日本の株式市場で独自の制度として発展した株主優待。
食事券やクオカード、サービスの提供を受けることができ人気です。
あるテレビ番組で株主優待のみで生活をしている人が取り上げられたことで一気に知名度を上げました。
株主優待の中で実用的なのが飲食店の株主優待です。
よく行く飲食店の株主優待を受ければ、お得に食事をすることができます。
「コロワイド」という企業の株主優待では、年に4回1万円分のポイントが付与され、そのポイントでコロワイド傘下の飲食店で食事をしたり、ポイントと交換で食料品を手に入れることが可能です。
(引用:株探)
1年で4万円分もの株主優待を得られる上に、配当も出しているコロワイドですが、
「コロワイド株は危ない」
と言われているのをご存じでしょうか?
この記事を読めば次のことがわかります。
- コロワイドについて
- コロワイドが危ないといわれた理由
- コロワイドの株主優待について
コロワイド株が危ないか判断し、株主優待の利益を得る手がかりになるでしょう。
コロワイドについて
コロワイドは1963年に設立された「食」の総合企業です。
成長の過程でさまざまな企業を買収し、グループ会社数は2024年6月末時点で62社に上り、売上も増加しています。
(引用:コロワイドHP)
コロナ禍では売上を大きく落としましたが、2024年3月には2018年3月と変わらない売上高を記録しました。
コロワイドが展開している主な飲食店
コロワイドが展開している主な飲食店は次のとおりです。
- かっぱ寿司(回転ずし)
- 牛角(焼肉)
- ステーキ宮
- 暖や(居酒屋)
- 温野菜(しゃぶしゃぶ)
- 大戸屋(定食屋)
- 甘太郎(居酒屋)
- FRESHNESS BURGER(ファストフード)
カフェや洋菓子店なども展開しており、食に関するほとんどの分野をカバーしています。
買収を繰り返しあらゆる分野をカバーしていくことでコロワイドは、コロナ禍のピンチも業績のV字回復を起こせるほどの企業になりました。
コロワイドが危ないと言われた理由
コロナ禍のダメージから一転売上を回復させたコロワイドですが、危ないといわれる理由は営業利益にあるでしょう。
(引用:IRバンク)
直近5年の業績です。
新型コロナウイルス蔓延の影響を受けた2021年3月期、営業利益と当期純利益が赤字となっています。
この時に「株主優待が廃止されるのでは?」と投資家に懸念されたのが、危ないと言われた原因です。
新型コロナウイルスの影響により、収益が下がった企業は株主優待を見直す動きがあり、株主優待実施企業数が11年ぶりに減少しました。
(参考:読売新聞オンライン|日本特有の「株主優待」見直す動き、コロナ禍だけではない背景も)
コロワイドも他の企業と同じように株主優待を見直すと予想されたのです。
コロナ禍で業績悪化に苦しんだコロワイドが打ち出した策は予想に反し、株主優待の拡充でした。
現状行っている株主優待はそのままで、2020年3月末にコロワイド株を保有している株主に対し、10,000ポイントの臨時ポイントを追加。
2020年3月末有効期限を6月末に延期しました。
コロナ禍で外食需要が一時的に減少しましたが、影響が収束した時に集客力を高めることが狙いです。
(参考:ダイヤモンドザイONLINE|コロワイド(7616)、株主優待を拡充して、優待利回り6.76%に!新型コロナウイルスによる外食需要減少に対抗するため、通常の2倍となる”臨時ポイント”を発行)
2023年期の営業利益と当期純利益の赤字は2024年期の黒字転換を図るため、将来的にリスクとなり得る店舗などの固定資産の現存損失を計上したことによります。
(参考:流通ニュース|コロワイド/3月期は事業損失1億9600万円、事業ポートフォリオ最適化を推進)
2024年期は功を奏し、再び黒字転換になりました。
コロワイド株が危ないわけではありません。
コロワイドの株主優待について
コロワイドの株主優待を貰うための条件は以下のとおりです。
(引用:コロワイドHP)
コロワイド株を1年間保有することで4万円相当のポイントを貰えます。
優待利回りは約4%です。
高配当株と呼ばれる銘柄は配当利回り3%以上が目安となっているので、コロワイド傘下の飲食店を利用する方にとっては、優待利回り4%は高利回りと言えます。
