この記事で分かること
- 楽天グループの株価が安いワケ
- 楽天グループの事業内容
- 楽天グループの株価の今後の見通し
上記の内容が理解できる記事を執筆しました。
この記事を読めば、楽天グループの株安な理由や今後の投資判断の材料が得られますよ!
株投資歴10年の著者が、楽天グループの株価および今後の動向について解説します。
楽天グループの会社概要
社名 | 楽天グループ株式会社 |
証券コード | 4755 |
本社 | 東京都世田谷区玉川1−14−1 |
設立 | 1997年2月 |
上場 | 2000年4月 |
市場 | 東証プライム |
従業員数 | 32,079名(2022年12月) |
株価 | 856円(2024年3月28日終値) |
配当利回り | 0.58%(2022年12月期) |
楽天グループ(4755)は、通販、携帯電話、クレカなどの多岐に渡る事業を展開するグループ会社です。
最も業績が大きいのは、通販(楽天市場など)のインターネット関連事業で売上全体の54%を占める(楽天グループ公式)
楽天モバイルで代表される情報通信・電力エネルギー関連事業も売上の多くを占めており、モバイル事業の売上は全体の16%を占めています(楽天グループ公式)
しかし、モバイル事業は近年伸び悩んでおり営業利益で赤字が続いている状態でやばいと言われています。
楽天グループの事業内容
楽天グループは、ネット通販など非常に多くの事業を行っています。
ここでは楽天グループが行う以下の事業について説明します。
- インターネット関連事業
- 情報通信・電力エネルギー関連事業
- インベストメント事業
- フィンテック関連事業
以下で解説していきますね。
インターネット関連事業
Eコマース(電子商取引)を中心に展開されているインターネット事業です。
サービスの例として、楽天市場、Rakuten Fashion、楽天ブックスがあります。
楽天市場は業者と消費者を結ぶ場として業界内で大きな存在感を示しています。
その他、楽天トラベルなどのトラベル事業、ドリーム事業も手掛けています。
情報通信・電力エネルギー関連事業
モバイル事業に代表される情報通信・電力エネルギー関連事業です。
楽天モバイル、楽天コミュニケーションズ、楽天エナジーというサービスがあります。
楽天グループは2019年にモバイル事業に参入し、当初は大手キャリアから回線を借りていました。
最近では通信インフラを自社で構築し独自回線を開設するなど多額の設備投資をしています。
直近(2023年第4四半期10-12月)のモバイルセグメントの営業利益は-700億円となっており、これからモバイル事業が収益を得て回収できるのか注目です。
インベストメント事業
インベストメント事業は、主にスタートアップなどの未開拓領域の事業です。
サービスの中には、楽天ドローン、楽天ファーム、楽天キャピタルがあります。
楽天ドローンでは、ドローン自動走行ロボットを活用した配送デリバリーサービスを提供しています。
フィンテック関連事業
フィンテック事業は、クレジットカードなどの金融系のサービスを提供する事業です。
代表的なサービスとして、楽天ペイ、楽天ポイントカード、楽天証券、楽天銀行があります。
フィンテック事業は、楽天グループの直近の業績の中で30%と大きな割合を占めており楽天グループの中核を担う事業です。
金融サービス間で相互に連携しており得られる楽天ポイントは楽天市場での買い物やさまざまな支払いにて使用することができます。
楽天グループの業績推移
楽天グループの数年の業績推移について解説しますね。
現在の楽天株価が安い理由を解説する前に、過去の楽天グループの業績を見ることは重要だからです。
- 売上収益
- 営業利益、営業利益率
以下でそれぞれについて解説しますね。
売上収益
楽天グループの売上収益はこの一年堅調に成長しています。
以下を見てください。
(出典:楽天グループ)
多少のばらつきはあるものの、2023年1-3月から2023年10-12月にかけて売上は右肩上がりとなっています。
直近の2023年10-12月の売上は約5,800億円となっています。
営業利益、営業利益率
楽天グループの営業利益は、ここ一年は赤字続きとなっています。
以下をご覧ください。
(出典:楽天グループ)
簡単に語句説明をするとIFRS営業利益は、国際財務報告基準(IFRS)に基づく営業利益です。
またNon-GAAP営業利益は、会計ルールに基づかない営業利益です。
これらを見ると、2023年1月から12月にかけては常に営業利益は赤字が続いていることがわかります。
売上は堅調に成長しているものの、営業利益がマイナスになっているところが業務改善の余地があります。
ただ2023年の10-12月は赤字を大きく減らし、-390億円となっています。
楽天グループ株価の推移
過去の株価の変動を解説します。
現在の株安になる前に起こった株価変動要因を見ることで、今後の株価動向の予測にもつながるからです。
以下が楽天グループの過去の株価推移です。
(出典:日本経済新聞)
特に、以下の2つの期間に着目して解説しますね。
- 2017年6月から2018年5月にかけて
- 2021年5月から2022年6月にかけて
2017年-2018年の株価下落
