大学生が小遣い稼ぎの目的で投資をするのはおすすめできません。
投資で小遣い稼ぎをしようとすると多額の資金や時間を費やす必要があるため、学業や生活に支障が出る可能性があります。
しかし、長期的な資産形成をする目的なら投資を始めるメリットは大いにあるといえるでしょう。
NISA制度が拡充し、投資を始めてみようと思う人が増えています。
NISAは非課税で少額から積立投資ができるため、大学生にぴったりです。
そこでこの記事では、大学生が投資をするメリットや大学生におすすめの投資方法を解説。
この記事を読めば、大学生が学業をおろそかにせず無理なく投資を始める方法がわかりますよ。
大学生が投資で小遣い稼ぎすることはおすすめできない理由
大学生が小遣い目的で短期売買を繰り替えすことは知識・時間・資金の3つの観点からおすすめできません。
投資で利益を得る方法はキャピタルゲインとインカムゲインの2種類ありますが、大学生には投資の知識や投資に費やせる時間・資金面が充分ではないため、どちらも小遣い稼ぎ目的で利益をあげようとすることは難しいでしょう。
ここでは、大学生が投資で小遣い稼ぎをすることがおすすめできない理由について解説します。
短期的な売買はリスクが高い
小遣い稼ぎのために、短期的な売買を繰り返してキャピタルゲインを得る方法は大学生にはリスクが高いためおすすめできません。
また、短期的な売買で利益を得るには、市場が開いている日中にリアルタイムで市場の動きを観察し取引のタイミングを見極める必要があるため、時間がかかるうえ一瞬の迷いで損益を分け精神的に緊張状態が続き勉学に支障が出る可能性があります。
投資は長期保有が基本です。
金融庁のデータをみると、保有期間5年では一定の割合で元本割れがあるものの、長期保有すると元本割れリスクがほとんどなくなることがわかります。
(引用:金融庁)
知識がないままに、短期売買を繰り返すことは危険です。
小遣い稼ぎどころか損失を生み出すことになるでしょう。
よって、短期売買によって小遣い稼ぎをすることは、知識・時間・資金の乏しい大学生には不向きです。
毎月の小遣いを投資で稼ぐには多額の資金が必要
毎月の小遣いをインカムゲインつまり配当収入で稼ぐことは、大学生には難しいでしょう。
その理由は、それなりの額の配当を得るためには多額の元手資金が必要であるためです。
具体例をみてみましょう。
【例】小遣いとして毎月1万円を配当収入から得たい ◎1株1000円、配当利回り4%の株を購入するとする(1株当たり配当金40円) ◎毎月1万円の小遣いを配当から得る → 年間配当金12万円 ◎12万円÷40円=3000株必要 ◎1000円×3000株=300万円 |
(筆者作成画像)
大学生で300万円以上の余裕資金があるケースは珍しいといえるでしょう。
また、実際には業績によって減配や無配の可能性もあるため、300万円あれば安定して配当が得られるとは限りません。
よって、大学生がインカムゲインで小遣い稼ぎをすることも、現実的には難しいといえます。
大学生におすすめの投資は?NISAを活用しよう
大学生が投資をするなら、NISAを活用しましょう。
大学生が長期保有を目的に積立投資を始めると運用期間を長く確保できるため、メリットが多いといえます。
NISAは少額から長期的に投資を行いたい人が非課税で運用できる「少額投資非課税制度」です。
NISAを使って投資できる対象は積立投資枠と成長投資枠で異なりますが、投資信託やETF、個別株などさまざまな金融商品に投資できます。
ここでは、大学生におすすめの投資を紹介します。
投資信託
投資信託は、ファンドマネージャーにお金を預けて、プロに代わりに運用してもらう金融商品です。
信託報酬がかかるものの売買手数料はかからないことが多く、分配金を自動的に再投資することもできるため手間がかからないことがメリットです。
信託報酬が低いファンドを選べば、コスト面もさほど気になりません。
投資信託はNISAを利用して少額から積立投資が可能(積立投資枠)で、余裕資金が出たらスポット買付も可能(成長投資枠)です。
初心者にも比較的始めやすい金融商品といえます。
単元未満株
単元未満株は、日本株は通常100株で購入できることが一般的ですが、1株から購入することができる株式のことです。
1株から購入できるため、投資資金が少額で済むうえ配当金も受け取れることがメリット。
NISAも利用できるため、個別株投資のハードルがグッと下がるでしょう。
まとまった資金がなくても始めやすいため、いきなり多額の資金を投入することが不安な人や資金のない大学生にも始めやすい投資といえます。
ただし、指値注文ができず成行注文となるため、やや割高で取引される可能性があることに注意が必要です。
ポイント投資
ポイント投資は、「楽天ポイント」や「Pontaポイント」「Vポイント」など、ショッピングなどで貯めたポイントを用いて投資ができるシステムです。
自分の手持ち資金を使わずに、貯めたポイントだけで投資ができることが最大のメリット。
自分の手持ちを減らさず、しかもNISAも使えるため気軽に投資をすることができます。
ただし、楽天ポイントは楽天証券、Pontaポイントはauカブコム証券など、証券会社が限られることに注意してください。
ポイント投資を検討している場合は、経済圏に合わせて証券会社を選ぶと効率よく投資ができますよ。
純金積立
純金積み立ても始めやすい投資の1つです。
純金積み立ては1000円程度から積立投資が可能な金融商品です。
純金は、世界共通でその価値が認められており価値がゼロになることはないため、比較的安全な資産として投資することができます。
