物価高により生活必需品が値上がりを続ける昨今。
政府が定額減税など支援策を打ち出すものの、将来に不安を覚える人も多いのではないでしょうか?
NISAやiDeCoといった制度を活用して投資を始めている人も多いと思います。
NISAなどで話題となっている投資方法は優良な投資信託を積み立てて、長期間運用するというものです。
投資というリスクを伴う資産運用において最適解のひとつとも言われており、実践している人もいるでしょう。
この投資方法では将来のための貯蓄は可能でも、現在の生活を楽にすることができません。
配当が無いからです。
優良な投資信託のほとんどは、運用で得た利益を再投資する形をとっているため、キャッシュフロー(お金の流れ)の改善ができません。
リスクを抑え、キャッシュフローの改善が可能な投資方法として注目されているのが、アメリカのETFです。
ETFとは上場投資信託のことで、日経平均株価やS&P500といった指標に連動する運用成果を目指すパッシブ型と対象指数を定めないアクティブ型のETFがあります。
そんな中、物価高の日本を救うキャッシュフローの改善を期待できるETFがあるのをご存じでしょうか?JEPIです。
(引用:株探米国)
JEPIは、2020年5月に生まれたアクティブ型のETFで、毎月分配金を得ることができます。
分配金にはばらつきがあるものの、高配当と呼ばれる水準です。
JPEIは今後も長期にわたって高利回りを維持できるのでしょうか?
この記事を読めば次のことがわかります。
- JEPIの概要
- JEPIと他ETFとの比較
- JEPIの懸念点
JEPIの特徴や他のETFと比べることで、JEPIが自身の投資対象になるのか判断する基準になるでしょう。
JEPIの概要
JEPIはJ.P.Morganが提供するETFです。
J.P.Morganはアメリカのニューヨークに本社を置く、世界有数の金融サービス会社で、JEPIの資産総額は335億ドルを超えています。
(参考:Bloomberg)
目標となる指数はS&P500です。
JEPIの大きな特徴は次のとおりです。
- カバードコール戦略を用いている
- アクティブETFの中では比較的経費率が低い
- 高配当
カバードコール戦略を用いている
カバードコール戦略とは「株式などの原資産の保有」と「コールオプションの売り」を同時に行う投資手法のことです。
JEPIは100を超える優良な企業や指数に投資をしています。
代表的なものは以下のとおりです。
- Amazon
- コカ・コーラ
- Meta
- Alphabet
- Microsoft
- マスターカード
- ビザ
- Adobe
誰もが知る大型企業が並びます。
このような企業に投資を行い、株価の値上がり益で収益をあげるのが「株式などの原資産の保有」です。
コールオプションはオプション取引を活用したものです。
オプション取引は、あらかじめ決められた期日にあらかじめ決められた価格で対象の原資産を売買する取引をいいます。
コールオプションは、オプション取引の中で「買う」権利のことです。
オプションの買い手は権利を得るために売り手に「プレミアム」というオプション料を支払います。
JEPIでは「原資産を買う権利を売る」ことで、キャピタルゲイン(株価上昇による利益)とインカムゲイン(収入利益)の両方を狙える仕組みになっています。
オプション取引のメリットは、株価が横ばいの時や下落時に決められた価格で取引ができ、オプション料が入ることです。
反対に株価が大きく上がった時には、その恩恵を得ることができません。
カバードコール戦略を用いるETFは、株価の値上がり益を狙うより、安定した配当収入を狙う投資家には好まれる傾向にあります。
アクティブETFの中では比較的経費率が低い
アクティブETFは、インデックスETFと違い、投資のプロが運用しています。
インデックスETFは、指標に近づくように機械的に運用を任せているため、コストが低いのが特徴です。
アクティブETFは人件費がかかるためインデックスETFと比べ、コストが高くなる傾向があります。
通常、アクティブETFの経費率は0.5~0.8%です。
(参考:よるかぶラボ|新NISAでお得に活用!「アクティブETF」メリット・デメリット・投資のポイントを解説)
JEPIの経費率は0.35%と0.15%以上も低くなっています。
(参考:SBI証券)
経費率の高さから避けられがちなアクティブETFですが、JEPIならコストを抑えながら運用することが可能です。
高配当
JEPIの配当利回りは6.87%です。
(参考:Bloomberg)
高配当株の運用時に目安とする配当利回りは3%以上なので、倍近くあります。
JEPIを100万円分保有しているなら毎年65,000円以上の収入です。
優良な投資先からのキャピタルゲインとコールオプションの売りによるオプション料の収入により、高利回りの配当が実現しています。
JEPIの配当は月次なので、給与所得以外の月次収入があるのは非常に魅力的です。
運用成績により配当にばらつきがあることに注意しましょう。
JEPIと他ETFとの比較
JEPIがアクティブETFの中で非常に優れた商品であることがわかりました。
次はパッシブ型のETFの代表的な高配当ETFと比べていきたいと思います。
- SPYD
- HDV
- VYM
- VIG
