不労所得の作り方として代表的なものとして、不動産投資や株式投資があげられます。
近年では、シェアリングサービスや写真販売など、ほとんど初期費用をかけずに不労所得を得る方法もあります。
不労所得とは、自らが直接労働することなしに得られる収入のことです。
不労所得を少しでも作ることで、経済的余裕や時間にゆとりを持った生活を送ることができるでしょう。
FIREへの関心の高まりもあり、不労所得作りに取り組む人は増えています。
この記事では、不労所得の作り方を9つ紹介します。
1つずつメリット・デメリットを把握して、あなたに合った方法を見つけましょう。
不労所得の作り方9選
不労所得の作り方を9つ、それぞれのメリット・デメリットを紹介します。
①不動産投資
不動産投資は、ある程度まとまった費用があり、長期的に安定した収入を得たい人に向いています。
不動産投資では、マンションの区分所有やマンション・アパートを一棟所有し賃貸に出すことで家賃収入を作る方法が一般的です。
入居者がいれば毎月家賃収入が得られるため、長期的に安定した収入が見込めることがメリットです。
また、他の不労所得よりも、所得税・相続税の節税対策がとりやすいことがメリットと言えます。
不動産投資は経費が多くいため課税所得が下がる傾向があります。相続税では軽減措置があるため、税制面で有利です。
「管理が大変そう」というイメージがありますが、日々の管理業務は管理会社に任せることができるため、会社員の副業として不労所得を作る方法として始める人も多いです。
次に、不動産投資における期待利回り(表面利回り)のデータを示します。
地域 | ワンルーム | ファミリー向け |
東京 | 3.8~3.9% | 3.8~4% |
札幌 | 5% | 5% |
仙台 | 5% | 5% |
さいたま | 4.6% | 4.6% |
千葉 | 4.7% | 4.7% |
横浜 | 4.4% | 4.4% |
名古屋 | 4.5% | 4.6% |
京都 | 4.7% | 4.7% |
大阪 | 4.3% | 4.3% |
神戸 | 4.7% | 4.8% |
広島 | 5.1% | 5.2% |
福岡 | 4.5% | 4.5% |
全体平均 | 4.1% | 4.5% |
(出典:日本不動産研究所「第50回不動産投資家調査」より筆者作成)
不動産投資の平均利回りは4.1%〜4.5%です。
表を見ると、都市部より地方の方が利回りは高い傾向にあることがわかります。
一方で、デメリットとして挙げられるのは、空室リスクや災害リスクです。
借り手がいない状態が続くと、収入はないのに管理・維持費はかかることになります。
満室になった時の利回りは地方の方が高いですが、空室リスクは都市部より地方の方が高いため、物件選択時には注意が必要です。
また、自然災害により突然修繕が必要になるということも考えられます。
火災や事件・事故など、予測困難なトラブルもあり得るでしょう。
突然の支出に対応できるよう、ある程度備えが必要です。
②株式投資
株式投資は、投資の知識があり、リスクを許容しながら積極的に運用したい人に向いています。
株式投資のメリットは、一定の株式を保有していれば、定期的に配当金や株主優待が得られるため、不労所得を作れることです。
株式投資による収益には、株主に対して還元される配当金と、株価の値上がりによって得られる利益があります。
配当金は値上がり益よりも確実性があり、定期的に収益を得たい場合に適しています。
国内株式では、配当利回りが良い会社で4%前後です。
(参考:SBI証券)
つまり、株価が1,000円であれば1株あたり配当金が40円もらえるということです。
国内の株式は、通常100株単位で購入できるため、年間4,000円の配当金がもらえるということになります。
デメリットは、今業績が良くても業績が悪くなれば配当金の減配や無配当になる可能性があることです。
また、株式を購入するためにまとまった資金が必要ということもデメリットと言えます。
配当金だけで生活をすることは、多額の資金が必要になり現実的には難しいでしょう。
