1988年に地域ベル電話会社のベル・アトランティックが、非ベル系通信会社の最大手GTEを528億ドルで買収したことにより誕生したベライゾン・コミュニケーションズ。
ボーダフォンの完全子会社化やYahoo!の買収を経て、アメリカの通信業界最大手に上り詰めました。
コロナ禍においても利益は横ばいと安定した業績を見せるベライゾンですが、2023年10月までの株価は下落気味で不安を覚えます。
(引用:Yahoo!ファイナンスHP)
「ベライゾンに将来性はあるのか?」
この記事では、ベライゾンの将来性を判断するために以下のことがわかります。
- ベライゾンと事業内容について
- ベライゾンの株価が下がった理由
これを見れば、ベライゾンの将来性がわかり、投資判断する材料になるでしょう。
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ベライゾンと事業内容について
ベライゾンはアメリカの大手通信事業の一角です。
(引用:株探米国HP)
アメリカには、ベライゾンの他にAT&TとT-Mobile、Sprintの4つの大手通信会社があります。
日本の携帯会社である、docomo・KDDI・Softbank・楽天モバイルと似た構成です。
その中でもベライゾンはトップに位置するといわれています。
ベライゾンの事業内容は大きく2つ。
ベライゾンコンシューマーグループとベライゾンビジネスグループです。
ベライゾンコンシューマーグループでは、個人消費者に向けてサービスを展開しており、無線および有線通信サービスを提供しています。
売上に占める割合は約70%です。
ベライゾンビジネスグループは、企業向けにビデオおよび会議サービス、セキュリティを提供しています。
コロナ禍においても影響を受けず、非常に安定した業績を上げています。
(引用:株探米国HP)
配当実績も高く、利回りは6~7%台と高く、19年連続で増配しているため、配当狙いの銘柄としても人気です。
ダウ平均工業株価の30社にも採用されています。
※ダウ工業株30種平均指数は、主要業種の代表的な30の優良銘柄で構成されている株価の単純平均指数のこと。Appleやアメリカン・エクスプレス、ウォルトディズニーにゴールドマン・サックス・グループなど、有名企業が並ぶ
(参考:180.co.jp)
そんなベライゾンですが、2021年から2023年後半にかけて株価の下落が続きました。
(引用:Yahoo!ファイナンスHP)
株価の下落を招いた原因は何だったのでしょうか?見ていきましょう。
ベライゾンの株価が下がった理由
ベライゾンの株価が下がった理由は以下の3つが考えられます。
- Yahoo!の買収と売却
- 金利上昇の影響
- ウォーレン・バフェット氏がベライゾン株を売却
株価が下がった理由を確認して、将来性や安定性があるかみていきましょう。
Yahoo!の買収と売却
ベライゾンは2017年にインターネット事業を手がけるYahoo!を買収しました。
理由は、本業である通信事業以外の事業の柱を作るためです。
ベライゾンの競合企業であるAT&Tがワーナーメディアを巨額買収し、コンテンツ事業に力を入れました。
対抗策としてベライゾンは、通信事業とインターネット事業に注力したのですが、思ったような成果は得られませんでした。
通信事業との相乗効果を生まなかったため、2021年5月に投資ファンドへYahoo!の売却を発表。
(参考:日本経済新聞)
目的としていた事業の新たな柱の構築ができませんでした。
このような事業投資の失敗により、株価が下がったと推測できます。
金利上昇の影響
ベライゾンは有利子負債を約1,400億ドルかかえています。
5G関連の高速通信へ大規模投資しており、投資負担が重く、業績に反映されています。
通期利益見通しも予想に届かず、株価にも影響を与えているようです。(参考:REUTERS)
追い打ちをかけるように、米国では金利が上昇しているため、有利子負債を抱えているベライゾンの支払いは、金利上昇分増加します。
支払い費用を回収するために、値上げをすると契約者数の減少が予想されるため、安易に選択できません。
金利上昇局面は、ベライゾンにとってマイナス要因です。
ウォーレン・バフェット氏がベライゾン株を売却
最後の株価下落理由は、投資の神様といわれるウォーレン・バフェット氏がベライゾン株を売却したことです。
2022年、ウォーレン・バフェット氏が率いるバークシャー・ハサウェイがベライゾン株を売却しました。(参考:NEWS PICKS)
バークシャー・ハサウェイは、保険業を足場とする機関投資家で、ウォーレン・バフェット氏が代表を務めているため、その影響力も絶大です。
バークシャー・ハサウェイは2021年末時点で、ベライゾン株約1億5,900万株を保有していました。
そのすべてを売却したため、ベライゾン株は大きく下落しました。
投資の神様が手放したため、市場からの信頼を失ったことが推測できます。
まとめ:ベライゾン株は安定性を見込んで長期保有が吉
ベライゾン株について紹介してきました。
ベライゾンとは、アメリカの通信事業会社で、日本でいうdocomoやKDDIのようなポジションの企業です。
ベライゾンの事業の柱は2つ。
個人向けの無線および有線通信サービスを提供しており、ワイヤレスサービスではアメリカ全体に展開しています。
売上に占める割合は約70%と大きく、ベライゾンのメイン事業です。
もう一つの柱は、企業向けにビデオおよび会議サービスやセキュリティなどを提供しています。
ベライゾンの株価は2021年から2023年後半にかけて下落傾向です。
考えられる理由は以下の3つ。
- Yahoo!の買収と売却
- 金利上昇の影響
- ウォーレン・バフェット氏がベライゾン株を売却
通信事業に次ぐ事業の柱の構築を考えて、2017年にインターネット事業のYahoo!を買収しました。
しかし、本業との相乗効果は得られず、2021年に売却。
ベライゾンは、5Gの高速通信に対し大規模投資を行いました。
投資による有利子負債を約1,400億ドルかかえています。
アメリカでは現在、金利の上昇局面を迎えているため、1,400億ドルの負債の返済が重くのしかかる状況です。
返済コストを回収するために、値上げをすることで契約者離れが想定されるため、安易に値上げを行えません。
ベライゾンにとっては辛い状況です。
2022年には投資の神様といわれるウォーレン・バフェット率いるバークシャー・ハサウェイがベライゾン株をすべて売却しました。
ベライゾン株が売却されたと知った多くの投資家は、ベライゾン株を手放し株価が下落。
ベライゾンにとって厳しい状況が続きました。
私はベライゾン株について、将来性はないと思います。
ここでいう将来性とは、GAFAMやNVIDIAのように株価が高騰し、テンバガーになる銘柄かどうかという意味です。
※GAFAMとはGoogle(Alphabetの子会社)・Apple・Facebook(現Meta)・Amazon・Microsoftの頭文字をとった総称。
通信事業以外の柱の構築に失敗したり、有利子負債を抱えたりと苦境に立たされているベライゾンですが、その安定性は抜群です。
売上高などの業績はほぼ横ばいですし、配当は19年連続で増配しています。
配当性向もそこまで高くなく、50%前後です。
通信事業の安定感がうかがえます。
将来性を見込んで買うのではなく、安定した配当金狙いで購入はアリだと思います。
株価が下落している今は、むしろ買い時かもしれません。
通信事業が盤石なのは、日本のキャリアを見ていても感じます。
アメリカのトップ通信事業であるベライゾンの購入は悪くない選択肢ではないでしょうか?
ベライゾン・コミュニケーションズの株式を購入する時の参考にしてみてください。
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