生活保護受給者は、必要性が認められればメガネを無料で作ることができます。
視力低下がある人にとって、メガネは生活に必要不可欠なものです。
そのため、医師がメガネを必要と判断すれば、治療材料として生活保護費で購入することが可能です。
ただし、生活保護費でメガネを作るにはいくつか注意点があります。
この記事では、生活保護受給者がメガネを無料で作る手順と注意点について解説します。
この記事を読んで、手順を確認してから購入するようにしてください。
生活保護の給付でメガネを作る条件
生活保護受給者が、生活保護の給付でメガネを作る条件は2つです。
①医師がメガネの必要性を認めていること(意見書があること)
②定められた給付上限額の範囲内であること
メガネは、医療扶助の治療材料費として現物給付されます。
治療材料費は、生命維持のために必要であったり、症状の改善のために他に方法がない場合に給付されるものです。
治療材料費の給付を受けるためには、医師の意見書によって日常生活に著しい支障があることが示される必要があります。
また、眼の症状によってメガネ代の上限額が決まっており、その範囲内で自分に合ったメガネを作ることが条件です。
近視度によって、およそ1万7,000円〜2万5,000円の範囲で上限額が設定されています。
乱視がある場合には加算があり、片眼、両眼に関わらず加算額はおよそ4,000円です。
遠近両用メガネが必要な場合は、矯正用メガネ2個分の上限価格から、修理基準の枠交換(1個分)を除いた額を限度として給付されます。
詳しい金額については、眼科を受診した後にケースワーカーに確認するとよいでしょう。
※記事執筆(2024年7月)時点
(参考:厚生労働省)
無料でメガネを作る手順
生活保護受給者が、無料でメガネを作るためには申請手順を遵守しなければなりません。
それでは、申請方法を詳しく解説します。
1.ケースワーカーに伝える
メガネを購入したい時は、まずケースワーカーに申請しましょう。
ケースワーカーから、「医療券」と「給付要否意見書」を受け取ります。
「医療券」は生活保護指定医療機関での受診費用を給付するためのものです。
「給付要否意見書」は治療材料費の給付可否を判断するために必要な書類です。
医療機関で書いてもらう必要があるため、受診時に忘れずに持参するようにしましょう。
2.指定医療機関の眼科を受診する
「医療券」と「給付要否意見書」を持って指定された生活保護指定医療機関を受診します。
この時、必ず生活保護指定医療機関に認定された眼科を選びましょう。
また、医療券1枚につき、受診できる医療機関が決まっているため、必ず決められた医療機関を受診するようにしてください。
ここで検査を受け、「給付要否意見書」の記入とメガネの「処方箋」をもらいましょう。
3.メガネ販売店に行き、見積もりをとる
次に、医療機関でもらった「処方箋」と「給付要否意見書」を持ってメガネ販売店に行きましょう。
好きなメガネを選び、「見積書」の作成を依頼します。
この時、医療機関と違い、メガネ販売店はどの販売店に行ってもOKです。
生活保護の対応に慣れている販売店を選ぶとスムーズです。
事前に問い合わせておくとよいでしょう。
4.「見積書」「処方箋」「給付要否意見書」を提出する
次は、福祉事務所に「見積書」「処方箋」「給付要否意見書」を提出します。
これらの書類をもとに、治療材料費の給付可否を決定します。
受理されるまで1ヶ月程度かかることに注意しましょう。
5.メガネを取りに行く
治療材料費給付の申請が受理されたら、メガネ販売店から連絡があります。
連絡を受けたら、メガネを受け取りに行きましょう。
一般的な申請方法は以上です。
メガネ販売店によっては、処方箋や給付要否意見書を受給者の代わりに提出してくれることもあります。
念のため、申請時にケースワーカーに給付の流れを確認しておくとよいでしょう。
注意点
生活保護受給者が無料でメガネを作るには、必ず購入前に申請が必要です。
その他、メガネを作成するにあたっていくつか注意点があります。
メガネを購入しようとする時の参考にしてください。
事後申請は不可
メガネを購入した後に申請をしても、治療材料費の給付は適用されません。
そのため、事後申請した場合は全額自己負担となります。
必ず前述した手順に沿って申請し、作成するようにしてください。
また、必要書類を準備していても、誤って自分で支払いをしてしまうと給付を受けることができなくなってしまいます。
