テキストに画像、動画や音楽など生成AIの進化には目覚ましいものがあります。
特に2022年11月に登場したChatGPTは脅威的で、司法試験合格レベルの回答を生成するほどです。
生成AIの成長はとどまるところを知らず「プログラミング」を行う、「プレゼン資料」や「都市モデル」の生成までこなすため、AIに仕事を奪われるという未来が現実味を帯びてきています。
AIにより消滅する可能性がある仕事に就いている場合は不安の対象ですが、AIによって我々の生活が豊かになる場面も存在します。
創薬を始めとする医療分野です。
薬を作るためには、人の身体構造や体組成、遺伝子情報など膨大な情報量を処理しなければなりません。
AIであれば創薬にかかる時間を大幅に短縮し、人体に効果のある薬を短時間で作ることができます。
この創薬分野で一目置かれているのがイギリスのエクセンシアです。
(引用:株探米国)
この記事を読めば次のことがわかります。
- エクセンシアの概要
- エクセンシアの財務状況
- エクセンシアの将来性
エクセンシアが自身の投資対象になるか判断する基準になるでしょう。
エクセンシアの概要
エクセンシアはイギリスのオックスフォードを拠点とし、AIを用いた製薬を手がけるヘルスケア企業です。
AIを活用し、バイオ医薬品のバーチャル設計能力を向上させました。
バイオ医薬品は、遺伝子組み換え技術や細胞培養技術を用いることで、これまで治療薬のなかった病気や従来の医薬品では効果が薄かった病気への効果が期待されています。
エクセンシアは、バイオ医薬品の設計をAIプラットフォームに統合することで1つのシステムで管理することで開発スピードと精度の向上を果たすだけでなく、以下の効果ももたらしました。
- 個々の患者に合わせた薬の開発
- 人体に最適化された薬を開発することで副作用を減らし、効果を上げる
エクセンシアの強み
エクセンシアは世界初の精密腫瘍学のプラットフォームを開発しました。
このプラットフォームにより、臨床試験において治療法の選択をガイドし、患者の病気の進行の改善に成功しています。
血液がんにかかっていた高齢女性を救ったのです。
血液がんは進行が早く、女性は6回にわたる化学療法を試みたにもかかわらず、がん細胞の死滅は不可能でした。
普通の抗がん剤では効き目がなく、打つ手がなかったところ担当医がエクセンシアの臨床実験に女性を参加させます。
臨床試験の内容は患者と抗がん剤のマッチングを行うもの。
正常な細胞とがん細胞を摂取し解析にかけることで、どの抗がん剤が女性にとって一番効果があるものか検証しました。
1番効果があったものは女性の体力が落ちていたため次点のものを採用。
採用された薬は、過去の臨床試験から女性のがんには効果がないとされていたものでした。
しかし、2年後にがん細胞は完全に消滅、女性は快方に向かいました。
エクセンシアの腫瘍学プラットフォームは製薬だけでなく、患者と薬のマッチングまで行うことが可能です。
(参考:MIT Technology Review|病気単位から患者単位へ、新薬開発を根本から変える「AI創薬」の真価)
エクセンシアの財務状況
財務状況を知ることで、エクセンシアが安全に投資できる銘柄か知ることができます。
安定したパフォーマンスを発揮する銘柄をチェックするには次の8項目に注目しましょう。
- 売上高
- EPS(1株あたりの利益)
- 営業利益率
- 1株あたりの配当金
- 自己資本比率
- 現金等
- 営業活動によるCF
- PER
売上高
売上高で着目する点は2点です。
- 右肩上がりかどうか
- 増減が激しすぎないか
(引用:株探米国)
2021年度から右肩下がりなので注意が必要でしょう。
EPS(1株あたりの利益)
EPSを見るポイントは1つです。
- 右肩上がりかどうか
表を見ると売上高と同じく、右肩下がりのため注意が必要です。
営業利益率
営業利益率は「営業利益÷売上高」で計算できます。
チェックするポイントは2点。
- 7%以上あるかどうか
- 毎期のびているかどうか
各年度の営業利益がマイナスのため、営業利益率も注意が必要な値です。
