
さらに、6月に賞与(2か月分)が支給されていた場合
■賞与:600,000円
■社会保険料(健康保険・厚生年金保険)額=83,485円
つまり、育休を取得することで、月額保険料と賞与保険料を合わせて約168,000円の社会保険料が免除されることになります。
短期間取得される場合(6/30~7/2まで取得)
次に、3日間取得された場合のシミュレーションを行います。
■給与:300,000円
■社会保険料(健康保険・厚生年金保険)額=42,450円(1か月分※6月のみ対象)
育休期間が1か月を超えていない為、6月が賞与月であっても賞与保険料は免除されません。それでも1か月分の月額保険料が免除されるのは大きいですよね。
まとめ:男性の育休取得は月末がお得でおすすめ!
いかがでしたでしょうか?
男性が育休を取得される場合は、ズバリ「月末を含んで取得すること」が最もお得です。
法改正により、1か月を超える育休期間が無ければ、賞与における社会保険料の免除はされなくなってしまいましたが、月末を含んで育休を取得されれば、その月の月額保険料は免除され、月末を含まないで取得するよりも手取り額を増やすことができます。
もちろん、長期間で取得できる方であれば、必ずしも月末を含ませる必要はありません
しかし、本来、育休とは子供を養育するための制度です。
取得するからにはお得に取れれば尚良しですが、せっかくの機会ですから、1か月以上取得して、子供の成長を身近に感じながら、かつ、手取り額を増やせるような取り方ができると良いですね。