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冬のボーナスが出なかった。うちだけ?会社に支払う義務はあるのかを法律で確かめました

冬のボーナスが出なかった。うちだけ?会社に支払う義務はあるのかを法律で確かめました

結論から書きます。冬のボーナスが出なかったこと自体は、それだけでは違法になりません。労働基準法には賞与の支払を会社に義務づける条文がなく、厚生労働省のモデル就業規則も、賞与は労基法その他の法律によって設けることが義務付けられているものではないと明記しているからです。

もうひとつ先に伝えておきたいことがあります。厚生労働省の毎月勤労統計調査の特別集計では、2025年の年末賞与を支給した事業所は、事業所規模5人以上の調査産業計で76.5パーセントでした。前年の2024年は77.8パーセントです。裏を返せば、4分の1近い事業所は年末賞与を出していません。うちだけかもしれない、と思っているなら、統計の上ではそうではありません。

目次

それでも違法になりうる場合があります

「賞与に支払義務はない」で話が終わるのは、会社に賞与の制度がない場合や、制度はあっても金額の決め方が業績や査定に委ねられている場合です。あなたの就業規則や労働契約に賞与の定めがあり、支給時期と支給金額があらかじめ決まっているなら、扱いは変わります。大阪労働局は、そうした賞与の減額は労働条件の変更に当たり、原則として個々の労働者の同意がなければ有効とされない、と説明しています。

ただし同じ回答には続きがあります。会社の業績により賞与の支給金額を決定する、勤怠や業績評価などの査定を経て支給額を決定する、といった定めが就業規則にある場合、適正な査定による減額なら問題はないと思われる、とも書かれています。つまり、決め手になるのは「賞与という言葉が就業規則に載っているか」ではなく、「金額があらかじめ確定する書き方になっているか」のほうです。

もうひとつ、就業規則そのものが書き換えられた場合の話があります。労働契約法9条は、使用者は労働者と合意することなく就業規則を変更して労働条件を不利益に変更することはできない、と定めています。ただし10条の例外があり、変更後の就業規則を労働者に周知させ、不利益の程度や変更の必要性、内容の相当性、労働組合等との交渉の状況などに照らして合理的であれば、変更後の内容が労働条件になります。あなたの会社のケースが有効か無効かは、この記事では判断できません。判断の枠組みだけを持って、次の確認に進んでください。

答えが変わるのは、自分がどのパターンに当てはまるかです。就業規則に賞与の定めがあるか、金額の決まり方まで書いてあるか。この2点で、あなたが次に見るべき資料が変わります。当てはまるものを選んでみてください。

あなたの会社の就業規則や労働契約には、賞与について何と書いてありますか。

名前もメールアドレスも聞きません。どれが選ばれたかの件数だけ、記事を直すための集計に使います。

法律と国の資料が実際に書いていること

ネット上の解説ではなく、条文と行政資料の原文を並べます。ここを読んでおくと、会社の説明を聞くときに何を確かめればいいかが分かります。

論点一次情報に書いてあること出典
賞与は賃金か賃金、給料、手当、賞与その他名称の如何を問わず、労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのものを賃金という(定義であって、支払義務の根拠ではありません)労働基準法11条
毎月払いの対象か賃金は毎月1回以上、一定の期日を定めて支払わなければならない。ただし臨時に支払われる賃金、賞与その他これに準ずるものは、この限りでない労働基準法24条2項
就業規則に定める義務があるか臨時の賃金等(退職手当を除く)及び最低賃金額の定めをする場合においては、これに関する事項(定めをする場合に限って記載が必要な項目です)労働基準法89条4号
制度そのものは義務か賞与は、労基法その他の法律によって設けることが義務付けられているものではありません厚生労働省 モデル就業規則 令和7年12月版
請求できる権利はいつ生まれるか賞与の請求権は、使用者の決定や労使の合意・慣行等によって、具体的な算定基準や算定方法が定められ、支給すべき金額を定めることにより初めて発生します厚生労働省 確かめよう労働条件(賞与不払い)
決まっていた賞与を減らす場合就業規則等により予め支給時期、支給金額を定められているものであれば、賞与減額は労働条件の変更になり、原則として個々の労働者の同意が無ければ有効とされません大阪労働局 よくあるご質問(賃金・退職金・賞与関係)

出典は e-Gov法令検索 労働基準法厚生労働省 モデル就業規則(令和7年12月版・PDF)厚生労働省 確かめよう労働条件 賞与不払い大阪労働局 よくあるご質問です。2026年9月3日に確認しました。なお大阪労働局の回答は地方の労働局が出しているもので、全国一律の行政解釈として断定はできません。