これは、メガネは現物給付が決まりであるためです。
自分で支払わないように注意してください。
基本的に、生活保護費の給付を受けようとする時は事前に申請が必要であるということを、頭に置いておきましょう。
原則4年間は再購入できない
生活保護の給付でメガネを購入したら、原則4年間は再購入できません。
なぜなら、メガネの耐用年数が4年と定められているためです。
生活保護は最低限度の生活を保障するものであるため、特別な理由なしに頻繁にメガネを買い替えることはできません。
紛失しないよう、4年間大切に使用しましょう。
とは言え、意図せず破損することも考えられます。
また、視力がさらに低下して度数が合わなくなることもあります。
事情によっては修理や再購入できる場合があるため、ケースワーカーに相談しましょう。
修理で対応できる場合は、修理が優先されます。
(参考:厚生労働省)
必要最小限度の機能のメガネ
生活保護費でメガネを作成する時は、必要最低限度の機能性を備えたメガネに限られます。
ブルーライトカットなどのオプションレンズを選択することは認められていません。
販売店によっても異なりますが、通常、ブルーライトカットレンズや傷に強いコーティングを施したレンズなど高い機能性を持つレンズは追加費用がかかります。
生活保護で支給されるのは生活・生命維持に必要最低限のものと定められているため、オプションを選ぶことができません。
原則コンタクトレンズは対象外
コンタクトレンズは、原則、治療材料費の給付の対象外です。
通常、メガネよりコンタクトレンズの方が維持費用もかかるため、必要最低限度の範囲とは言えず対象外となります。
ただし、医師がメガネではダメでコンタクトレンズでなければならないと認めた場合は受理される可能性があります。
限られたケースであると考えられますが、事情がある方は医師・ケースワーカーに相談してみましょう。
生活保護の医療扶助
生活保護には、受給者にかかる医療費を支給する医療扶助という給付があります。
医療扶助は、生活保護受給者が医療の必要性がある時に、医療サービスを現物給付するものです。
これによって、生活保護受給者は無料で医療を受けることができます。
医療扶助の対象となる範囲は以下の通りです。
①診察
②薬剤または治療材料
③医学的処置、手術及びその他の治療並びに施術
➃居宅における療養上の管理及びその療養に伴う世話その他の看護
⑤病院又は診療所への入院及びその療養に伴う世話その他の看護
⑥移送
メガネは②の治療材料に含まれます。
続いて、医療扶助の治療材料費について説明します。
メガネは治療材料費として現物支給
生活保護では、メガネは医療扶助の治療材料にあたり、無料で支給を受けることができます。
治療材料費の対象となるのは、義肢、装具、眼鏡、収尿器などです。
治療などの一環で、これを必要とする真にやむを得ない事由が認められる場合に限り支給されると定められています。
眼鏡の場合は、治療というよりも症状緩和が目的であることも多いです。
そのため、眼鏡がないと日常生活に著しい支障がある場合も含まれます。
また、治療材料費も原則、現物給付です。
医師が治療・生命維持に必要とすると認めることで、治療材料そのものを無料で受け取ることができます。
いずれの治療材料も支給を受けるためには申請が必要です。
治療材料費の支給を希望する場合は、ケースワーカーに相談しましょう。
(参考:厚生労働省「生活保護法による医療扶助運営要領について」)
(参考:「生活保護法による医療扶助運営要領に関する疑義について」)
まとめ:生活保護ならメガネは無料で作成できる!ただし、手順を守って購入するのが絶対条件!
生活保護受給者は、医療扶助の治療材料費の給付によって、無料でメガネを作成することができます。
ただし、必ず購入する前に事前申請が必要です。
この手順を誤ると、メガネ代が全額自己負担になります。
手順に沿って生活保護指定医療機関の眼科を受診し、必要書類を揃えましょう。
お好きなメガネ店で、あなたの好みのメガネを選ぶことができます。
ただし、オプションレンズは選択できないことに注意してください。
眼の症状によって購入できるメガネの上限額が異なるため、上限額の範囲内で購入しましょう。
メガネが必要になったら、必ず正しい手順を確認したうえで購入してください。
まずはケースワーカーに報告しましょう。
ライター名:FP2級・AFP保有ライターchaky