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双極性障害で浪費癖が爆発!双極性障害の症状と浪費癖に走った女の体験談

以前に比べると心の病気が知られるようになり、理解を示す人も多くなりました。うつ病や発達障害など、多くの病気があること、そしてその病気と上手に付き合いながら生きている人もいます。

そこで今回は、浪費癖あり、双極性障害の持病を持つ女が実際にやってしまった、浪費の悲劇について書いていきます。

もともと浪費癖のある女が躁状態になってしまったら。今でもゾッとするお話です。

双極性障害はどんな病気なのか

双極性障害はひと昔前までは「躁うつ病」と呼ばれていました。言葉の通り、ハイテンションな「躁」と、体も動かすことも億劫になる「うつ」の症状を繰り返す病気です。

双極性障害について、もう少し詳しく説明します。

双極性障害とは

双極性障害1型

双極性障害は1型と2型があります。

1型の特徴としては、ハイテンションとうつの差が激しく、特に躁状態のときは「無敵」状態になっているので、人間関係や社会的信頼など、問題行為を起こすこともあります。

双極性障害2型

1型に対して2型は、1型に比べると症状が軽いのが特徴。

躁になっても「ちょっと元気かな?」という状態なので「軽躁」と呼ばれます。

双極性障害になる原因

多くの精神病と同様、双極性障害もはっきりとした原因は未だ分かっていません。遺伝により神経伝達物質の機能が変化することにより起こる、とも言われます。

ストレスにより発症することがありますが、一因でしかなく、解明されていない病気です。

双極性障害1型、躁症状

簡単に双極性障害について説明したところで、双極性障害1型の躁の場合の症状について紹介します。なおこちらの症状は一般的にある症状で、まったく当てはまらない人もいるし、別の症状が出る場合もあるので、注意してください。

  1. 躁とうつの状態を繰り返す

紹介したように、躁とうつを繰り返すのが双極性障害です。季節の変わり目や気圧の変化に弱く、特に冬はうつに、春は躁になる人が多くなります。

  1. 不眠

うつ状態の場合「眠りたいのに眠れない」という人に対して、躁状態は「眠らなくても平気!」になるのが特徴です。寝るよりもやることがたくさんあると思いこみ、何日も眠らないで行動する人もいます。

ここで「治ったから薬をやめよう!」と勝手に断薬して、うつ状態に落ちることも多々あります。

  1. 万能感

「何でもできる」「私は天才かもしれない」など、異常な万能感で頭がいっぱいになります。無茶な行動や車の運転で事故を起こした、というケースもあります。

  1. 異常なハイテンション

今までウツウツとしていた人が急におしゃべりが止まらなくなっている、と聞くと、「うつ病が良くなった」と安心しがちですが、実はそうではありません。

よく話を聞くと支離滅裂なことを言っていることが多いので、急にハイテンションになっていたら、周囲の人は注意をして見てあげてください。

  1. 感情のコントロール不能

なぜか攻撃的になる人が多いのが躁状態の特徴です。普段はおとなしいのに、急に声を荒らげたり、周囲と言い争いをしてしまったり。

中には感情のコントロールができずに人間関係が悪化して、勢いで会社を辞めてしまうということもあります。

  1. 無謀な計画・浪費

私が一番困った症状がこれでした。

何でも上手くいく、だから大丈夫、と無理な計画を立てたり、先を見越さず大きな買い物や出費をしたり。小説家の中島らも氏が躁状態になった際、コンビニのおにぎりを選ぶことができず、棚にあったおにぎりすべてを購入した、というエピソードもあります。

