少しずつ知名度を上げているスマートプラスですが、2024年4月に突然、株取引アプリ「STREAM」のサービスを終了することが発表されました。
この突然のニュースは利用者としても驚きですが、スマートプラスは楽天証券やセブン銀行などと組んで多くの利用者にサービスを提供しています。
そのため「スマートプラスがやばい?」「楽天証券口座で利用しているサービスは継続されるのか?」など不安もあるのではないでしょうか。
そこでこの記事ではスマートプラスのサービス継続性について徹底解説していきます。
スマートプラスの会社概要
まずは、スマートプラスの会社概要についてご紹介します。
会社名 | 株式会社スマートプラス |
所在地 | 東京都千代田区九段北一丁目8番10号 住友不動産九段ビル9階 |
代表取締役 | 小林紀子 |
資本金 | 6,623,611,000円(2019年2月時点) |
事業内容 | 金融商品取引業 (第一種・第二種金融商品取引業、投資運用業) |
設立 | 2017年3月 |
株主 (2024年3月) | 株式会社Finatextホールディングス:85% 株式会社大和証券グループ本社:15% |
スマートプラスは、ベンチャー企業のFinatext(東証グロース上場)と証券業大手の大和証券(東証プライム上場)が合弁で設立された会社です。
最近では、大企業×ベンチャーの組み合わせで新会社設立という事例が増えてきましたが、スマートプラスは順調に軌道にのっているのでしょうか。
下の表は、スマートプラスが公表している「業務及び財産の状況に関する説明書です。
売上高 (千円) | 当期利益 (千円) | 純資産 (千円) | |
2018/11期 | 645 | ▲566,943 | 4,659,942 |
2019/11期 | 216,832 | ▲1,214,494 | 4,768,975 |
2021/3期 | 815,567 | ▲709,502 | 4,059,472 |
2022/3期 | 622,002 | ▲817,571 | 3,240,690 |
2023/3期 | 754,925 | ▲708,700 | 2,531,990 |
2024/3期 | 1,698,664 | ▲251,136 | 2,280,853 |
(参考:スマートプラス 開示情報)
設立からすでに6期が経過していますが、6期連続赤字と黒字化ができていません。
さらに純資産は、毎期大幅な赤字を計上していることから設立時の半分となっています。
ただ2024/3期は、ようやく売上も伸びて赤字幅も縮小していることから軌道に乗り始めてきたのかもしれません。
これからの業績を見守っていきたいところです。
スマートプラスの事業展開
スマートプラスのサービスは大きく2つあります。
BaaS
BaaS(バース)とは「Banking as a Service」の略で、スマートプラスでいえば金融機関に向けた証券ビジネスプラットフォームのことです。
導入企業のメリットは次のようなものがあります。
- 証券サービスへの参入が容易
- 短期間・低コストで導入できる
- 独自サービス構築に専念できる
- 利便性が高まり顧客満足度が向上
今までは、各金融機関は独自のシステムを構築していたわけですが、スマートプラスのBaaSを利用することで、初期投資がいらず短期間で証券業界への参入ができるようになりました。
スマートプラスのBaaSを利用している例は、セブン銀行のサービス「コレカブ」や新NISAにも対応したセゾンのつみたて投資サービス「セゾンポケット」です。
Digital Wealth Manager
AIを活用した投資判断や運用ができるロボアドバイザーサービスを金融機関に販売しています。
導入企業のメリットは次のようなものがあります。
- 積立投資のロボアドバイザーによる顧客との長期的な関係構築
- 一から構築をする必要がないため、負荷とコストが削減できる
ロボットアドバイザーサービスのパッケージを提供することでBaaSと同じような、低コストでの導入が実現できるようです。
こちらもBaaSと同様に大手金融機関と提携しており、楽天証券のおまかせ資産運用サービス「米国ETFラップ」を運営しています。
スマートプラスがやばい!株取引アプリ「STREAM」のサービス終了!
2024年4月に株取引アプリ「STREAM」が同年10月31日でサービスが完全に終了することが発表されました。
そのため、現時点において新規口座の開設や株取引は一切できなくなっています。
サービス終了の理由は、SBI証券や楽天証券などの証券会社などが相次いで「国内株式取引手数料0円」とするなど、STREAMのサービス開始時にはなかった競合サービスが登場し、環境が厳しくなっているためと説明されています。
ただ外部環境の悪化だけでなく、冒頭の業績でも触れたように赤字が続いており、上場企業2社の合弁であるスマートプラスは早期の黒字化を求められて、選択と集中へ舵を切ったのでしょう。
他のサービスへの波及はある?
個人的な見解ですが、「STREAM」と同様に他のサービスも終了していくことは考えにくいでしょう。
その理由は、事例として紹介したセブン銀行やセゾン、楽天証券などに提供しているサービスは親会社のFinatextホールディングスにとっての中核事業だからです。
Finatextホールディングスの売上高のうち約7割がスマートプラスが手掛けるBaaSやDigital Wealth Managerであり、会社の存続=事業の継続といっても過言ではないでしょう。
現状において、Finatextホールディングスは2013年に設立した会社でようやく2024/3期に営業黒字を達成し、これから成長が期待されている企業です。
株価も堅調で市場からの評価も高いことがうかがえるため、むしろ今後よりよいサービスが受けられるようになっていくことが期待できます。
まとめ
スマートプラスの株取引アプリ「STREAM」が突然サービス終了を発表したことには驚きましたが、今後他のサービスへの影響は限定的と推測します。
むしろサービス終了の波及よりも今後スマートプラスのサービスは導入企業のメリットが大きいことから広がっていく可能性を秘めています。
そのため、もっと多くの企業のサービスにスマートプラスの製品が利用されていくかもしれませんね。
スマートプラスの次の動向を期待して待ちましょう!
ライター名:金融ライター ひろきち