半導体関連銘柄として注目されているローツェ(6323)は、2024年上半期の株価上昇率ランキングで堂々の4位となりました。
その上昇率は、なんと108%となっています。
いったいなぜ、これほどまでに株価が上昇したのでしょうか。
この記事は、株式投資歴15年の筆者が、ローツェ株の購入を検討している投資家に向けて、株価上昇の理由や将来性について解説していきます。
また記事内では、筆者なりの今後のローツェの株価の行方についても触れていますので、ぜひ最後まで読んでみてください。
ローツェの事業内容
ローツェは、4つの事業を展開しています。
①半導体関連装置
②FPD関連装置
③ライフサイエンス関連装置
④モータ制御機器
ただ、「①半導体関連装置」事業は、ローツェ全体の売上の85%を占めており、ローツェを語る上では、絶対に知っておくべき事業といえます。
半導体関連装置
ローツェの半導体関連装置の主力製品は、半導体製造工場内でウェハを搬送するための機械で、国内のみならず、グローバルに販売しています。
この分野では、世界No.1のシェアを誇り、世界中でローツェの製品が活躍しています。
隠れた優良企業と言えるでしょう!
ローツェの特徴は「内製化」で、製品の素材加工から最終工程までを自社内で行っています。
また「世の中にないものをつくる」をコンセプトにしていることから、設計・販売・アフターサービスまでもグループ内で行っていて、顧客のニーズを満たす製品を開発・提供することができる組織体制となっています。
ローツェの株価がすごい!株価は10年で100倍
ローツェの過去10年分のチャートを見てみましょう!
[ローツェの月足チャート]
(出典:Yahoo!ファイナンス)
大きな株価上昇をしているため分かりにくいですが、2014年9月の始値は339円でした。
それが今では、2024年7月に35,300円まで上昇しており、一時的ながら10年で104倍になった計算です。
もし元手100万円を投資していたら、1億400万円となり億り人となったことでしょう。
では、なぜここまで株価が上昇したのでしょうか?
その背景を知るために、株価上昇の理由を見ていきます。
ローツェの株価が上昇している2つの理由
筆者が考えるローツェの株価上昇の理由は、大きく分けて2つあります。
理由1|高い成長率が長く続いている
下の表は、株価と同様に過去10期分のローツェの売上高と営業利益の推移をまとめたものです。
決算期 | 売上高 (百万円) | 営業利益 (百万円) | 営業利益率 | 営業利益成長率 (前年比) |
2024/2期 | 93,247 | 24,138 | 25.9% | △8.6% |
2023/2期 | 94,518 | 26,418 | 28.0% | 67.1% |
2022/2期 | 67,004 | 15,809 | 23.6% | 69.7% |
2021/2期 | 50,803 | 9,314 | 18.3% | 20.3% |
2020/2期 | 37,103 | 7,743 | 20.9% | 33.2% |
2019/2期 | 31,368 | 5,812 | 18.5% | 37.2% |
2018/2期 | 52,248 | 4,236 | 8.1% | △7.3% |
2017/2期 | 24,738 | 4,572 | 18.4% | 55.6% |
2016/2期 | 19,942 | 2,938 | 14.7% | 275.7% |
2015/2期 | 12,751 | 782 | 6.1% | △15.6% |
これをみて分かる通り、市況の波のある半導体業界のため減益となる局面はあるものの非常に高い成長率を記録しています。
2015/2期の営業利益7億8,200万円からわずか10年で30倍に成長しました。
また、設計からアフターサービスを自社で行っていることが、高い営業利益率にもつながっており、成長を続けながら利益率を維持し続けることができています。
理由2|半導体業界ブーム
日本のみならず世界の株式市場では半導体株ブームが起こっています。
きっかけはChat GPTの登場と言われており、生成AIの普及による半導体業界の成長が織り込まれ始めたためと考えられています。
この半導体ブームで代表される企業は、米国の半導体メーカーのエヌビディアです。
下のチャートはローツェの株価同様に、過去10年のものです。
[エヌビディアの月足チャート]
(出典:Yahoo!ファイナンス)
こちらも分かりにくいですが、株価は10年で約300倍に上昇しました。
ローツェの主力事業は半導体関連装置の製造であるため、その関連銘柄として注目され株価上昇につながったと考えられます。
ローツェの将来性は?さらなる株価の上昇はあるのか?
ローツェの株価はさらに上昇するのかを考えていくために、まずは2025/2期の決算予想を見ていきましょう。
決算期 | 売上高 (百万円) | 営業利益 (百万円) | 営業利益率 | 営業利益成長率 (前年比) |
2025/2期 | 120,784 | 31,617 | 26.1% | 31.0% |
2025/2期は増収増益を予想で、過去最高益が期待されています。
次に、「EPSとBPSの推移」と「株価指標」を確認していきます。
決算期 | EPS | BPS |
2025/2期(予想) | 1,300.07円 | - |
2024/2期 | 1,111.11円 | 5,233.37円 |
2023/2期 | 1,237.42円 | 3,947.79円 |
2022/2期 | 742.10円 | 2,624.39円 |
2021/2期 | 374.40円 | 1,785.01円 |
ROE | ROA | 株価2024/8/2終値 | PER2024/8/2時点 | PBR2024/8/2時点 |
24.4% | 19.2% | 20,830円 | 16.01倍 | 3.63倍 |
エヌビディアのPERが80倍を超えているのに対して、ローツェの安定した高い成長性を加味したときには、それほどの過熱感は感じない水準ですね。
足もとでは、株価が調整の動きを見せていますが、生成AIやデータセンター向けの半導体需要拡大にともなって、ローツェの関連装置需要も拡大する見込みです。
そのため、この調整が買い場となり、長期的には上場来高値を超えてもおかしくはないと予想しています。
まとめ
最後に本記事をまとめます。
- ローツェは、素材加工から最終工程までを内製化しており、高い収益性を誇る
- 製造のみならず、設計からアフターサービスまでをグループ内で一貫して行っていることから、顧客ニーズを正確にくみとることができている
- これらの結果、安定した成長を遂げており、10年前から株価は100倍になった
- PERやPBRをみても、そこまで加熱した感はなく、今後生成AIなど向けの半導体のニーズは広がっていき、ローツェの業績に反映されてくれば、さらなる上昇も期待できると予想
- ただ、半導体関連銘柄の物色が一巡し始め、株価の調整局面に入ってきた可能性がある また、日銀の利上げや米国の景気悪化などで、株価にはネガティブな材料も今後出てくる可能性があるため、買い場は慎重に見極めましょう
ローツェの株価上昇は、半導体ブームによるところもありますが、ブームの中で隠れた優良銘柄が発掘され、その実力が改めて評価された面も大きいと筆者は考えています。
外部環境は、当社にとって追い風にはなっていくはずであり、今までと同様に成長を遂げることができれば、株価は自然とついてくるはずです。
ライター名:金融ライター ひろきち