「生活保護って、借金があっても受けられるの?」
こんな疑問を持っている方もいるのではないでしょうか。
この記事では、以下の3つの重要なポイントに注目して、生活保護と借金について説明していきます。
1. 借金と生活保護の関係性
2. 債務整理と生活保護
3. 生活保護申請のプロセスと借金
これらの知識をもとにあなたの状況を改善へと導くための一歩を踏み出しましょう。
この記事を読み終えるころには、より明確な行動計画を持って、借金問題に対処する自信がつくはずです。
生活保護の基礎知識と借金との関係
生活保護とは?
生活保護とは、お金の問題で生活がとても困難になった人が、最低限の生活を営むことができるように国から支援を受ける制度です。
たとえば、仕事が見つからなくてお金が足りない時や、病気やけがで働けない時など、どうしても自分や家族だけの力では生活ができなくなった人たちを助けるためにあります。
借金と生活保護の関係
大前提として、借金を返済するために、保護費を使用することはルール違反になります。
生活保護は生活を支えることを目的としています。
生活を支えるお金を、借金の返済に使うと、生活が苦しくなってしまいます。
要するに、保護費を本来の目的に使用するために、借金の返済に使うことが禁止されているのです。
借金があったとしても生活保護は受給できるのか?
借金があるからといって、生活保護を受給できないということはありません。
借金の有無にかかわらず、生活保護を受けることはできます。
ただし、申請時に、借金があることを正直に伝える必要があります。
生活保護を受給すれば借金はなくなる?
生活保護で受給したお金を、他の人が勝手にとることは法律で禁止されています。
だからといって、借金が消えるわけではありません。
保護費は勝手にとることができないというだけで、利息や延滞金などにより、借金は雪だるま式にだんだんと膨らんでいきます。
その結果、さらに借金の状況の悪化を招いてしまいます。
このような理由から、申請を検討している方は、まずは借金の整理を優先することをおすすめします。
生活保護受給中に借金返済はできるのか?
保護費は、普段の生活を送るためのものなので、借金を返すために使ってはいけません。
もし保護費をもらいながら借金を返したら、ルール違反とみなされてしまうかもしれません。
よって、生活保護をもらっている間に、借金を返すことはほぼできません。
申請をする前に、借金にどう対処するか考える必要があります。
生活保護申請前の借金への対応
借金を持つ人が生活保護申請前に知っておくべきこと
申請する際には借金について、正直に伝える必要があります。
申請時には、以下のような借金の詳細な情報を提供することが求められます。
- 借金の総額
- 月々の返済額
- 借入先の詳細
- 返済期間など
経済的に困窮している状況を評価するために、これらの情報は利用されます。
自身の財務状況を正確に申告することが、申請する際には求められます。
事前に借金に関する情報を整理し、申請書類に反映させることが申請をスムーズに進めるための鍵になります。
借金を減らすための方法
生活保護の申請を検討している方は、まずは借金の整理を優先することが重要です。
申請前に行える、借金を整理する方法として、債務整理があります。
生活保護と債務整理
債務整理の種類
債務整理には「任意整理」、「個人再生」、「自己破産」があります。
任意整理 | 個人再生 | 自己破産 | |
裁判所の手続き | なし | あり | あり |
減額内容 | 利息分のみ | 財産量によって決まる | ほぼ全額 |
返済の必要性 | あり | あり | なし |
借金の減額率 | 少ない | 財産による | ほぼ全額 |
デメリット | 小さい | 自己破産と比べると小さい | 大きい |
生活保護中に借金の返済をすることは、原則としてできません。
このことを考えると、借金をほぼ全額減額できる自己破産が唯一の手段だと言えるかもしれません。
自己破産と生活保護
自己破産は、個人が負担できないほどの借金を抱えた際に、法律の手続きを使って借金をなくしてもらう制度です。
この制度を利用すると、その人が持っている資産の大部分が売却され、その収益が債権者に分配されます。