双極性障害を患った女の浪費体験

ここからは、実際に私が体験した双極性障害による浪費について書いていきたいと思います。

  1. うつ病からの操転

もともと私はうつ病と診断されていて、寛解できない状態が長く続いていました。薬を変えても少しは調子が良くなったかと思えば、すぐまた症状が戻る、の繰り返し。

そこで医師が「少し強い薬に変更します」と言い、別の薬を処方してもらいました。

その薬で「躁転」してしまいました。そこで初めて、私の病気は「うつ病」ではなく「双極性障害」だと判明したのです。

それまでどんよりとした気分で毎日を過ごしていたのに、突然元気になり、ハイテンションになりました。夜も眠れない、というより寝たくない。何でもやりたい。本も読みたいしどこかに出かけたいし、今ならなにか小説を書いたら大賞を受賞するのでは、と根拠なく思ったり、起業すれば大成功するのでは、と考えたり。異常な万能感に満ち溢れていました。

周囲はあまりの変わりようにびっくりしていましたが、「元気になった」と自分も周囲も勘違いをしていたことから、「躁」ということについて知るのは後のことです。

  1. 昔からの浪費癖

本当にお恥ずかしい話ですが、私は30代始めまで、つまり今回の浪費による破綻まで、貯金がありませんでした。よく「全然お金貯めていないよー」と言いつつ何百万も貯めている、という謙遜ではなく、本当にゼロだったのです。

実家暮らしということもあり、生活費を渡したら、後は自分の好きなものをどんどん購入していました。当時はPhotoshopで絵を描くことが流行りだした頃だったので、主にパソコン関係と本で給料は消えていき、給料日前はすっからかん、というのが常でした。

  1. 操転による異常な浪費

躁転したことにより、私の異常行動は浪費というかたちで爆発しました。

とにかく何でも欲しい。目についたもの、すべてが自分に必要なものに見えてしまいます。しかもネットが発達している現代、家にいても買い物ができるのです。

当時、趣味として消しゴムはんこ作りにハマっていたのですが、「何年分だ」というくらいの何十個もの消しゴム、高価なカッターや彫刻刀、何十種類もの大量のスタンプインク、何でもネットで購入しました。その当時のことを母は「毎日なにがしかの荷物が届いていた」との言葉に、私の状況が理解できるのではないでしょうか。

一番バカな買い物として覚えているのは、サックスです。

サックスを購入したのは、躁転する前の話です。大人気マンガの主人公が、サックス奏者になるためのサクセスストーリーで、「自分もやってみたい」と思い、購入しました。率直に値段を書きますが、24万円でした。

もちろん貯金がないので、2年ローンを組んで購入。それがようやく終わった月、躁転しました。万能感に満ち溢れていた私は「どこかのアマ吹奏楽団に入りたい」と思い、いくつか見学していました。ある吹奏楽団で隣に座っていた女性が私のサックスを見て、「○○(メーカー)なんですね」と、ちょっとバカにしたような発言をしたので、そこで怒りが爆発。

翌日楽器屋に行きサックスを見ていると、店員さんが近づいてきて、「これ、今日入荷したばかりなんですよ」と、あるメーカーのサックスをお勧めして来ました。それは有名メーカーのサックスで、入荷してもすぐ売り切れる人気機種でした。

試奏すると、以前のサックスにはない音に感動しました(もしかしたら、躁状態だったのでそう聞こえただけなのかもしれませんが)。

「今買わないとすぐ売り切れるかも……」というセールストークにすっかり乗り気になり、その場で購入しました。

つまり、前のローンが終わった直後にまたローンを組んだのです。本当にバカだと今でも思います。ちなみに2代目サックスの値段も24万円でした。前のサックスは購入した店舗で下取りに出したにも関わらず、たった3万円でした。

  1. 直後のうつ状態

そんな綱渡りの毎日は、ある日突然終わりました。

1ヵ月ほど異常な状態を繰り返していた私でしたが、突然うつに転じてしまったのです。

ほとんどの双極性障害の場合、躁とうつはゆるやかに変化するものなのに、私の場合は昨日まで元気だったのに、今日はうつ、という感じで、崖から一気に落ちるような感覚でした。

