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モデルナの今後の株価は?コロナ特需を受けた企業の今後を解説【米国株】

モデルナは2010年に創業された企業が起源の比較的新しい企業です。

ビジネス領域は創薬・医薬品開発・ワクチン技術を主軸としたバイオテクノロジー産業になります。

2018年12月にNASDAQ上場を果たし、株式公開時の評価額は75億ドルとバイオ・製薬企業では史上最高額をつけました。

2021年10月には時価総額1,370億ドルを超え、世界有数の規模と業績を持つにいたります。

(引用:株探米国

NASDAQ上場時から順調に株価を上げていたモデルナですが、近年は下落傾向です。

(引用:Yahoo!ファイナンス

モデルナの株価は今後どのように変化するのでしょうか?

この記事では、モデルナの今後の株価について解説します。

モデルナの概要

モデルナの始まりは、幹細胞生物学者のデリック・ロッシ氏の研究を商業化することがキッカケです。

モデルナの強み

焦点があてられたのはmRNA。

mRNAは生体内でタンパク質を作る情報源となる物質のことです。

mRNAは2023年のノーベル生理学・医学賞を受賞する研究にも使われています。

(参考:”2023年ノーベル生理学・医学賞「mRNAワクチンを実現した修飾塩基の研究」“とは

このmRNAをもとにモデルナはあらゆる病気の創薬開発を進めてきました。

一例は以下のとおりです。

  • がん
  • 呼吸器疾患
  • インフルエンザ
  • RSウイルス
  • ノロウイルス

mRNAを用いたワクチンは従来のワクチンとは違った特徴を持っています。

従来のワクチンは、弱ったもしくは死んだウイルスを体に摂取させ、そのウイルスに対する免疫を作るものです。

しかし、mRNAを用いたワクチンは違います。

  1. mRNAを体細胞が取り込む
  2. mRNAの情報をもとにウイルスのタンパク質に変化
  3. ウイルスのタンパク質に対する抗体を得る

mRNAを使うメリットは、他の方法よりもウイルスのタンパク質を作るステップを省略でき、効率が上がることです。

問題は熱に弱いことで、保管温度に注意しなければなりません。

この方法を世界で初めて用いて新型コロナウイルスのワクチンを作ったことで一躍脚光を浴びました。

創業して20年にも満たない外国企業にも関わらず、日本人にも聞きなじみがあるのは新型コロナウイルスの騒動があったからです。

(参考:moderna|モデルナ、がん、気象疾患、感染症にわたる良好な臨床結果により、mRNA医薬品領域を拡大
(参考:すこやかコンパス|ワクチンの種類 正しく知ろうワクチンのことVol.2

モデルナは新型コロナウイルスワクチンの特需で一気に株価を上げました。

(引用:Yahoo!ファイナンス

2021年8月には500ドル近くまで株価が上昇。

しかし、その後下落していき現在では110ドル前後を推移しています。

モデルナ、株価下落の背景

モデルナの株価下落の背景には、新型コロナワクチンの問題がありました。

  • 自国で認可が下りなかった
  • コロナ禍以降のワクチン需要の減少

上記の問題が足を引っ張り、モデルナの株価が大きく減少してしまったのです。

自国で認可が下りなかった

12歳から17歳へのモデルナのワクチン接種の認可が得られませんでした。

アメリカの食品医薬品局(FDA)がリスクの審査に時間を要するとして通知。

12歳以上へのワクチン接種に関して、同業のファイザーらに大きな後れを取りました。

(参考:東洋経済ONLINE|ワクチン接種巡るFDAの判断受けモデルナ株が急落

株価の急落はこれで終わりません。

コロナ禍以降のワクチン需要の減少

コロナ禍が収まってきた時期、ワクチン接種の需要が減少。

2023年7~9月期決算では最終損益が5,400億円もの赤字でした。

新型コロナウイルスが蔓延したことにより、世間の関心はワクチン一色と言っても過言ではなかった状況。

そんな中あらわれたのがファイザーやモデルナといった製薬会社のワクチンです。

当初はワクチンのお陰で黒字化を果たしていたモデルナですが、コロナ禍が収まるにつれ、需要が減少します。

(引用:株探米国

創業間もない企業は設備投資を筆頭にさまざまな投資に力を入れているため、赤字企業が多い中、モデルナは2021年と2022年は黒字に転じています。

コロナ特需と言っても過言ではありません。

しかし、2023年は潮目が変わりました。

日本でも外出自粛が解かれ、ワクチンに対する需要が激減。

モデルナは赤字を被ることになりました。

(参考:日本経済新聞|モデルナ赤字5400億円 7~9月、ワクチン販売が減少

モデルナの将来性

モデルナの将来性はあると思います。

理由は次の通りです。

  • mRNA技術をもとに多くの新薬を開発している
  • 2025年に挽回するための手を打っている

mRNA技術をもとに多くの新薬を開発している

強みの部分でも触れましたが、モデルナはmRNA技術をもとに多くの新薬を開発しています。

mRNA技術は2023年のノーベル生理学・医学賞を受賞するほどのポテンシャルある分野です。

この技術のおかげで、我々の生活を脅かしていた新型コロナウイルスから身を守るワクチンも開発できました。

モデルナの強みはmRNAを使った新薬だけでなく、そのプラットフォームにあります。

mRNAの創薬をより効率的にするためにAIを使った自動サイクルを築き上げました。

  • 膨大なデータの収集と解析
  • 予測モデリング

これらを可能にし、モデルナでは「3日でワクチンができる」ほどです。

自社に特化した分野があり、その分野が医療界を変えるほどの可能性を秘めており、それを突き詰めているため、モデルナの地位は安泰です。

(参考:日本経済新聞|モデルナが3日でワクチンを作れた理由

2025年に挽回するための手を打っている

モデルナは2023年の売上高を控えめに予想しました。

理由は先述したとおり、コロナワクチン需要の低迷です。

当初の予測は60~80億ドルだったところ、60億ドルに変更しました。

2021年の勢いを考えると低空飛行に感じます。

しかし、モデルナは2024年に新ワクチンを発売し、2025年には売上高が回復すると予想しました。

モデルナは今後5年間で15もの新薬を市場に出す予定です。

その中で最大4つは2025年に出すとのこと。

モデルナが取り組んでいる新薬の種類は以下のとおりです。

  • がん
  • 3種の異なる希少疾患
  • 複数の感染症

コロナウイルスの新型ワクチンはもちろんのこと、季節性のインフルエンザのワクチンやノロウイルスのワクチンなど多種多様な薬を用意しています。

これらが市場に出回ることで、モデルナは再び上昇気流に乗ることができるでしょう。

まとめ:強みはあるが、市場がレッドオーシャン

モデルナの今後の株価は伸びると思います。

しかし、コロナ禍のような爆発的な伸びは難しいのではないでしょうか。

mRNAを使った創薬分野に強みを持っているのは確かです。

そのプラットフォームも充実しており、バイオテクノロジー産業の中で確固たる地位を築いているといえるでしょう。

しかし、創薬分野は競争が激しいレッドオーシャンです。

堅実に伸びることはあっても爆発力はないと予想します。

配当金を出していない現在、グロース株として購入するのは危険でしょう。

将来性を買って長期保有するならともかく、短期売買での利益目当ての購入は避けたいところです。

モデルナへ投資をする際の参考にしてください。

  • この記事を書いた人

マネーリテラシー編集部

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