配当利回り4%・株価1,000円の例を使い、具体的にみてみましょう。
【1人暮らし】 月平均生活費:およそ18万円 (参考:総務省「家計調査年報(家計収支編)2022年(令和4年)」) 年間生活費:18万円×12ヶ月=216万円 生活費を配当で賄うとすると、 216万円÷40円(1株当たり配当)=54,000株必要 1株1,000円であるため5,400万円必要 |
配当だけで生活するには、大きな資金が必要であることがわかります。
生活費すべてを賄うことは難しいでしょう。
元手資金がない場合は、不労所得の作り方として適していないかもしれません。
③投資信託
投資信託を購入することで不労所得を作ることができます。
投資信託のメリットは、少額から購入できること、運用をファンドマネージャーに任せることができることです。
少額から購入できるため、株式投資よりもリスクを抑えることができます。
NISAを使えば非課税で運用することが可能であるため、比較的取り組みやすい方法と言えます。
デメリットは、短期的に大きな収益をあげることができないことです。
そのため、投資信託は、長期的にコツコツ運用したい人に向いています。
長期的に保有することで、複利の効果で利益や不労所得を作れるでしょう。
➃駐車場経営
駐車場経営は、住む予定のない土地を相続したり、余った土地を有効活用したい人に向いています。
駐車場経営のメリットは、初期費用が少なく済むことです。
また、マンションなどの物件を所有するよりも、災害リスクがなく管理が簡単であることもメリットです。
建物がいらないため初期費用はほとんどかかりませんし、災害があっても大きな被害を受けることは少ないでしょう。
駐車可能台数にもよりますが、契約者がいる限りは月々安定した収入が入ります。
コインパーキングにした場合は、始めに設備投資が必要ですが、時間貸しであるため一時的に停めたいという需要を取り込むことができます。
駐車場経営のデメリットは、不動産を用いた運用であるものの税制上の優遇がないことです。
また、環境によっては需要がなく、安定した収入が見込めない可能性があります。
⑤シェアリングサービス
近年では、自宅の余った部屋や駐車場を貸し出すことで不労所得を得る人が増えています。
部屋や駐車場だけでなく、ブランドもののバッグや時計を貸し出し、レンタル料を受け取ることができるサービスもあり、比較的手軽に取り組めるタイプの不労所得です。
この記事では、部屋・スペースまたは駐車場を貸し出すサービスについて解説します。
⑤-1レンタルスペース
余っている部屋を有効活用したい人には、レンタルスペースがおすすめです。
これは、貸家として自宅を賃貸に出すのではなく、自宅の一室をレンタルスペースとして貸し出す方法です。
レンタルスペースは、自宅の一室を貸すなら初期費用がかからないことが最大のメリット。
物置スペースとして貸すなら設備は必要ありません。
使っていない部屋さえあれば手軽に始めることができます。
デメリットは、プライバシーの確保や防犯面の工夫が必要である点です。
居住スペースに入ることなくレンタルスペースが利用できるかどうかは考慮する必要があるでしょう。
また、物置スペースとして他人の物を預かるのであれば、紛失などのトラブルを避けるために鍵を設置するなどの対策が必要です。
(参考:monooq)
⑤-2自宅の駐車場を貸す
自宅に駐車場はあるが使っていない場合には、その駐車スペースをシェアすることで不労所得を得ることができます。
繁華街や観光地の近くに駐車場がある人は検討してみるとよいでしょう。
自宅の駐車場を貸すメリットは、シェアサービスに払う手数料以外ほとんど費用がかからないことです。
余っている所を貸すだけなので、手軽に始めることができます。
デメリットは、立地の影響が大きいこと、手数料がやや高いことです。
会社によって異なりますが、シェア仲介業者への手数料は駐車料金の30%〜56%がかかります。
売上の半数程度が引かれてしまうため、やや高い印象です。
しかし、毎月定額でかかる費用はなく利用された分だけ手数料がかかる仕組みであるため、支出を最低限に抑えることができます。