エクセンシアは本業からの利益が乏しい状況といえます。
1株あたりの配当金
株式購入の目的として配当金があります。
配当金の項目でチェックするポイントは「増配を続けている」かどうかです。
エクセンシアは配当を出していません。
今は利益を事業に投資をすることが、投資家に対する一番の還元策なのでしょう。
これから、もっと成長する余地があることを示しています。
自己資本比率
自己資本比率は「企業が倒産しないか」を測る指標です。
企業の成長性にもよりますが、40%以上あれば安心といえます。
自己資本比率も毎期右肩下がりですが、60%以上をキープしているため、倒産の危険性は少ないでしょう。
営業活動によるCF
営業活動によるCFは「商売をして手元の現金がどれだけ増えたか」を表す指標です。
チェックポイントは次の2点。
- 毎年黒字であること
- 増加傾向であること
(引用:MINKABU)
営業CFは常に赤字が続いており、2022年には赤字が拡大しました。
エクセンシアの本業による収益力は、これから伸びることに期待です。
現金等
企業が現金をどのくらい保有しているか測る指標で「増加傾向である」ことがポイントです。
表では現金残高が公表されていません。
PER
エクセンシアのPERは表示されていません。
(引用:株探米国)
エクセンシアの財務状況まとめ
エクセンシアの財務状況で健全といえる数値は、自己資本比率のみでした。
今はまだ事業が軌道に乗っておらず、営業利益が低いのが難点です。
事業投資や事業提携により資金が貯まってくれば、充分に挽回が可能でしょう。
自己資本比率が高く、すぐに倒産する可能性は低いため、気長に長期保有できる人にはおすすめです。
エクセンシアの将来性
エクセンシアの将来性はあると思います。
理由は以下の通りです。
- AI創薬分野の市場成長
- 提携企業の豊富さ
2点においてエクセンシアは他の企業に優位性を持っているため将来性があるといえます。
AI創薬分野の市場成長
AI創薬分野の市場成長はすさまじく、2022年には30億米ドルとされていた市場規模が2030年までには79億4,000億米ドルと倍以上の市場規模になると推測されています。
創薬のAIプラットフォームを持つ企業が大手バイオ医薬品企業と提携することで、市場の成長が促進される可能性まであります。
(参考:FORTUNE BUSINESS INSIGHT|ヘルスケアIT/創薬市場における人工知能)
エクセンシアは世界初となる腫瘍学のAIプラットフォームを持っているため、成長産業であるAI創薬市場の中でも優位性を持つことが可能です。
提携企業の豊富さ
エクセンシアに将来性があるといえる2つ目の理由は「提携企業の豊富さ」です。
エクセンシアの提携企業は数多く、30を超えるプロジェクトを展開しています。
- 住友ファーマ(日本)
- BMS社(アメリカ)
- サノフィ(フランス)
- メルクKGaA(ドイツ)
上記の企業は一例ですが「がん・免疫領域」「代謝性疾患領域」「創薬スピードの向上」「資金提供」などさまざまな分野・内容で世界中の企業と提携しています。
上場前には日本のソフトバンクグループも目をつけており、ソフトバンクグループが主導して約570億円相当の資金調達にも成功しています。
(参考:会社四季報ONLINE|ソフトバンクグループが主導、英進行製薬企業の資金調達)
各国から注目度が高いエクセンシアは今後さらに飛躍すると考えられます。
まとめ:財務状況に不安があるも、将来の伸びが楽しみな銘柄
エクセンシアはイギリスのバイオヘルスケア企業です。
AIを使った創薬に力を入れており、世界初の腫瘍学のAIプラットフォームを開発した実績を持ちます。
AIを使うことで、患者にマッチした薬の選択や創薬が可能で、病気単位ではなく患者単位で薬を作ることが可能です。
AIを使った創薬市場は2030年までに約80億米ドルにまで成長する見込みで、現在のほぼ倍の大きさです。
成長産業に属し、世界初のAIプラットフォームを持っている点からエクセンシアの将来性は充分あると思います。
エクセンシアを購入するときの参考にしてください。