夫婦でも、世帯収入が定められた最低生活費未満である場合は、生活保護を受給することができます。
夫婦で生活保護を受けた時、月々に支給される生活保護費はおよそ15万〜18万円です。
この金額は、年齢や地域、世帯の状況によって変化します。
障害がある場合や子どもがいる場合には生活扶助に加算がつく場合があります。
ここでは、夫婦で生活保護を受けたら月々いくらもらえるかまとめました。
障害者加算や児童養育加算についても解説しています。
この記事を読めば、あなたがだいたいいくらもらえそうか目安がわかります。
※この記事では、一般的に毎月もらえる金額を示すため「生活保護費=生活扶助+住宅扶助」としています。
夫婦で生活保護ならいくらもらえるか検証
夫婦で生活保護を受ける場合、月々の生活保護費支給額は15万〜18万円です。
また、障害を持っている方は、障害者加算がつく可能性があります。
さらに、養育する子どもがいる夫婦には児童養育加算がつきます。
生活保護費の金額は、居住する市町村の級地区分や年齢によって変わります。
級地区分とは、生活保護費を算定する上で全国の市町村を6つの区分に分けたものです。
1級地は大都市、3級地は地方・郊外とイメージしてください。
お住いの地域の級地区分はこちら(厚生労働省)で確認してください。
次に、夫婦2人世帯で生活保護費をどのくらいもらえるのか実際に計算してまとめました。
障害者加算と児童養育加算についても解説しています。
夫婦のみ世帯の受給額はおよそ15万~18万円
夫婦2人世帯の生活保護費受給額の目安はおよそ15万〜18万円です。
45歳の夫婦、65歳の夫婦でそれぞれ試算してみました。
結果は以下の通りです。
〈45歳の夫婦2人世帯〉
都市 | 級地区分 | 生活扶助 | 住宅扶助 | 合計 |
東京都23区 | 1級地-1 | 12万3,498円 | 6万4,000円 | 18万7,498円 |
北海道札幌市 | 1級地-2 | 11万9,264円 | 4万3,000円 | 16万2,264円 |
埼玉県春日部市 | 2級地-1 | 11万3,375円 | 5万2,000円 | 16万5,375円 |
長崎県佐世保市 | 2級地-2 | 11万5,482円 | 3万8,000円 | 15万3,482円 |
東京都奥多摩町 | 3級地-1 | 11万1,904円 | 4万9,000円 | 16万904円 |
沖縄県石垣市 | 3級地-1 | 11万1,904円 | 3万8,000円 | 14万9,904円 |
(筆者作成)
〈65歳の夫婦2人世帯〉
都市 | 級地区分 | 生活扶助 | 住宅扶助 | 合計 |
東京都23区 | 1級地-1 | 12万900円 | 6万4,000円 | 18万4,900円 |
北海道札幌市 | 1級地-2 | 11万8,464円 | 4万3,000円 | 16万1,464円 |
埼玉県春日部市 | 2級地-1 | 11万5,228円 | 5万2,000円 | 16万7,228円 |
長崎県佐世保市 | 2級地-2 | 11万2,189円 | 3万8,000円 | 15万189円 |
東京都奥多摩町 | 3級地-1 | 11万1,191円 | 4万9,000円 | 16万191円 |
沖縄県石垣市 | 3級地-1 | 11万1,191円 | 3万8,000円 | 14万9,191円 |
(筆者作成)
同じ級地区分でも自治体によって、住宅扶助額が違うので支給額にも差が出ていますね。
どこに住むかによって3万5,000円近く違うことがわかります。
都市部の方が家賃や物価が高くなるため、支給額も高くなります。
表の数字は、収入がゼロである場合に受け取れる金額の目安です。
収入がある場合は、この表の金額から収入を差し引いた分だけ支給されると考えてください。
ここで言う収入とは、労働収入だけでなく、年金や手当、仕送りなども収入とみなされます。
65歳以上の場合、年金を受給していると考えられます。
年金受給額分が差し引かれることに注意してください。
障がい者の場合
受給者が、身体障害者障害等級1〜3級もしくは国民年金法施行令別表に定める1〜2級に該当する場合は、生活扶助の額に障害者加算が加えられます。
つまり、身体障害者手帳を持っている人や障害年金を受け取っている人は加算がつく可能性があります。
ここでは障害者加算について解説します。
障害者加算の金額
加算額は地域と障害等級によって違います。
1人当たりの加算金額は以下の通りです。
夫婦2人とも障害者加算の対象になる時は、2人分障害等級に合わせて加算します。
入院患者・施設入所者の場合は、級地区分が無くなり障害等級ごとに一律になります。
1級地 | 2級地 | 3級地 | 入院 施設入所者 | |
障害程度等級表 1・2級もしくは 国民年金法施行令別表に定める 1級に該当する者等 | 2万6,810円 | 2万4,940円 | 2万3,060円 | 2万2,310円 |