免許を返納して車を使わなくなったり、複数台停められるスペースがあるが1台分しか使っていないというケースがあると思います。
そんな時は、余っている駐車場をシェアするサービスに登録するとよいです。
⑥ブログ・YouTubeなどの広告収入
ブログなどのコンテンツに掲載した広告がクリックされたり、商品が購入された場合に報酬を得ることができます。
広告から商品が購入された場合に、商品紹介料がもらえる仕組みをアフィリエイトと言います。
書くことや制作が好きな人に向いている方法です。
メリットは、初期費用の負担が少ないことです。
アフィリエイトの契約・登録は無料で行うことができます。
現在は、ブログサイトも無料で作ることが可能で、月々にかかる費用はレンタルサーバー代程度であるため、月1,000円程度から始めることができます。
また、一度作った記事や動画などのコンテンツは、ずっと残っていくため作れば作るほど収益のチャンスが生まれることもメリットです。
デメリットは、収益化するまで時間がかかることです。
しっかり収益を出すには、記事や動画を大量に制作する必要があります。
その分、時間と労力がかかることが難点です。
日本アフィリエイト協議会の調査によると、およそ7割のアフィリエイトサイト運営者がなんらかのアフィリエイト収入を得ていることがわかりました。
ただ、月3万円以上のアフィリエイト収入がある人は全体の9.4%で、まとまった額を稼いでいるのは一握りです。
また、回答者の51%がアフィリエイト歴5年以上であったと報告しています。
(参考:日本アフィリエイト協議会「アフィリエイト市場調査2023」)
このことからも、収益化するまで時間がかかるため、焦らず取り組むことが大切だと言えます。
(参考:日本アフィリエイト協議会)
⑦自動販売機設置
自動販売機を設置する、という方法もあります。
手間をかけずに少しでも収益や不労所得を作りたいという人は要チェックです。
自動販売機を置くメリットは、小さいスペースで始められることです。
駐車場など敷地内の道路側にちょっとしたスペースがあれば設置することができます。
デメリットは、大きな収益は上がりにくいこと、ゴミなどのいたずらのリスクがあることです。
周辺環境の影響を受けやすく、人通りがなければ収益も上がりません。
ゴミが散乱することも考えられ、近隣住民とのトラブルになりかねないため、対策が必要です。
自動販売機を設置するには、購入かリースの2パターンです。
購入、リースの特徴をまとめると
購入:初期費用数十万円~数百万円かかる +電気代、メンテナンス代などの維持費(月5,000円程度) リース:初期費用は抑えられる リース代月額5,000円~数万円程度 +電気代、メンテナンス代などの維持費(月5,000円程度) |
初期費用を抑えたいか、ランニングコストを抑えたいかによって、購入かリースか検討するとよいでしょう。
⑧写真販売
写真販売は、写真が趣味で、撮りためた写真がある人におすすめです。
写真を素材サイトに登録し、ダウンロードや購入をされると報酬を得ることができるため、趣味や日常で撮りためた写真がある人は、その写真を利用して報酬が得られる可能性があります。
写真販売のメリットは、プロのカメラマンでなくても報酬を得られることです。
スマートフォンで撮った写真でも販売可能であるため、誰でも利用することができます。
デメリットは、単価が低く大きな収益になりにくいことです。
報酬単価は、無料素材サイトならダウンロード1回につき約3円程度からと低額です。
有料素材サイトなら、購入による報酬が数千円の場合もあります。
ただし、有料サイトでは高いクオリティが求められるため、ハードルは高いでしょう。
また、第3者の権利を侵害するリスクがあり、著作権や肖像権などの一定の知識が必要です。
⑨電子書籍出版
電子書籍出版は、特定の分野の専門知識があり、自分の知識を提供して人の役に立ちたい人におすすめです。
電子書籍を出版するメリットは、紙の書籍を出版するよりも出版コストが低いこと、印税が高いことです。