それはもう見事なうつ状態で、起き上がることも食事も摂れない、眠れないと、まったくの逆方向。仕事に行くことができない。仕事ができないとお給料ももらえない。もうお判りでしょう。貯金のない私には、溜まったローンを払うことができなくなってしまったのです。

  1. ローン地獄

この辺りになるとうつによる症状で記憶があいまいなのですが、毎日ヨロヨロの状態で金策に明け暮れていました。読まない本、着ることがない服、先月買ったばかりの消しゴムはんこ、道具も、オークションで片っ端から売却しました。しかし、そんなものを売ったところで得られるお金は微々たるもの。一か月の返済金額にも至りません。

「引き落としができませんでした」とのメールが、毎日のように来ました。ときには電話もあります。番号だけなので本当にローン会社かどうかは分かりませんでしたが、「きっと督促だ」と確信し、絶対に出ないようにして、布団をかぶって現実から逃げるようになりました。その頃になると買い物熱はすっかり冷めており、部屋に大量に散らばった購入物が、ガラクタのように見えていました。実際に、ガラクタだったのですが。

  1. 解決にいたるまで

もうどうにもならない。お金なんて一円もない。

観念した私は、母に事実を打ち明けました。

「お金、大丈夫なの?」躁転して買いものに明け暮れる私を心配して、母は何度かそう言っていたのですが、私は「大丈夫、大丈夫」と根拠なく笑っていました。

母に相談すると「いい齢して、何をやっているの」と呆れられました。いくら必要なの、と訊かれたので、正直に「100万」と答えました。

「学校を卒業してから働いている間に、貯金をしなかったの?」と言われましたが、そう、一円もしていなかったのです。この際白状すると、就職してから10年近く、給料日以外で10万円以上のお金が口座に入っていたことはありませんでした。それほどバカだったのです。

翌日、母は私の口座に150万円、入金してくれました。

そして、私名義の別口座を作り、そこにも10万入れてくれました。

新しい通帳を渡しながら「こっちは貯蓄用。もうひとつは引き落とし用に使いなさい」と、子どもに諭すように言われました。さらに「見てごらん」と、入金してくれた通帳を見ると、母が入金してくれた直前の残金は6000円しかありませんでした。これほど情けなく、恥ずかしい思いをしたことはありません。

「あくまで『貸す』だけだからね。これで貯金が出来なかったら、あんたはもうダメよ」と、最後通牒のような言い方で母は通帳を私に返しました。

双極性障害による浪費地獄、その後

異常な浪費によるローン返済の破綻、それによって母に迷惑をかけたことに反省し、地道に貯蓄を考えるようになりました。具体的には次のようなものです。

先取り貯金

私はうつのためしばらく仕事が出来なかったのですが、母が少し多めに入金してくれたおかげで、しばらくはお金の不安からは解放されました。

病状が落ち着いた頃、仕事に復帰し貯蓄の方法について真剣に考えることにしました。

まず始めたのが「先取り貯金」です。有名な方法ですが、一応説明しておくと「お給料が入ったら、貯蓄分を引いて、残りのお金で生活する」という方法です。

給料をさらけ出すのは非常に恥ずかしいことですが、その当時の私の手取りは平均12~13万でした。地方ということを考えても、非常に低い給料です。

その内の3万円を家賃として払い、2万をお小遣いに設定しました。貯金口座には3万。残りの5万前後は通常の口座に入れっぱなしにしておき、なにか急用でお金が必要になった場合に貯めておく、という方法を取りました。

「5万も残していたら、遣うんじゃないの?」と思われそうですが、今回のことで非常に反省し、お金の怖さを思い知らされたので、手を付ける気にはまったくなりませんでした。

ローンを組まない

躁でなくとも、簡単にローンを組んで買い物をしていたのですが、一切やめました。欲しいものがあったら地道に貯金をして、貯まったら買う。これを自分に課しました。

正直に言うと、始めは苦しかったです。「もういいよ。ローンにして買っちゃえよ」と悪魔がささやきましたが、「双極性持ちで、いつ働けなくなるか分からないんだから、絶対ダメ!」と強く言い聞かせていました。

