1997年2月に設立された株式会社エム・ディー・エムが、1999年に楽天株式会社に商号を変更し、2021年4月に現在の楽天グループ(以下、楽天)に商号を変更しました。
楽天のサービスを知らない人は少ないのではないでしょうか?
国内最大級のECサイトである楽天市場、CMでおなじみの楽天カード、投資などの金融系に興味がある人には楽天銀行や楽天証券が有名です。
それだけでなく、楽天トラベルや楽天モバイル、楽天電気に楽天ポイントなどありとあらゆるサービスを保有しています。
楽天のサービスだけで日常生活に必要なサービスを得ることができるため、楽天経済圏とまで呼ばれています。
(引用:株探)
事業が拡大するにつれて株価も順調に伸びていた楽天ですが、2015年以降下落が続いています。
(引用:YAHOO!JAPANファイナンス)
一時期は1株あたり2,000円を超える楽天株が、現在では554円にまで下がっています。
どうしてここまで下落したのでしょうか?
また、楽天はこの状況を打開する術をもっているのでしょうか?
この記事では個人投資家兼副業ライターの筆者が楽天の今後の株価について解説していきます。
これを見れば、楽天が今後も伸び続ける銘柄なのか、判断する材料になるでしょう。
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楽天の株価下落について
2007年あたりから順調に続いていた株価の上昇ですが、2015年を境に下落基調になります。
なぜ、ここまでの下落に見舞われたのでしょうか?
原因は主に2つあります。
- 公募増資の発表
- モバイル事業への参入
公募増資やモバイル事業への参入がどうして株価の下落につながるのか、1つずつ見ていきたいと思います。
公募増資の発表
楽天株は一時期、買われすぎていると言われるほど人気の銘柄でした。
その後、楽天は公募増資の発表を行います。
公募増資とは企業の資金調達の手段の1つで、新株を発行して不特定多数の投資家に購入してもらうことで資金を得る方法です。
企業側のメリットは、銀行借入や社債の発行と違い利息負担、返還(償還)義務がないにもかかわらず多額の資金を調達することができます。
企業は資金調達ができ、投資家は株を購入することができる良いとこどりの方法に見えますが、デメリットがあります。
それは、既存の株式保有者の持分減少を招くことです。
株価の算出方法は簡単に説明すると、
企業の純資産÷発行株数
という計算になります。
純資産5,000万の企業が1,000株発行しているのであれば、1株あたり5万円です。
この状況で公募増資、追加で1,000株発行したとしましょう。
1株あたりの株価の算出は以下のとおりです。
純資産5,000万÷2,000株=2.5万円
半分にまで落ちてしまいました。
楽天株を保有している投資家にとってはたまったものではありません。
投資家は公募増資を機に売りに回ってしまったことで、株価を大きく下げてしまいました。
モバイル事業への参入
楽天のモバイル事業への参入は、現在の楽天の赤字にもつながる大きな原因となっています。
2017年、楽天はモバイル事業への参入を表明。
当時、政府は3大キャリアに対して値下げを要求しました。
なぜならインフラ事業において3大キャリアの利益率が20%とインフラ事業の中では抜きんでていたからです。
さらに、コロナ禍で3大キャリアはそれぞれ2,800億円の増益を上げていました。
そのため、政府からメスが入ることになったのです。
その改革の1つがキャリアの4社体制。
その4社目に名乗りを上げたのが楽天だったのです。
しかし、投資家からは不安視されていました。
モバイル事業は参入障壁が高いのです。
- 日本中にアンテナを立てる設備投資力(1兆円規模)
- プラチナバンド獲得が難しい
現在の3大キャリアは日本中に基地局を保有しています。
ドコモを例に出すと、この基地局の設置に10年間かけて1兆円規模の投資を行ったのです。
さらに、通話などの繋がりやすさ・品質を保つためにプラチナバンドと呼ばれる周波数の獲得が難しく、3大キャリアが独占していました。
難題を抱えるモバイル事業への参入が投資家の不安を生み、さらに株価を下げていったのです。
楽天の現状
楽天は大きく3つの事業を行っています。
それぞれの事業比率は次のとおりです。
(引用:Rakuten)
これら3つの事業の売上高は年々上昇しています。
それぞれの売上高や営業利益などを紹介します。
まずは、インターネットサービス。
(引用:Rakuten)
続いて、フィンテック事業
(引用:Rakuten)
最後はモバイル事業です。
(引用:Rakuten)
各表を見てもらうと、売上収益は伸びています。
フィンテック事業が一番の伸びを見せており、インターネットサービス事業がそれに続きます。
さらに営業利益まで出ています。
しかし、モバイル事業だけは売上収益が出ていても営業利益が赤字です。
このモバイル事業が楽天全体の足を引っ張っています。
(引用:株探)
上の表は楽天の業績推移です。
売上高は年々伸びていますが、その他の項目は年々赤字が増大しています。
この理由が、モバイル事業への巨額の投資なのです。
インターネットサービス事業と伸びているフィンテック事業の黒字を食い尽くしてしまうモバイル事業は、投資家から見ても不安材料でしかありません。
次は財務状況を見てみてみましょう。
(引用:株探)
自己資本比率が低く、自己資本が減少、さらに剰余金は赤字と芳しくありません。
これらの要因があってか、楽天経済圏が改悪されたという話はよく聞きます。
楽天経済圏については、もともと好待遇すぎたのもありますが、ユーザーにとっては不安です。
この状況を打破する方策はあるのでしょうか。
楽天の今後について
楽天の株価が今後伸びるためには、モバイル事業の黒字化が絶対です。
楽天は、現在主要3事業以外に海外事業(ビデオ配信サービス・電子書籍サービス・メッセンジャーアプリなど)を展開したり、モバイル事業で構築した通信インフラ(AmazonのAWSみたいなもの)の外販を行っています。
日本の市場が縮小していく中で、海外市場に目を付けることや現状の事業で得たノウハウを販売することで利益を上げていくことは確かに重要です。
しかし、楽天の業績悪化の一番の原因はモバイル事業の赤字、根本を改善しない限り、全体的な上昇はあり得ません。
楽天モバイルの契約者数は伸びており、2023年10月時点では契約者数が542万回線と上場です。
(参考:ケータイ Watch)
今後はこの契約者数をいかに利益に直結していくか、設備投資を完結するかがカギとなります。
このモバイル事業については読みにくいところがあるため、楽天の株価は伸びるかどうか、判断が難しいと個人的に思っています。
ただ、個人的には投資をしたくない銘柄です。
私は高配当株投資をしているため、配当が少ない楽天のような銘柄は買っていません。
(引用:株探)
優待で金銭同様に使える楽天キャッシュが貰えますが、100株購入して500円。
配当利回り換算で1%ほどです。
楽天経済圏にどっぷりハマっていれば考える部分もありますが、楽天のライトユーザーとしては魅力が少ないのではないでしょうか?
そのため、自身では購入は控えるという判断をしました。
楽天の株式を購入する時の参考にしてみてください。
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