コロワイドの株主優待について注意点が3点あります。
- 500株以上保有すること
- 優待ポイントが使えない店舗があること
- 権利落ち日に購入しないこと
500株以上保有すること
銘柄にもよりますが通常100株保有することで株主優待を貰える企業が多いですが、コロワイドの株主優待を貰うためには500株以上必要です。
(引用:株探)
2024年8月4日現在のコロワイドの株価は1994円です。
500株必要になるので、投資金額は997,000円、約100万円必要になります。
100株だと199,400円で購入できるため、そこまで苦しくありませんが、株主優待目的で投資するなら、まとまった金額が必要になるため注意が必要です。
優待ポイントが使えない店舗があること
100万円近い金額を投じて行きつけの店舗で使えないという事態は避けたいでしょう。
株主優待を使えないコロワイド傘下の店舗は以下のとおりです。
- 牛角
- 温野菜
- かまどか
- 土間土間
- 酒場ぶっちぎり
- 牛角食べ放題専門店
- 牛角焼肉食堂
- とんかつ神楽坂さくら
- あじフライ神楽坂さくら
- 酒場トリノ
- 鮨処「濱」
- BAR「馬車道」
- 濱一貫
- 濱いちもんめ
- バンノウ水産
- シルスマリア
- フレッシュネスバーガー
- FRESHNESSパン工房
- 焼肉 飛車角
- LITORANEO
- はまやカレー
- 大戸屋ごはん処
- 大戸屋おかず処
- 蕎麦処大戸屋
- チーズガーデン
- クリオロ
- グリンデルベルグ
- カフェ&ガーデン しらさぎ邸
- エヌカカオチョコレート
- ピュアココトーキョー
- 海外店舗
(参考:コロワイドHP)
家族で行きやすい牛角や温野菜、大戸屋で使えないのは辛いですが、その他の店舗では使えるので、リサーチしてから株式の購入を検討してください。
権利落ち日に購入しないこと
株式には権利付最終日があります。
権利付最終日とは、株主の権利を取得できる最終取引日のことで、権利付最終日を超えて(権利落ち日に)取得すると、株主の権利を取得できません。
権利付最終日は、権利確定日の2営業日前です。
(参考:松井証券HP)
コロワイドの権利確定日は3月末日と9月末日なので、利用している証券会社の注意点を確認しながら購入しましょう。
権利落ち日に購入してしまうと、株主としての権利を得るのが半年後になるため注意が必要です。
まとめ:コロワイド株は危なくない!株主優待も充実している!懸念点は自己資本比率のみ!
コロワイドは傘下に牛角やかっぱ寿司、大戸屋などの飲食店を持つグループ会社です。
企業買収に積極的で、買収を繰り返して収益を伸ばしてきました。
コロワイド株について危ないと言われていたのは、新型コロナウイルス蔓延の影響を受け、収益が下がった時です。
多くの企業が減配や無配、株主優待の見直しを行ったことで、コロワイドも株主優待を見直すのではないかと懸念されました。
コロワイドは逆に株主優待を拡充することで、新型コロナウイルスの収束後の外食需要に備える構えを見せています。
コロワイドの株主優待は「店舗で使う」「商品と交換できる」ポイントです。
3月末時点で保有している株主に対して6月と9月にそれぞれ1万円相当のポイントが、9月末時点で保有している株主に対して12月と翌年3月にそれぞれ1万円相当のポイントが付与されます。
注意点は以下の3点です。
- 500株以上保有すること
- 優待ポイントが使えない店舗があること
- 権利落ち日に購入しないこと
注意点を守って、1年間で4万ポイント分の株主優待を楽しんでください。
唯一懸念点があるとすれば自己資本比率です。
コロワイドの自己資本比率は16%から18%後半になります。
(引用:株探)
自己資本比率とは簡単に言うと企業が倒産しにくいかどうかを図る指標の1つです。
自己資本比率の適正な高さは業種によって異なります。
(引用:doda|自己資本比率とは?業種別では何%くらいが目安なの?)
飲食サービス業の目安は14.4%なのでコロワイドは目安を超えていますが、安心して保有すると考えると40%は欲しいところです。
コロワイドについて唯一不安を覚えるとすると自己資本比率の低さのみです。
コロワイド株を購入する際の参考にしてください。