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米国債は買ってはいけない?初心者が知っておくべきリスクとは?

米国債は安全資産と考えられている投資商品です。

そのため、あまりリスクをとらずに運用していきたいという投資家にはとても人気があります。

しかしながら、「米国債は買ってはいけない!」という失敗経験者がいるのも事実です。

そこでこの記事では「安全資産なのにどうして買ってはいけないの?」と疑問を解消しつつ、どのようなリスクがあるのかを解説していきます。

最後まで読んで、米国債をいつ買うべきかを自分で判断できるようになりましょう。

米国債とは?

米国債とはアメリカが発行する債券です。

日本が発行する債券は日本国債と言います。

簡単にいうと「国の借金」です。

投資家は債券を購入することでお金を国に貸し付けたことになります。

貸付先が国のため、個人や企業に融資したりするよりも安全と考えられています。

また融資などと同様に、満期までの間は定期的に金利を受け取ることができ、満期が到来すれば貸し付けていたお金は満額戻ってくる仕組みです。

米国債には2種類ある

米国債には2つの種類があります。

利付債

利付債は、債券を保有している間、お金を貸している対価として金利を受け取ることができます。

満期になれば、貸し付けていたお金が全額償還されます。

例:米国債100ドル、金利3%、期間2年

1年後2年後利益
‐100ドル+3ドル+103ドル+6ドル

ゼロクーポン債

ゼロクーポン債は、利付債と違い、保有期間中の金利がありません。

その代わりに、償還額よりも安く購入することで、投資家は満期時に利益を享受することができます。

例:米国債100ドル、購入時価格:94ドル、期間2年

1年後2年後利益
‐94ドル+0ドル+100ドル+6ドル

米国債を買うメリット

米国債を購入するメリットは次のような点です。

信用力が高い

「米国債を買う」行為は、お金をアメリカに貸すことと同じです。

そのため、満期にお金が返ってくるのか、保有期間中の金利は契約通りに払ってくれるのかは、とても重要なことになります。

その点でアメリカは、世界最大の経済大国で、世界で最も信用力の高い国の1つであり、米国債を購入するときには安心感があるでしょう。

日本国債よりも利率が高い

米国債のほうが、日本国債よりも利率が高くなっています。

2024年11月時点では、日本国債10年利回りは1.0%前後に対して、米国債10年利回りは4.0%前後となっています。

つまり保有期間中の金利差は4倍です。

では、日本のほうがアメリカよりも信用力が高いかというと、日本人であれば意見が分かれるところかもしれませんが、世界的に見ればアメリカのほうが信用力が高くなっています。

事実、信用格付け機関で有名なS&Pでは、アメリカは「AA+」に対して、日本は3段階低い「A+」です。

そのため、日本よりも信用力が高いにもかかわらず、利率の高い米国債に投資をするメリットがあるといえるでしょう。

流動性が高い

個人投資家にとっては流動性はとても重要です。

生活をしていると突発的に多額のお金を必要とすることがありますが、流動性が低いと換金することができず満期まで保有しなければなりません。

米国債であれば、期間中であっても買いたいという投資家は多いため、満期よりも前に売ることも可能です。

米国債は買ってはいけない?安全資産なのにどうして?

これから米国債を買うか悩んでいる投資家が知っておくべき、リスクについて解説します。

為替リスクがある

日本に住んでいる個人の投資家にとっては、米国債を購入すると為替リスクを負うことになります。

例えば、現在の為替レート1ドル=150円で、米国債を100ドル分購入したとします。

このとき、必要なお金は15,000円です。

この米国債の償還時に為替レートが1ドル=100円になっていたらどうでしょう。

購入額
(ドルベース)
為替レート
(ドル/円)
評価額
(円ベース)
購入時100ドル150円15,000円
償還時100ドル100円10,000円
損失--▲5,000円

為替の影響だけで資産が1/3になってしまいました。

もちろんドルを使う予定があればいいですが、日本で生活しているのであれば最終的には円に換金することになってしまうため、円高になった場合には為替リスクが顕在化することになります。

米国債の価格変動リスクがある

新規に発行された米国債を償還日まで保有し続けていれば、価格変動リスクを負ってしまうことはありません。

ただ実際には、米国債を償還日前に売却することができ、経済動向や金利情勢によって価格は常に変動しています。

  • 金利低下(上昇)→債券上昇(低下)
  • 経済不調(好調)→債券上昇(低下)
  • 物価下落(上昇)→債券上昇(低下)

そのため何らかの理由で償還日前に換金したいと考えた場合には、価格が変動しているため、元本割れの可能性があることに注意が必要です。

相対的に利回りが低い

米国債をはじめとする国債は安全資産と考えられています。

そのため、株式やREITなど他の投資手段に比べてリターンが低くなります。

そのため景気が良く、企業の業績が好調で株価が上昇していくような場面では、米国債は相対的に投資の魅力がなくなってしまいます。

インフレに弱い

物価が上昇しているインフレの場面では、金利は上昇し株価が上昇していることが一般的です。

このような場合に、米国債を保有していると次のような点がリスクとなります。

  • 新しく発行される米国債のほうが、利率が高くなる
  • 債券価格は下落しているため、満期まで保有することになる
  • 日本をはじめ世界の株価が上昇しているが、余剰資金がないと株にお金をシフトできない。

インフレ時には米国債を保有することはリスクになることに注意が必要です。

米国債を買うタイミングはいつか?

米国債のリスクを考えたときに、個人投資家が買うべきタイミングは「円高」の時です。

その理由は、日本の投資家が米国債で収益を最も変動させる要因が為替(ドル円の下落)にあるからです。

金利+円安により収益の最大化が目指せます。

そのため個人投資家が米国債を買うにあたっては次のような点を意識しておくといいでしょう。

  • 満期まで保有する
  • 円に換金することは考えず、ドル資産として長期で運用する
  • 全額を米国債に投資するのではなく、株などに分散投資をする

現在の為替相場(1ドル=150円)が歴史的に見て過度に円安で、今後円高に向かっていくと考えるのであれば、現在は新たに円をドルに両替をして米国債を買うタイミングではないかもしれません。

まとめ

「米国債は買ってはいけないのか?」について解説してきました。

米国債は安全資産でありながら、日常的にドルを使わない日本人にとっては元本割れのリスクがあります。

そのため、円に両替することは考えずに、ドル資産として運用し続ける前提で投資をするなら、きっと安全資産としてリスクをおさえながら投資リターンを得ることができるでしょう。

ライター名:金融ライター ひろきち

  • この記事を書いた人

マネーリテラシー編集部

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