生活保護受給者は、借金の返済が原則として許されていません。
よって、借金が免除される自己破産が唯一の解決策だと言えるかもしれません。
しかし、自己破産にもデメリットが存在します。自己破産の主なデメリットは以下の通りです。
- 新たに借金をすることや、クレジットカード作成が出来ない(ブラックリストにのる)
- 一部の職業への就職ができない
- 自分の資産を手放さなくてはならない
- 社会的な偏見や差別にあう可能性がある
生活保護を受給する場合、借金をかえすことができないため、自己破産を選ぶ人が多くいます。
しかし、自己破産することにはデメリットもあります。
よって、安易に選択を行わず、専門家とよく話し合って、じっくり考える必要があります。
生活保護申請の手順と借金の対応
借金がある人の生活保護申請のプロセス
生活保護の申請のプロセスは以下の通りです。
- 事前の相談
申請を希望される際には、住んでいる地域の福祉事務所の方に事前相談をします。
この時に生活保護の説明などを受けることが可能です。
- 保護の申請
保護の申請をすると、以下の調査が実施されます。
- 生活状況などを把握する目的で行われる実地調査(家庭訪問など)
- 預貯金・保険・不動産などの資産調査
- 扶養義務者による(仕送りなど)の可否の調査
- 年金などの社会保障給付、勤労収入などの調査
- 勤労の可能性の調査
- 保護費の支給
(出典:厚生労働省ホームページ 生活保護制度)
借金がある方は、生活保護の申請のプロセスに加えて、以下のことをすると良いでしょう。
- 借金の状況を整理する
借金の総額、返済状況、借入先などを明確にする必要があります。
- 専門家に相談する
法律の専門家に相談し、借金に関するアドバイスを受けます。
相談するときに、生活保護を考えていることをしっかりと伝えるようにしましょう。
- 福祉事務所の方に借金の状況を正直に説明する
借金があることを、正直に話し、必要書類の提出をしましょう。
借金がある人の生活保護申請に必要なもの
申請時には以下のものが必要です。
- 住民票
- 収入証明書
- 預金通帳のコピー
- 家賃の領収書
- 印鑑など
これらに加えて、借金がある場合は、借入金額、返済スケジュール、利息率などを証明する書類も必要です。
申請中および受給後の借金管理
生活保護で受給したお金は、借金を返すために使ってはいけません。
このルールをしっかり覚えて、お金の使い方に気をつけることが大切です。
生活保護受給中に借金が発覚した場合
もし、受給前の借金を隠していたことが後でわかった場合、その人が生活保護を受給する資格がもう一度チェックされることがあります。
そのため、申請するときは、自分の借金についての情報を全部、正しく伝えることが大切です。
生活保護受給後に新たな借金をするリスク
生活保護受給者がお金を借りることはできますが、借りたお金は収入として扱われます。
収入が発生した場合、その分生活保護費は少なくなります。
つまり、借金により、もらえる生活保護費が減ってしまうのです。
例えば、保護費として毎月12万円支給される人がいたとします。
この人は5万円の借金を銀行からしました。
この場合、借りた5万円は、収入として扱われます。
つまり、支給されるはずだった12万円から、借金をした5万円が引かれた7万円が保護費として支給されます。
このように、使える金額は変わらず、借金だけが増えてしまいます。
これは銀行から借りる場合も、友達から借りる場合も同じです。
生活保護中にお金を借りるメリットはないということです。
まとめ
この記事では、生活保護受給者が直面する借金の問題について詳しく解説してきました。
ここで再確認しておくべき要点は以下になります。
- 生活保護は借金をしていても受給できる
- 生活保護を受けても、借金は帳消しにならない
- 生活保護の申請の前に債務整理を考える必要がある
- 申請のプロセスで借金の状況を正直に説明する必要がある
生活保護を受ける過程で借金とどう向き合うかは、個々の状況によって異なります。
専門家の助言を仰ぎながら、自身の状況に最適な対応策を模索することが大切です。
この記事が、生活保護と借金の関係を理解し、適切な判断を下す一助となれば幸いです。
ライター名:Masataka