結論から書きます。ハガキで届いた訴訟の告知は、本物の裁判所からの通知ではありません。裁判所が訴訟の書類を送るときは、郵便受けに投げ込まれる形になりません。ただし、本物の通知を無視すると別の危険があるため、見分け方だけは先に押さえておく必要があります。
見分ける基準は、国民生活センターの解説と郵便法の条文にはっきり書かれています。2026年8月31日に確認した内容で整理します。
裁判所からの書類は「特別送達」で届く
ここが判断の中心です。国民生活センターは、公的機関を名乗るハガキについてこう説明しています。
裁判所から届く訴訟関係書類(呼出状・支払督促)などは、「特別送達」という特別な郵便で配達されます。これは、裁判所の名前入りの封書で、郵便配達担当者が名宛人に直接手渡すことが原則となっているため、郵便受けに投げ込まれることはありません。
出典は国民生活センターの公的機関と思われるところからハガキが届いた(2018年2月27日公表・2026年8月31日確認)です。
この特別送達は、法律で用途が限定されています。郵便法第49条第3項にこう書かれています。
特別送達の取扱いは、法律の規定に基づいて民事訴訟法第百条第一項及び第百三条から第百六条までに掲げる方法により送達すべき書類を内容とする郵便物につき、これをするものとする。
出典は郵便法(昭和22年法律第165号)第49条(e-Gov法令検索・2026年8月31日確認)です。同じ条文の第1項は、配達したうえで「その送達の事実を証明する」と定めています。誰に渡したかの記録が残る仕組みになっています。
届いたものを2列で見分ける
| 見る場所 | 架空請求のハガキ | 裁判所からの本物 |
|---|---|---|
| 形 | ハガキ。郵便受けに投げ込まれている | 裁判所名の入った封書。配達担当者が直接手渡す |
| 差出人 | 「○○省管轄××センター」など、公的機関に似せた名称 | 実在する裁判所名(○○地方裁判所、○○簡易裁判所) |
| 求めていること | 本人からの電話連絡 | 督促異議の申立てや答弁書の提出 |
| 受け取りの記録 | 残らない | 送達の事実が証明される |
国民生活センターは、届いたハガキの見出しの例として「○○に関する訴訟最終告知のお知らせ」を挙げ、内容についてこう書いています。
財産の差し押さえを強制的に執行するなどと不安をあおり、本人からの連絡を求める内容になっています。
本人からの連絡を求めるのが目的、という点が特徴です。本物の裁判手続きは、書面の提出を求めます。電話をかけさせようとしてくるものは、その時点で疑ってよい種類のものです。
連絡してはいけない理由
心当たりがないのに不安になって電話をかけると、何が起きるか。国民生活センターの説明では、次のようになります。
不安に感じて書かれている電話番号に連絡をしたところ、弁護士等の紹介費用と称し金銭を要求されたという相談も寄せられています。
加えて、連絡した時点で名前や電話番号が相手に確定します。同センターは「連絡するとさらに個人情報を知らせることとなるため、無視してそのまま放置しましょう」と書いています。
ただし、放置してよいのは架空請求のときだけ
ここを飛ばすと危ないため、正確に書きます。国民生活センターは、本物の特別送達だった場合について、こう注意しています。
本当に裁判所から届いた「特別送達」の通知であれば、「督促異議の申立て」や「答弁書」を提出する必要があります。「そのまま放置」すると、欠席裁判となり、基本的に架空請求業者の請求がそのまま認められてしまうので注意しましょう
同センターは、過去に架空請求業者が実際に裁判を起こした事例があったことも記しています。その事件では消費者が反訴して裁判に応じ、裁判所は業者の一連の手法を「訴訟詐欺ともいえる」として請求を棄却しました(東京地裁平成17年3月22日判決)。件数としては例外的なものですが、封書で届いたものを開けずに捨てるのは避けるべきだと分かります。
いま届いた1枚をどうするか
- 形を見る。郵便受けに入っていたハガキなら、裁判所からの訴訟書類ではありません。書かれている電話番号には連絡しない
- 捨てずに保管する。差出人名と文面は、相談するときの材料になります
- 不安が残るなら、消費者ホットライン188に電話する。最寄りの消費生活センターにつながります。ハガキに書かれた番号ではなく、この番号にかけます
- 封書で、裁判所名が入っていて、配達担当者から直接受け取ったものであれば、中身を開いて期限を確認する。この場合は放置しない
すでに連絡してしまった場合や、お金を払ってしまった場合も、同じ188番か警察に相談できます。国民生活センターは「絶対にお金を支払わず、お近くの消費生活センター(消費者ホットライン188)や警察等にご相談ください」としています。
まとめ
- 裁判所の訴訟書類は特別送達で届きます。裁判所名入りの封書で、配達担当者が直接手渡します
- 郵便受けに投げ込まれたハガキは、この形に当てはまりません
- 特別送達は郵便法49条3項で用途が限定されていて、送達すべき書類にしか使えません
- 架空請求のハガキは、本人からの電話連絡を求めてきます。かけると個人情報が確定し、紹介費用などの名目で金銭を要求された相談が寄せられています
- 本物の特別送達を放置すると欠席裁判になります。封書は開けて期限を確認します
- 迷ったら、ハガキの番号ではなく消費者ホットライン188にかけます
カードの明細に心当たりのない行があった場合は、別の確認手順になります。進め方は身に覚えのない請求の正体を調べる3ステップにまとめています。