今回はVYMの配当金をメインテーマにしながら、過去の配当実績やETFとしての特色、構成銘柄などさまざまな角度から分析・解説します。
この記事でわかること
- VYMの配当金実績、配当利回り、配当シミュレーション
- VYMの経費率や資産総額、組入れ銘柄など基本的な仕様
- VYMのメリット・デメリット
- VYMはどのような投資手法に向いているのか
実際に米国ETFで投資を行っているファイナンシャルプランナーの筆者が、あなたの投資判断に役立つ解説をします。
VYMの配当実績を見てみよう
VYMの配当実績をご覧いただきましょう。
まずは直近5回の配当金です。
2024年
日付 | 分配金(米ドル) |
2024/3/15 | 0.6555 |
2023年
日付 | 分配金(米ドル) |
2023/12/18 | 1.0995 |
2023/9/18 | 0.7846 |
2023/6/20 | 0.8767 |
2023/3/20 | 0.7172 |
年間合計 | 3.4780 |
分配回数は年4回、分配利回りは2024年3月現在2.83%です。
次に、2020年から2023年までの配当金年間合計額の推移を見ていただきます。
(米ドル)
2023年 | 年間 3.4780 |
2022年 | 年間 3.2518 |
2021年 | 年間 3.0961 |
2020年 | 年間 2.9061 |
このように長期で見ると増配傾向であることがわかりますね。
VYMの配当シミュレーション
ここでは、1か月あたりの配当目標に対する必要投資額を見てみましょう。
1か月あたり1万円の配当金を得たい
外国税額控除を利用しない | 必要投資額 590万円 |
外国税額控除を利用する | 必要投資額 530万円 |
1か月あたり5万円の配当金を得たい
外国税額控除を利用しない | 必要投資額 2,900万円 |
外国税額控除を利用する | 必要投資額 2,600万円 |
受け取った配当金を再投資して加速度的に増やすという手法もありますね。
SNS上でも、VYMで配当生活を実践している方がいらっしゃいますね。
VYMは米国高配当株400銘柄に投資するETF
VYMは正式名称をバンガード米国高配当株式ETFといい、FTSEハイディビデンド・イールド・インデックス指数への連動を目指します。
FTSEハイディビデンド・イールド・インデックス指数とは? 米国株式市場における高配当利回りの銘柄を対象とし、REITを除く銘柄で構成される時価総額加重平均型の株価指数です。 |
VYMの基本データ(2024年3月現在)
価額 1口120.99ドル
構成銘柄数 413
経費率 0.06%
純資産総額 4兆3,000億円
VYMは安定した配当収入が得られることから、日本でも人気のあるETFです。
株価の変動に比べて、配当金は大きな増減をしません。
(参考文献:世界一やさしい米国ETFの教科書 ソーテック社)
情報技術(IT)セクターの比率は低めの一方、金融セクターが高い比率で組み入れられていることから、急激な株価上昇は見込めないものの、安定して配当金を生み出しています。
VYMの組入れ上位銘柄
VYMは米国株式市場の平均利回り以上の配当金を出す銘柄で構成されています。
順位 | 組入れ企業 | 比率 |
1 | JPモルガン・チェース | 3.61% |
2 | ジョンソン&ジョンソン | 3.39% |
3 | P&G | 2.58% |
4 | ホーム・デポ | 2.56% |
5 | バンク・オブ・アメリカ | 2.34% |
6 | インテル | 2.05% |
7 | コムキャストClass A | 1.92% |
8 | ベライゾン・コミュニケーションズ | 1.88% |
9 | エクソン・モービル | 1.85% |
10 | シスコ・システムズ | 1.72% |
(参考文献:世界一やさしい米国ETFの教科書 ソーテック社)
VYMの株価推移
(出典:SBI証券)
VYMの株価は2020年のコロナショック以降も再び上昇しており、今のところ堅調に推移しているといえるでしょう。
高配当株は、株価が下落したときは配当利回りが上昇し、それがプロテクターとなり、株価が下落しづらい特性があります。
その一方で、高配当の銘柄は成長が見込めない成熟した企業であることが多く、株価上昇についてはあまり過度な期待を持たないほうがよいでしょう。
VYMのメリットとデメリット
VYMのメリットとデメリットを把握することが投資の判断材料となります。
VYMのメリット
①経費率が低い
VYMは他の高配当株式ETFと比較して信託報酬が低く抑えられているのが注目すべき点です。
VYM 0.06% HDV 0.08% SPYD 0.07%
②分散投資が可能、リスク低減
VYMは構成銘柄数が413本で、広く分散投資されるためリスクを低減できます。
③安定した配当収入が得られる
高配当株式に投資するVYMは、値上がり益よりも安定した配当金を狙う手法に向いています。
VYMのデメリット
①キャピタルゲイン狙いには向かない
高配当の銘柄は成熟した企業が多いことから、株価の上昇によるキャピタルゲインを狙う投資にはあまり向いていません。
②配当利回りは他の高配当ETFに比べると低め
VYMの配当利回りは、他の高配当株ETFに比べてやや劣ります。
VYM 2.83% HDV 3.35% SPYD 4.45%
③二重課税を避ける場合、確定申告の必要がある
米国ETFの投資では、米国で10%、さらに日本で20.315%の所得税が課税されます。
この二重課税を避けるために確定申告の手間があるということも留意しておきたいですね。
VYMへの投資におすすめの証券会社
VYMに投資するならネット証券で2強といわれているSBI証券と楽天証券がおすすめです。
SBI証券
口座開設数1,100万口座の人気ネット証券です。
米国ETFが購入可能、NISAの取扱いがあり、住信SBIネット銀行と連携すれば資金の移動が容易に行えます。
売買手数料 1回の取引につき
0ドル~上限22ドル
約定代金×0.495%(税込み)
楽天証券
口座開設数1,000万口座で、マイページの見やすさと操作性の良さで支持されているネット証券です。
米国ETFが購入可能、NISAの取扱いがあり、グループの楽天銀行と親和性が高く、資金移動が容易に行えます。
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0ドル~上限22ドル
約定代金×0.495%(税込み)
まとめ:VYMは安定した配当収入が狙える米国高配当株ETF!
今回はVYMの配当金とETFとしての特性を詳しく解説しました。
米国の高配当株に投資するVYMは長期的に増配傾向で、安定した配当収入を得たい投資家に向いているETFです。
徹底的に値上がり益を狙うような投資手法には向いていないものの、経費率の低さと分散投資による低リスクが特色のVYM。
長期にわたってインカムゲインを得たい人は検討の価値があるでしょう。
(参考文献:世界一やさしい米国ETFの教科書 ソーテック社)
(参考サイト:SBI証券)
(参考サイト:楽天証券)
ライター名:ファイナンシャルプランナー 瀬木直人