2017年に楽天グループは、携帯キャリア事業に参入することを正式に表明しました。
この参入表明が株価下落の発生要因の一つとなります。
楽天グループは、NTTドコモ、ソフトバンク、KDDIの大手が市場を独占している中でそれらに次ぐ携帯キャリアのポジションを目指し参入しました。
2019年10月に移動体通信業者(MNO)としてサービスを開始し、2023年度からの黒字化を目指し、最大6,000億円の設備投資を行うと宣言していました。
しかし、上記の競合企業が独占する中、楽天グループが巨額の投資をしてまで市場参入したことに株式市場はネガティブであり、株価が下落していきました。
(出典:日本経済新聞)
2021年-2022年の株価下落
2021年から2022年にかけて株価が下落した要因の一つは、楽天モバイル事業の業績不振です。
2021年には日本郵政が楽天グループに投資をしたことから株価は一時期急騰しましたが、その後は楽天モバイルの業績不振によって株価が下落しています。
2019年にモバイル事業に参入して以降、赤字が続いており投資家の株式の売却が相次ぎました。
(出典:日本経済新聞)
楽天株の安さのワケ
この記事の本題である楽天グループの株価はなぜ安いのかについて解説します。
理由は以下になります。
- モバイル事業の業績不振
- 経営状態の悪化
- インターネット関連事業の業績低下
- 大規模な資金調達に伴う株式の価値低下
上記についてそれぞれ解説しますね。
モバイル事業の業績不振
上述のように2019年にモバイル事業に新規参入しましたが、毎期赤字が続いている状態です。
(出典:楽天グループ)
モバイル事業以外(インターネット関連事業、フィンテック事業)で生まれた利益をモバイル事業の赤字で潰してしまっている状態です。
このような経営状態なので、株が売られてしまっています。
経営状態の悪化
モバイル事業の業績不振の結果による楽天グループ全体の経営状態の悪化も一つの要因です。
上述のようにモバイル事業以外で出た収益をモバイル事業の赤字で潰してしまっている状態ですので、全体的な経営は良くありません。
また、楽天ポイント事業における特定の場合におけるポイント付与の停止などの改悪がされています。
ユーザーが楽天グループから流出することに繋がり、さらに業績不振を招くかもしれません。
インターネット関連事業の業績低下
ネット通販(楽天市場)における競争力の低下による業績低下も株安の要因となっています。
競合企業にAmazonがあります。
Amazonは独自の物流センターの効率性や規模も楽天グループをはるかに上回っており、それがネット通販における楽天グループの競争力低下を引き起こしています。
競争力の低下から投資家からの株式売却が多くなったと考えられます。
大規模な資金調達に伴う株式の価値低下
楽天グループの大規模な資金調達によって、株式の価値が低下する懸念も一つの要因です。
楽天グループは公募増資を2023年5月に行い、追加で約3,000億円を資金調達しました。
この資金は主に楽天モバイルの設備投資に投じられました。
この資金調達の結果、楽天グループの発行済み株式数は3割ほど増加しました。
一般的に株式数が増加すると、1株あたりの利益還元が減少することから株式の売却が増加し、株価下落の要因となります。
楽天株の今後
楽天グループの株価の今後および今は買うべきかについて、解説します。
楽天株の今後の見通し
数年規模ではモバイル事業が黒字化し、楽天グループの株価は上昇すると考えられます。
というのも、楽天モバイルの回線契約数は右肩上がりで伸びているからです。
2023年3月の回線契約数は457万回線だったのに対し、2023年12月時点では596万回線となっています。
ただ、黒字化にはまだまだといったところで基地局設営などの設備に投じた資金を回収するには、もっと契約回線数を増やさなければならないようです。
今後、楽天グループが打ち出しているプラン「楽天最強プラン」や「最強家族プログラム」がどこまで業績アップにつながるのか注目です。
業績が低下するような事態も起こりうるかもしれません。
楽天株は今買うべき?
2024年は様子見がおすすめ。
その理由として、モバイル事業の黒字化が確実ではないからです。
(出典:日本経済新聞)
現在は800円台を推移しています。
少し株価が上昇傾向で数年規模ではモバイル事業が黒字化しさらに株価が上昇すると見通していますが、今後モバイル事業が再び業績不振となることも十分考えられます。
そのため、モバイル事業が黒字化し業績が安定するまでは、様子を見ることをおすすめします。
楽天モバイル事業の動向、楽天グループの動向を見てから、投資判断をしても遅くはありません。
まとめ:楽天株は様子見がおすすめ
- 楽天グループの株価の安さは主にモバイル事業の業績不振によるもの
- モバイル事業の黒字化は先行き不透明
- 楽天グループの株価は様子見がおすすめ
楽天グループの公式が発表している文書を基に楽天株の株安に関して記事を作成しました。
楽天グループの株安の主たる要因はモバイル事業による影響なので、今後も楽天モバイル事業の業績には注目しましょう。
この記事が皆さんにとって有益な情報となれば著者として嬉しい限りです。