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標準治療は自己負担なし!生活保護でがん治療はどこまで受けられるか解説

生活保護を受けている人は、医療扶助の範囲内であるがん治療は自己負担なしで受けることができます。

手術、抗がん剤、放射線治療などの標準的ながん治療は医療扶助の対象であるため、治療費を気にすることなく必要な治療がどこまでも受けられます。

しかし、医療扶助の対象外になる治療もありますので注意が必要です。

がん治療は、再発・転移などで治療が長引きやすく医療費が高額になることが多いと言われています。

きちんと最後まで治療できるのか気になるところです。

この記事では、生活保護でがん治療はどこまで受けられるか解説します。

抗がん剤も手術も無料でできる

生活保護受給者は、医療扶助によって、抗がん剤治療や手術などのがん標準治療を自己負担なしで行うことができます。

ただし、先進医療や医療用ウィッグは医療扶助の対象外です。

ここでは、無料で治療できる範囲を説明します。

がん標準治療は医療扶助の範囲内

がん標準治療は、保険適用を受けているため、医療扶助の対象となる治療です。

主に手術、薬物療法(抗がん剤治療)、放射線治療を指し、「がん三大治療」と言われています。

標準治療とは、科学的根拠に基づき現状で最良の治療であることが示され、多くの患者に行われることが推奨される治療のことです。

つまり、多くの人に効果があると認められている治療と言えます。

「標準治療」と聞くと、言葉のイメージから、効果がそこそこな治療なのかと感じるかもしれません。

しかし、そうではなく「標準治療=現状で一番良い治療」だということです。

一番良い治療を金銭面の心配なく受けることができるのは心強いですね。

(参考:国立がん研究センター がん情報サービス

先進医療・医療用ウィッグは対象外

先進医療や医療用ウィッグは保険適用を受けていないため、医療扶助の対象外です。

がんの領域においては、重粒子線治療や陽子線治療が先進医療にあたります。

先進医療は、厚生労働省が認めた新しく高度な医療技術ですが、一定の実績はあるものの、まだ認可がおりていない治療法です。

保険適用を受ける前の医療であるため、技術料は自己負担となり、一般的に費用は高額になります。

よって、生活保護受給者は先進医療を受けることはできません。

しかし、先進医療が受けられなくても、治療過程に大きな影響はないでしょう。

もう1つ、がんと切り離せないものの対象外となってしまうのが、医療用ウィッグです。

抗がん剤治療の副作用でよくみられる症状に脱毛があります。

副作用の脱毛に悩む人が医療用ウィッグを使うことはよくあることです。

特に、女性にとって脱毛による容姿の変化はとても気になる事象ですよね。

しかし、ウィッグは外観を良くする目的で使うものです。

生命維持に必ずしも必要な治療材料とは言えないため、医療扶助の対象にはなりません。

医療扶助の対象にはなりませんが、多くの自治体で医療用ウィッグの購入費を助成する制度がある場合があります。

お住まいの自治体に助成金制度があるか調べてみるとよいでしょう。

筆者は医療現場で働いていた経験がありますが、がん治療をしているとほとんどの方は脱毛を経験すると思います。

医療用ウィッグを着けて治療を頑張っている女性はとても多かったのを覚えています。

自治体の補助金などを利用して買えないか、ケースワーカーに相談してみるとよいかもしれません。

(参考:厚生労働省「先進医療の概要について」

生活保護の医療扶助とは

生活保護制度では、生活保護受給者は指定医療機関で療養すれば自己負担なしで医療を受けることができます。

これが医療扶助です。

医療扶助は、受給者本人に現金で給付されるものではなく、医療サービスを現物支給するものです。

経済的に不安があると、受診を控えたり必要な時に必要な医療が受けられない可能性が考えられます。

生活保護制度では、医療扶助によって適切に医療が受けられるよう保障されています。

ただし、申請しないと医療扶助を受けることができないため注意が必要です。

それでは、医療扶助の内容や申請方法についておさらいしましょう。

医療扶助の範囲

医療扶助の対象となる医療行為は以下のように定められています。

①診察
②薬剤または治療材料
③医学的処置、手術及びその他の治療並びに施術
➃居宅における療養上の管理及びその療養に伴う世話その他の看護
⑤ 病院又は診療所への入院 及びその療養に伴う世話その他の看護
⑥移送

これらの範囲で国民健康保険の対象となる医療行為にかかる治療費を援助するのが医療扶助です。

例えば、腰が痛くて受診した時に行った診察や検査、薬の処方は全て無料です。

入院して行った手術にかかる技術料や治療材料費、食事代もすべて公費で賄われます。

最低限の生活費とは別枠で医療費が援助される仕組みです。

こうして、生活保護受給者も健康的な生活が送れるよう保障されています。

保険適用の医療行為なら治るまで継続できる

保険適用の医療行為は医療扶助の範囲内であると説明しました。

そして、それは治療の必要性がある限りはずっと継続することができます。

特に期限や回数の制限、上限金額は定められていません。

がんは再発や転移を繰り返すことがありますが、治療の必要性がある限り、何回でも治療することができます。

医療扶助を受ける時はケースワーカーに申請を

医療扶助を受けるには事前に申請が必要です。

申請から受診までの基本的な手順は以下の通りです。

①ケースワーカーに申請する
②医療要否意見書を医療機関に書いてもらう
③医療券、調剤券が発行される
➃医療券を指定医療機関に提出して受診

まずは受診の前にケースワーカーに申請が必要です。

申請を受けたケースワーカーは、受給者に医療要否意見書などを交付します。

受給者は医療要否意見書を指定医療機関に持っていき、検診を受け意見書に記入してもらわなければなりません。

福祉事務所に意見書を提出すると、医療の必要性を判定して認められれば医療券、調剤券が発行されます。

医療券を指定医療機関に提出して受診する、という流れです。

緊急を要する場合は、申請前に受診することも可能な場合がありますが、基本的にはこの手順に沿うことで医療扶助を受けることができます。

(参考:厚生労働省

一般的にがん治療にかかる費用

一般的に、1人当たりがん1件の治療にかかる費用は入院平均77万4,890円、外来平均6万7,397円です。

令和3年度医療給付実態調査 をもとに算出(小数点以下四捨五入))

次に、がん治療における先進医療にかかる費用の平均を示します。

陽子線治療は平均265万9,009円、重粒子線治療は平均313万5,655円です。 

(厚生労働省中央社会医療保険協議会資料「令和5年6月30日時点における先進医療に係る費用」より平均値を算出)

生活保護の場合、上記の一般的にがん治療にかかる費用分が医療扶助で賄われることになります。

数字でみるととても大きい額です。

がん1件あたりの数字であるため、再発すればさらに費用が膨らみます。

これらが全額無料となる医療扶助は、心強い制度だと感じます。

まとめ:先進医療以外のがん治療は自己負担なしでできる!再発しても無料で治療を続けられる

生活保護でも、がん標準治療は自己負担なしで受けることができます。

再発しても、治療の必要がある限りは治るまで治療し続けることが可能です。

治療費の心配なく、安心して治療にのぞむことができます。

ただし、先進医療や抗がん剤の副作用による脱毛症状で医療用ウィッグを使用したい場合は、医療扶助の対象外になります。

医療ウィッグの購入費用は、自治体に助成金制度がある場合があるので、チェックしてみてください。

医療扶助を受けるには、事前に申請が必要です。

医療扶助を受けたい時は、まずケースワーカーに報告、申請をしましょう。

ライター名:FP2級・AFP保有ライターchaky

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