「寝ているだけで10万円って本当?」
「とにかく楽に稼ぎたい」
「簡単で高収入なバイトをしたい」
高額な治験バイトと聞いて一番気になるのは「取り返しのつかない副作用があるかどうか」だと思います。
あるいは、ひそひそ声で語られるイメージが強いことから「闇バイト?合法なの?」と不安の方もいるでしょう。
筆者は製薬会社から臨床開発業務を請け負う会社(CRO)に5年ほど勤務していました。
治験の流れや被験者の選び方、実際に行われる検査、副作用の事例などを見てきました。
筆者自身が被験者になったこともあります。
治験バイトに興味があるけれどよくわからず不安な方、実際にどんなことをするのか知りたい方の参考になると思います。
ぜひ最後までお読みください。
健康な成人向けの治験はこちらから検索できます:治験参加の事ならV-NET
治験バイトの報酬はやばい危険手当ではない
新しい医薬品などの承認のために、有効性や安全性に関する科学的な実証データの収集を目的として臨床試験することを「治験」といいます。
報酬は負担軽減費と言われ、拘束時間や通院だけでなく肉体的、精神的な負担に応じた額を支払われます。
入院の場合は、1日当たり1万円から2万円と一見高額に感じますが、以下のデメリットを考えると妥当だと感じるでしょう。
治験バイトのメリット デメリット
治験バイトのメリット | 治験バイトのデメリット |
健康診断が無料で受けられる | 1日に10回以上採血や採尿をする日がある |
強要はされない、いつでもやめられる | やめたらその後の報酬は出ない |
入院中の食事は全て提供される | 提供されるもの以外の飲食は禁止 |
自由時間が多い | 外出は禁止、運動も制限される |
体調不良でもすぐに診察してもらえる | 副作用が未知数後遺症や死亡などもないとは言えない |
対象疾患の場合、報酬付きで診察や投薬が受けられる | プラセボ(偽薬)の場合もある |
治験を行う病院はどんなところ?
治験を行う環境について、厚生労働省HPに以下の記載があります。
治験は病院で行われます。
治験を行う病院は、「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令」という規則に定められた要件を満たす病院だけが選ばれます。
その要件とは
医療設備が充分に整っていること
責任を持って治験を実施する医師、看護師、薬剤師等がそろっていること
治験の内容を審査する委員会を利用できること
緊急の場合には直ちに必要な治療、処置が行えること
また、治験に参加する際には、
- 治験の目的
- 方法
- 期待される効果
- 予測される副作用などの不利益
などをしっかり説明され、強制されることはありません。
治験の仕組みと治験の対象者(被験者)の選び方
新薬の開発から承認までの流れについて、群馬大学のHPより画像をお借りします。
(出典:群馬大学HP)
ここではヒトが被験者となるフェーズ1,2,3を解説していきます。
やばい治験バイトと言われているフェーズ1(臨床試験第Ⅰ相試験)
- 対象は健康な成人男性
- 入院が多い
- 報酬例:1週間前後で10万円~20万円
一般的にやばい治験バイトのイメージはこの段階の治験です。
いままでマウスなどの動物を対象にしていた治験薬を初めてヒトに投与するので、免疫力が高く健康な成人男性が対象になります。
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先端医療ともいわれるフェーズ2(臨床試験第Ⅱ相試験)
- 特定の疾患をもつ患者さん(女性も含む)が対象(少数)
- 通院型が多い
- 報酬例:1回の通院で1万円程度
この段階では実際に対象の疾患をもつ人(患者さん)が対象です。
まだ認可されていない薬なので保険適用ではないけれど、市販薬で打つ手がない場合に「先端医療」として投薬を望む患者さんがいるのがフェーズ2、フェーズ3です。
多数の人が対象となるフェーズ3(臨床試験第Ⅲ相試験)
対象者はフェーズ2とほぼ同じですが、対象者は多く規模が大きくなります。
フェーズ1,2を通過している分、不安は少ないかもしれません。
【体験談】女性におすすめの治験バイト
フェーズ1は主に男性が対象でした。女性は胎児に影響を与える可能性が不明なため、対象ではないことがほとんどです。
女性には、サプリや美容ドリンク、ダイエット食品などのモニターがおすすめです。
筆者が臨床開発の会社で被験者となったのは某有名メーカーのコラーゲンドリンクでした。
1本500円以上のコラーゲンドリンクを1か月分受け取り、飲み始める前、2週間後、4週間後に皮膚の水分量を測定しました。
残念ながら1か月で実感できるほどの効果は感じませんでしたが「意識高い女子」の気分を味わいました。
デメリットとしては、希望者が多く被験者になりにくいことと、モニター期間中は化粧品やメイクを変えてはいけないことくらいでした。
トクホのモニター募集はこちらから探せます:https://cocokara-da.jp/
まとめ
治験バイトは仕事ではなく有償ボランティアという位置づけです。
新しく作られた薬が厚生労働省に認可されるため、肉体的・精神的負担等を自ら進んで引き受けるボランティア的な側面があります。
令和元年の厚生科学審議会 臨床研究部会の「臨床研究・治験の推進に関する今後の方向性について」を読むと、国民・患者の理解はまだまだ不足しており普及啓発に苦心している様子がみえます。
副作用が怖い気持ちはよくわかりますが、服用して異常行動を起こすインフルエンザの薬「タミフル」でさえ承認されています。
つまり、どんな医薬品も副作用が起こる可能性があり、治験だから怖いのではなく、薬を飲むこと自体にリスクがあるのです。
治験のあやしいイメージがなくなり、まだ決定的な治療薬が開発されていない病気(がん、アルツハイマー、免疫疾患など)に効果のある薬が1年でも早く開発、承認されるといいですね。
ライター名:岩田道(いわた みち)
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