また、純金価格は戦争など世界情勢が不安定な状況下で上がる傾向があり、過去5年間右肩上がりです。
(引用:田中貴金属工業)
値動きが大きくないためあまり大きな利益はあがりませんが、比較的安定した資産として長期保有に向いた商品といえます。
少額から投資できるため、大学生にも始めやすいでしょう。
大学生が投資をするメリット
大学生が長期的な視野で資産形成を目的に投資をすることは、投資期間や投資をする過程で得られる経験の観点でメリットがあります。
次に大学生が投資をするメリットを3つ解説します。
長期的な運用が可能
大学生が投資をするメリットの1つは、運用期間を長期的に確保できることです。
前述したとおり長期保有するほど投資リスクは下がるうえ、積立期間が長いことで月々の積立金額を少なくすることができます。
長期保有すればするほど、複利の恩恵を受けられるため利益が増える可能性が高いといえるでしょう。
お金が働く感覚が身につく
大学生が投資をすると、早期にお金が働く感覚を身につけられることがメリットです。
実際に投資を始めると、労働を伴わずにお金がお金を生む仕組みを理解できるため、大学生にとって有益な経験となるでしょう。
投資の神様と言われるウォーレン・バフェット氏の言葉に「少額でもいいから投資をしてください。本を読むだけではダメです」という有名な言葉があります。
知識がないまま投資をすることは危険です。
しかし、一生懸命本を読んで知識をつけても、実際に投資をしていなければ何も生まれません。
少額でも投資をしていれば、複利の効果を実感できるでしょう。
アルバイト以外の収入ができる
大学生にとって、アルバイト以外の収入があることは大きいといえます。
学業を優先しながら労働収入を充分確保することは難しいため、配当金や分配金を含めて投資で得た利益は不労所得として有益です。
それが小遣い稼ぎになるかどうかは別として、少しでもあれば精神的な安心感をもたらすでしょう。
大学生のアルバイト収入は平均月3万円程度というデータがあります。(参考:独立行政法人 日本学生生活支援機構「令和2年度学生生活調査報告」)
3万円から毎月貯蓄をするというのは、なかなか進まないのが現実でしょう。
毎月数千円ずつでもお金を働かせると学業に差し支えることなく貯蓄を増やすことができます。
大学生が投資をするときの注意点
大学生が投資をするなら、投資のリスクをきちんと理解することが大切です。
注意点を把握して、自己責任のもと投資を行ってください。
ここでは、大学生が投資をするときの注意点を解説します。
余裕資金で行う
投資は余裕資金の範囲で行うことが基本です。
無理に資金を捻出して投資につぎ込んでしまうと、投資で損が出た時に生活に支障をきたす場合があるため、しばらく使う予定がない資金を使いましょう。
使う予定がない資金なら多少損が出ても長期保有して回復を待つことができます。
投資してすぐ現金化すると元本割れするリスクが高まるため、「放っておける」資金で投資をすることが大切です。
投資詐欺急増中!詐欺に注意する
近年、SNSによる投資詐欺が急増しています。
基本的に、ローリスク・ハイリターンのうまい話なんてないことを心得ておきましょう。
国民生活センターによると、SNSをきっかけに著名人とのつながりを示して投資に勧誘されるトラブルの相談件数が、2023年度には2022年度の9.6倍であったと報告されています。(参考:国民生活センター)
また、警察の公式サイトでは、SNS型投資詐欺の認知件数や被害金額の速報値を出しています。
大阪府警が公表するデータによると、令和6年9月時点でのSNS型投資詐欺の認知件数は前年同時期の3倍近い数字です。(参考:大阪府警)
NISA制度の拡充に伴い投資を始めようとする人が急増しているため、知識不足のまま投資を始める人が狙われています。
著名人の名前を出して信用させ、投資をすすめて資金をだましとる手口が横行しているのが現状です。
「こんなうまい話はないはず」と自分で判断ができるよう、投資の基本的な知識をおさえてから始めましょう。
利益が多ければ扶養から外れる場合も。NISA口座なら問題なし
大学生が投資をして大幅に利益が出た場合は、扶養から外れる可能性があることを覚えておきましょう。
多くの大学生は保護者の扶養家族であることが多いですが、投資で得た利益は所得とみなされるため、所得(例えば、アルバイト収入と株式の譲渡益)が一定の額を超えると扶養家族ではなくなってしまいます。
その結果、扶養控除が適用されないため保護者が納めるべき税金が増えることになります。
ただし、NISA口座で運用している場合の利益は非課税であるため、いくら利益が出てたとしても扶養から外れることはないため安心してください。
投資をしたいと考えている大学生でまだNISA口座をもっていない人は、まずはじめにNISA口座の開設をしましょう。
まとめ:大学生が小遣い稼ぎ目的で投資をすることはやめたほうがいい。しかし、大学生が投資をすることにはメリットも!
大学生が小遣い稼ぎの目的で投資をすることは、投資に伴うリスクの高さや学業・生活への支障をきたす可能性があることからおすすめできません。
小遣い稼ぎのための短期売買ではなく、長期的な資産形成が目的なら大学生から投資を始めるメリットは大きいと言えます。
NISA口座を利用した投資信託や単元未満株・ポイント投資など、大学生でも取り組みやすい投資方法を試してみてください。
投資を考えている大学生は、まずはNISA口座の開設から行いましょう。
ただし、投資を始めるときには「ローリスク・ハイリターン」の投資話に誘われても、決して乗らないように気を付けてくださいね。
ライター名:FP2級・AFP保有ライターchaky