厚生労働省のモデル就業規則には、賞与の条文例そのものも載っています。第50条は、算定対象期間に在籍した労働者に対し会社の業績等を勘案して支給日に支給する、としたうえで、「ただし、会社の業績の著しい低下その他やむを得ない事由により、支給時期を延期し、又は支給しないことがある」と続きます。国が示すひな型の時点で、出さない場合があることが書き込まれているわけです。あなたの会社の規定が同じ文言とは限らないので、ここは自分の目で読む必要があります。

年末賞与が出なかったのは、あなたの会社だけではありません

数字で見ておきます。厚生労働省が毎月勤労統計調査から追加で集計している「支給事業所数割合」は、事業所の総数に対して賞与を支給した事業所の割合を示したものです。以下の表にある「調査産業計」は、調査の対象になっている産業をすべて合わせた数字という意味です。会社単位ではなく事業所単位の数字なので、「会社の何パーセント」と読み替えないでください。

区分2025年2024年
年末賞与を支給した事業所の割合(規模5人以上・調査産業計)76.5パーセント77.8パーセント
年末賞与を支給した事業所の割合(調査産業計・規模30人以上)92.8パーセント92.6パーセント
夏季賞与を支給した事業所の割合(規模5人以上・調査産業計)73.4パーセント73.0パーセント

出典は厚生労働省の毎月勤労統計調査です。年末賞与は 2026(令和8)年2月分結果速報及び2025(令和7)年年末賞与の結果 に付いている特別集計「令和7年年末賞与(一人平均)」、夏季賞与は 2025(令和7)年9月分結果速報及び2025(令和7)年夏季賞与の結果 に付いている特別集計「2025(令和7)年夏季賞与(一人平均)」から取りました。どちらもエクセルのシート「賞与2」にある表2の数字です。2026年9月3日に確認しました。年末の76.5パーセントを100から引くと23.5パーセントになりますが、これは公表値ではなくこちらの計算です。夏と冬では調査の対象期間が違うため、73.4と76.5を単純に並べて増えた減ったと語るのは避けてください。

2025年の年末賞与を産業別に見ると、支給した事業所の割合は、飲食サービス業等が51.3パーセント、生活関連サービス等が56.5パーセント、卸売業・小売業が74.7パーセント、郵便局や協同組合などが入る複合サービス事業が98.1パーセントでした。同じ年の同じ調査でも、業種によって半分近くまで開きます。あなたの会社が出さなかった背景に、業種と規模という構造的な要因がある可能性は、この数字からも見て取れます。

よくある誤解

誤解1 労基法が賞与を賃金と書いているから、払う義務がある

労働基準法11条は賞与を賃金に含めています。ただしこの条文は、何を賃金と呼ぶかを決める定義規定です。支払を命じる条文ではありません。賃金に当たることと、支払義務があることは別の話です。この区別を落とすと、誤解にはまります。

誤解2 給料と同じで、支払期日が法律で守られている

毎月1回以上・一定期日払いを定めた労働基準法24条2項には、ただし書があります。臨時に支払われる賃金と賞与は、この原則から明文で外されています。ですから、月給の支払日が守られなければ即座に問題になるのに対し、賞与は同じ土俵に乗りません。これは「出さなくていい」と書いた条文ではなく、支払時期の規制から外れる、という意味です。

誤解3 去年まで出ていたのだから、今年も請求できる

厚生労働省の確かめよう労働条件は、賞与の請求権は具体的な算定基準や算定方法が定められ、支給すべき金額を定めることで初めて発生する、と整理しています。前年に受け取った実績があることと、今年の分の請求権が発生していることは、同じではありません。逆に、就業規則や労使の合意で金額の決まり方まで固まっていた場合には、話が前に進む余地があります。

誤解4 支給日の直前に辞めても、働いた分はもらえる

厚生労働省のモデル就業規則は、支給対象者を6月1日や12月1日、あるいは賞与支給日に在籍した者とする規定を設けることで、その日に在職しない人には支給しない扱いも可能だと解説しています。確かめよう労働条件のページにも、支給日または一定の基準日に在籍する者のみに支給する取扱いは有効とされている、と書かれています。ただし、モデル就業規則の説明は、就業規則にその規定を設けることを前提にしています。確かめよう労働条件のほうは、大和銀行事件などの裁判例を根拠に有効性を説明しています。どちらも、どんな在籍要件でも無条件に通る、という意味ではありません。あなたの退職日が、あなた自身の希望ではなく会社の都合で支給日の前に置かれた場合など、事情によって扱いが変わることもあります。判断がつかないときは、退職日を誰がどう決めたかをメモに残して相談窓口で聞いてください。