4種のETFの簡単な概要
比較の前にそれぞれ簡単な概要を紹介します。
SPYD
SPYDはステート・ストリートが提供するパッシブ型ETFです。
2015年10月に生まれ、資産総額は68億ドル以上になります。
指標となる指数は「S&P500高配当指数」、S&P500に採用されている企業の中から配当利回りが高い80銘柄を指数化したものです。
SPYDはアメリカの高配当株へ投資しているイメージです。
(参考:Bloomberg)
HDV
HDVはブラックロック社が提供するパッシブ型ETFです。
2011年3月に生まれ、資産総額は102億ドル以上になります。
指標となる指数は「モーニングスター配当フォーカス指数」、高い安定性を誇る銘柄で構成されており、インフラや医療・ヘルスケア企業が組み込まれています。
財務状況が健全なアメリカ企業に投資しているイメージです。
(参考:Bloomberg)
VYM
VYMはバンガード社が提供するパッシブ型ETFです。
2006年11月に生まれ、資産総額は540億ドル以上になります。
指標となる指数は「FTSEハイディビデンド・・イールド・インデックス」、アメリカのREIT(不動産投資信託)を除く高配当利回り銘柄で構成されている指数です。
アメリカの高配当かつ大型の銘柄に投資しているイメージです。
(参考:Bloomberg)
VIG
VIGはバンガード社が提供するパッシブ型ETFです。
2006年4月に生まれ、資産総額は1784億ドル以上になります。
指標となる指数は「S&P U.S.ディビデンド・クロワーズ・インデックス」、10年以上連続で増配をしているアメリカ企業で構成されています。
増配企業に投資をしており、高配当企業に投資しているわけではない点が特徴です。
(参考:Bloomberg)
各ETFの比較
各ETFの経費率・配当利回りについて比較していきます。
経費率 | 配当利回り | 配当回数(年) | |
JEPI | 0.35% | 6.87% | 12回 |
SPYD | 0.07% | 3.70% | 4回 |
HDV | 0.08% | 3.07% | 4回 |
VYM | 0.06% | 2.20% | 4回 |
VIG | 0.06% | 1.69% | 4回 |
(参考:Bloomberg|JEPI)
(参考:Bloomberg|SPYD)
(参考:Bloomberg|HDV)
(参考:Bloomberg|VYM)
(参考:Bloomberg|VIG)
経費率についてはパッシブ型ETFに敵わないですが、配当利回りが他を圧倒しています。
また、配当回数も多いのが魅力です。
100万円を各ETFに投資したとして、1年後に得られるリターンと経費について比較します。
経費 | 配当 | |
JEPI | 3,500円 | 68,700円 |
SPYD | 700円 | 37,000円 |
HDV | 800円 | 30,700円 |
VYM | 600円 | 22,000円 |
VIG | 600円 | 16,900円 |
あくまで計算上ですが、経費の高さを差し引いてもJEPIで得られる利益が高くなります。
JEPIが短い年数で335億ドル以上もの資産総額を集めた背景にはこの圧倒的な利回りが原因でしょう。
JEPIの懸念点
高い配当利回りが魅力のJEPIですが、懸念点もあります。
- 新NISAの対象外
- 経費率の高さ
新NISAの対象外
JEPIは新NISAの対象外です。
新NISAでは「毎月分配金型のファンド」や「カバードコール系のETFなどリスクの高いもの」は除外されています。
JEPIはそのどちらにも該当するため、新NISAで購入することはできません。
海外の高配当銘柄のデメリットとして、二重課税があります。
現地(海外)で課税され、日本でも課税されるのです。
確定申告で控除が可能ですが、会社員の場合年末調整で税金の手続きができるため、余分な手間がかかります。
アメリカの場合10%の税金がかかり、残額に対して日本で20.315%の税金がかかるためNISAで非課税にできなければ、高利回りの恩恵が享受しづらいです。
経費率の高さ
各ETFの比較の部分で、経費率の高さを補って配当利回りが高いのが魅力と紹介しましたが、リスクが完全に消えたわけではありません。
指数が順調に右肩上がりの時は問題ありませんが、暴落時には経費率の高さがあだになります。
運用コストは儲けが出ない場合にもかかるため、長い期間指数が右肩下がりになった場合、元本割れのリスクが出てきます。
また、運用成績が悪い場合は配当にも影響が出るため、思うようなインカムを得ることができません。
まとめ:JEPIの配当利回りは魅力的!リスクを受け入れられるなら購入も検討!
JEPIはJ.P.Morganが提供するアクティブ型のETFです。
アクティブETFの中では経費率が低めで、利回りの高さが魅力です。
パッシブ型のETF(SPYD・HDV・VYM・VIG)と比べると経費率が高く感じますが、SPYDを除くETFと比べると2倍以上の利回りを誇ります。
JEPIは新NISAの対象外だったり、指数が右肩下がりの場合に経費率の高さが懸念点です。
税金の高さが気になる人や安定性を求める人には不向きといえます。
これらのリスクをのめる場合は、購入という選択肢は大いにあるでしょう。
JEPIを購入するときの参考にしてください。