はじめは自分の欲求に負けそうになりながら貯金していたのですが、少しずつ通帳の金額が大きくなるにつれて快感に変わっていきました。「欲しい」と思って貯金をしていたけれど、貯金が増えること、時間が経つので本当に必要なのか冷静に考える時間ができたので「やっぱり必要ないかも」と考え直す余裕ができたのも、嬉しい相乗効果でした。

クレジットカードは1枚、他は解約

浪費癖があった頃はクレジットカードを何枚も持っていて、使い分けしていたのですが、本当に必要な1枚だけを持って、あとは解約しました。私は幸いなことにクレジットカードで自転車操業する前にローンを止めてもらうことができたのですが、ローンを別のクレジットカードで返済すると、坂道を一気にかけ落ちるように返済地獄に陥ってしまうと後に聞き、本当に幸運だったと思いました。母には頭が上がりません。

クレジットカードは1枚、限度額も最低にして、できるだけ使わないようにしています。

現金で生活する

最近はキャッシュレス決済が当たり前になっていて、古希を迎える母でもキャッシュレス決済を使用しています。

確かにキャッシュレス決済は便利ですが、クレジットカードと同じで、何にいくら遣ったか分からなくなってしまうのがデメリットです。

そのため、私はお小遣いを財布に入れて現金だけで生活するようにしています。

一応PayPayはインストールしているのですが、それも少額で、遣うとしたら自動販売機でジュースを買うときくらいでしょうか。ジュース1本でも、月に何本も買えばそれなりの金額になってしまうので、基本的に使わないと決めています。浪費癖があった頃から比べると、信じられないくらい考え方が変わりました。

躁症状の場合、家族に財布を預ける

家族に「私は双極性障害の躁状態になったら異常な浪費癖が出る」ということをあらかじめ伝えておくようにしました。

「急に明るくなった、話し方に異常さを感じる、なにかいつもと様子がおかしい」と家族が感じたら、即、財布を取り上げるようにお願いしています。もしそれに対して私が怒っても「前にあんたがそう言ったから」とはねつけて欲しい、とも。そうすれば、もし浪費癖が顕著に出始めたとしても最低限の浪費で済みます。

またできればスマホも取り上げて欲しい、とも言いました。スマホを持っていたら、Amazonや楽天市場で買いものをしてしまいます。せめて病院に行くまで、それがだめなら親の見ている前だけで使用するなど、対策をしてください、とお願いしました。まるで小学生のスマホの使い方みたいですが、同じ愚行を繰り返したくないので、恥もかなぐり捨ててのお願いです。

病院へ連絡

これも家族にお願いしたことです。すぐに予約が入れられるとは限りませんが、次の週の予約まで待てない場合、緊急を要する場合は電話をしてください、と言われていたので、そのように伝えています。とりあえず躁状態を抑える薬を飲んで、異常な高揚感が落ち着くのを待つしかありませんが、誰かに伝えておくことで、浪費癖を最低限にすることができるようになりました。

最悪の場合は入院も検討する、と言われています。

まとめ:双極性障害、元気過ぎるときは浪費に注意

以上が、私の体験した双極性障害の浪費癖による破産寸前のお話です。世の中にはもっとひどい借金を抱えて、にっちもさっちもいかない、という人もいるので、私の体験はまだ「これくらいで済んで良かったね」というくらいでしょう。

しかしお金の悩みは非常に根深く、恥ずかしいので誰にも相談できない、いまこうしている間にも借金やローンで困っている、という方もいるでしょう。

お金の問題をひとりで解決することは非常に難しいことです。思い切って家族に相談するか、債務整理などの専門家に相談することをお勧めします。

私の苦い体験がお役に立てれば幸いです。

  • この記事を書いた人

マネーリテラシー編集部

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