自分で確かめる手順

ここからは今日できることです。順番に進めてください。

  1. 就業規則を開いて、賞与の章を探します。労働基準法106条は、使用者に対し、就業規則を常時各作業場の見やすい場所へ掲示するか備え付ける、書面を交付するなどの方法で労働者に周知させる義務を課しています。社内ポータルや総務にある冊子で見られるはずです。賞与の章の場所を確認するついでに、副業や兼業の章があるかも見ておきます。
  2. 賞与の条文に、支給時期と支給金額の決め方がどう書かれているかを読みます。金額が計算式や固定の月数で確定するのか、会社の業績や査定で決まるのか。この違いが結論を分けます。
  3. 「ただし、会社の業績の著しい低下その他やむを得ない事由により」といったただし書があるかを見てください。あれば、会社はそこを根拠にしています。
  4. 入社時に受け取った労働条件通知書や雇用契約書を出します。労働基準法15条と同法施行規則5条により、賞与に関する事項は定めがある場合に明示すべき労働条件とされています。書面に賞与の記載があるかどうかを見てください。
  5. 就業規則が最近改定されていないかを調べます。賞与の条文が削られていたり、支給条件が書き換えられていたりする場合は、労働契約法9条と10条の問題になります。改定日と、改定の説明を受けた記憶があるかをメモしておきます。
  6. ここまでを日付つきでメモに残します。誰から何と言われたか、どの条文にどう書いてあったか。相談する段階になると、この記録がそのまま材料になります。

手順4で詰まる人が多いのが、労働条件通知書が手元にないケースです。会社に再発行を頼むこと自体は普通の手続きなので、遠慮する必要はありません。

会社と話しても進まないときの相談先

就業規則を読んでも判断がつかない、あるいは会社の説明と規定の中身が食い違う。そのときは、厚生労働省の総合労働相談コーナーがあります。同省の案内によると、解雇、雇止め、配置転換、賃金の引下げ、募集・採用、いじめ・嫌がらせ、パワハラなどのあらゆる分野の労働問題を対象にしていて、専門の相談員が面談もしくは電話で対応します。予約は不要、利用は無料、各都道府県労働局や全国の労働基準監督署内など378か所に設置されています。土日祝日と12月29日から1月3日は閉庁です。

設置場所は 厚生労働省 総合労働相談コーナーのご案内 で確認できます。2026年9月3日に確認しました。相談に行くときは、手順6で作ったメモと、就業規則の賞与の条文の写しを持っていくと話が早く進みます。

相談先はここだけではありません。就業規則や労働契約で支給時期と支給金額が確定していた賞与が支払われていない場合は、賃金の不払いとして労働基準監督署に相談する道もあります。最寄りの署は 厚生労働省 都道府県労働局(労働基準監督署、公共職業安定所)所在地一覧 で調べられます。費用をかけずに法律の専門家に聞きたい場合は、日本司法支援センター(法テラス) に、弁護士や司法書士による無料の法律相談を受けられる民事法律扶助という制度があります。利用には条件があるので、自分が対象になるかは法テラスの窓口で確認してください。どちらも2026年9月3日に確認しました。

相談窓口で見通しを聞いたうえで、会社の規定上は不支給が説明できてしまう、という結論になる人もいます。争うかどうかは、規定と記録を見てからあなたが決めることです。ここでやめる判断も、続ける判断も、どちらも間違いではありません。

そのうえで、来年以降に同じ不安を持たないための手を打つなら、賞与に左右されない収入を少額でも別に持っておく方法があります。ただし、就業規則に副業の許可制や禁止の定めがある会社は珍しくありません。手順1で就業規則を開いたときに、賞与の章と一緒に副業の章も読んでください。副業ができる場合は、クラウドワークスのような仕事の受発注サイトで文章作成やデータ入力を月に数件受ける、マクロミルのようなアンケートサイトで通勤時間に答える、といった小さい入口があります。年に2回の一時金に家計の計画を預けない、という一点だけが目的です。

賞与を前提にしない収入の組み立て方を考えるなら、手取り30万はどんな仕事で稼げる?目指せる職種を紹介も合わせてどうぞ。

まとめ

  • 賞与の支払を会社に義務づける条文は労働基準法にありません。厚生労働省のモデル就業規則も、賞与は法律で設けることが義務付けられた制度ではないと書いています
  • 就業規則や労働契約で支給時期と支給金額があらかじめ決まっていた賞与を減らす場合は、労働条件の変更に当たり、原則として本人の同意が必要だと大阪労働局は説明しています
  • 賞与の請求権は、算定基準や算定方法が定まり、支給すべき金額が決まって初めて発生する、というのが厚生労働省の整理です
  • 2025年の年末賞与を支給した事業所は、規模5人以上の調査産業計で76.5パーセント。出なかったのはあなたの会社だけではありません
  • まず就業規則の賞与の章と労働条件通知書を読んで、金額の決まり方とただし書を確認してください。今日できる一番確実な一歩です
  • 判断がつかなければ、全国378か所の総合労働相談コーナーに予約なし・無料で相談できます
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