出版社を通さずに出版することができ、印刷がないため、出版にかかるコストを抑えられます。
出版すれば、購入されるたびに印税収入が入るため、長期的に不労所得が得られるでしょう。
一般的に、紙の書籍の印税は5%〜10%程度と言われています。
例えば、kindleで電子書籍を出版した場合の印税は、条件によって35%または70%であるため、電子書籍で出版する方が印税収入としては圧倒的に有利です。
購入されなかったとしても、kindle unlimitedの登録者に読まれたら1ページ0.5円の収入が入ります。
まさに、自分の知識や経験が資産となり得ます。
デメリットは、書籍として書き上げるまで労力がかかることです。
原稿を書くだけでなく、表紙のデザインをどうするかなども自分で考える必要があります。
近年は電子書籍の普及により、書籍を出版するハードルが下がりました。
ブログの内容をまとめたり、自身が持つ専門知識をまとめて出版する人が増えています。
(参考:amazon kindle)
不労所得を作る時の注意点
不労所得も収入とみなされるため、所得税と住民税がかかることに注意してください。
不労所得にかかる税金の申告について、しっかり理解しておきましょう。
不労所得20万円以上で確定申告が必要
会社員などの給与所得者で、不労所得が20万円以上になった場合は確定申告が必要です。
つまり、20万円を超えると収入とみなされ、所得税が課税されます。
自営業者は、不労所得が20万円以下であっても確定申告が必要です。
20万円以下でも住民税の申告は必要
住民税は、不労所得が20万円以下であっても申告が必要です。
不労所得が20万円以下で、確定申告をする予定がないなら、別途住民税の申告を行う必要があります。
なお、確定申告をした場合は、住民税の申告をする必要はありません。
不労所得が発生したら、忘れずに市町村の担当部署に住民税申告書を提出しましょう。
詐欺に注意する
FIREへの関心の高まりやNISA制度の拡充による投資意識の変化を背景に、不労所得や投資に関する詐欺が横行しています。
不労所得どころか手持ち資金がなくなってしまいかねないため、事前に知識をつけることが大切です。
基本的に、ローリスク・ハイリターンなうまい話はないと心得ておきましょう。
不労所得を作るメリット
不労所得を作ることができれば、経済的・時間的にゆとりをもった生活を送ることができます。
不労所得を作るメリットは、主に2つです。
経済的な不安が軽減する
就労所得以外に収入があることは、精神的に安心材料になります。
老後2,000万円不足問題にもあるように、将来への備えを自力で行う必要がある時代になりました。
しかし、厚生労働省の調査によると、令和5年の平均給与は318万円です。
20年以上、給与水準は横ばいの状態です。
物価高で家計支出が増えているなかで、将来への備えもしておかなければなりません。
月数万円プラスになるだけでも気持ちに余裕が生まれます。
時間にゆとりができる
不労所得を作ることによって、時間にゆとりが持てるようになります。
ある程度まとまった不労所得が得られるようになれば、就労日数を減らしたり稼働時間を減らすなど、働き方を変えることができるかもしれません。
働くペースを落とすことができれば、自由な時間が増えるため、生活の質が向上するでしょう。
まとめ:手軽に不労所得を作る方法も!自分に合った不労所得を作って生活にゆとりを持とう!
この記事では、不労所得の作り方を9つ紹介し、それぞれのメリット・デメリットを解説しました。
安定した不労所得を作るには、初期費用や労力がかかることがほとんどです。
また、収益化するまでに時間がかかることも多いです。
焦らず長い目でみてコツコツ取り組めば、ゆくゆくは立派な収入になるでしょう。
あまり費用をかけずに、手軽に始められる方法もあるため、自分に合った方法を見つけて実践しましょう。
少しでも不労所得があれば、経済的不安が軽減し時間にゆとりを持つことができます。
お金に働いてもらうことを意識してできることから取り組んでみましょう。
ライター名:FP2級・AFP保有ライターchaky