障害程度等級表 3級もしくは 国民年金法施行令別表に定める 2級に該当する者等 | 1万7,870円 | 1万6,620円 | 1万5,380円 | 1万4,870円 |
(筆者作成)
注意点
障害者加算について注意点が2点あります。
①障害年金と身体障害者手帳の等級は必ずしも一致しない
②申請しないと加算されない
障害者加算の認定は、障害年金を受け取っている場合は国民年金証書をもとに認定されます。
障害年金を受けておらず身体障害者手帳や精神障害者保健福祉手帳を持っている場合は、手帳に記載の障害等級をもとに判定されます。
障害年金と身体障害者手帳の等級は同一ではありません。
同じ身体状況でも一方では1級、一方では2級になる場合がありますので注意してください。
障害等級の詳細についてはこちらをご覧ください。
また、申請して認定されないと加算がつかないため、該当していると思ったらケースワーカーに相談するようにしましょう。
障害年金を受給している人は、障害年金が収入とみなされます。
障害年金分は引かれるが、加算はつく点に注意してください。
児童を養育している場合
受給者が18歳までの児童を養育している場合は、児童養育加算がつきます。
児童養育加算の金額は、児童1人当たり1万190円です。
この加算は、子どもが18歳になる日以後の最初の3月31日までが対象です。
さらに、一定の条件を満たせば「児童を養育する場合」に係る経過的加算が追加されます。
経過的加算がつく条件は以下の通りです。
①3人以下の世帯であって、3歳未満の児童が入院している等の場合
②4人以上の世帯であって、3歳未満の児童がいる場合
③第3子以降の「3歳から小学生修了前」の児童がいる場合
これらの条件に合致する時、児童1人あたり4,330円が加算されます。
そして、子どもがいればその分世帯人数が増えるため、そもそもの生活扶助基準額が上がります。
市町村によっては、世帯人数に応じて住宅扶助の額も上がるかもしれません。
子どもが1人であれば児童養育加算を含めて上の表の金額に4万円以上プラスになる可能性があります。
ただし、子どもの年齢や人数、地域によって異なるため一概には言えません。
正確な金額は必ず福祉事務所に確認してください。
夫婦で生活保護を受けることは可能
生活保護を受給する条件がそろっていれば、夫婦で生活保護を受けることは可能です。
夫婦とは、入籍の有無は関係ありません。
生計を一にしていれば内縁関係でも同一世帯として生活保護を受給することができます。
夫婦が生活保護を受給する条件は以下の通りです。
①2人合わせた世帯収入が最低生活費未満
②資産がない
③2人の心身状態が働ける状態でない
➃他に扶養できる家族がいない
次にこれらの条件を1つずつ説明します。
世帯収入が最低生活費未満
夫婦の場合、2人合わせた世帯収入が定められた最低生活費を下回っていると受給できる可能性があります。
生活保護を受けるには、収入が最低生活費未満であることが条件の1つです。
労働収入だけでなく、年金や手当、仕送りなども収入とみなされます。
これらが最低生活費つまり15万円〜18万円未満(年齢・地域によって異なる)の場合、受給できる可能性があります。
正確には年齢や地域、世帯状況によって違うため、お近くの福祉事務所に必ず相談してください。
資産がない
生活保護を受給する時には、手持ち資産が制限されます。
不動産や自動車、解約返戻金のある保険、高価な贅沢品などは基本的には売却して生活資金に充てる必要があります。
預貯金も、明確な基準はないものの、最低生活費未満程度しか保有することができません。
ただし、持ち家や自動車は状況によってはそのまま保有できるケースがあります。
ケースワーカーに相談するようにしましょう。
心身の状態が働ける状態でない
夫婦2人とも心身の不調などで充分就労できない場合は、生活保護が受給できる可能性があります。
労働ができる状態であれば、その能力に応じて就労しなければなりません。
就労しながら生活保護を受給することも可能です。
最低生活費から収入分を差し引いて不足する分だけ生活保護費を支給してもらえます。
世帯収入が最低生活費を上回った場合は、生活保護費の支給が停止します。
他に扶養できる家族がいない
親族など扶養できる家族(扶養義務者)がいないことが、生活保護が認められる条件の1つです。
生活保護申請時には、扶養義務者について調査が入ります。
これを扶養照会と言います。
扶養義務者がいるならば、まずは扶養義務者からの援助を受けることが優先です。
一方だけ保護を受けることはできない
生活保護は、夫婦のうち一方だけが受給するということはできません。
生活保護費は世帯単位で生活保護費を算定し支給されるためです。
夫婦で受ける場合、入籍の有無は関係なく、内縁関係であっても生計を一にしていれば同じ世帯とみなされます。
生計を一にする者全員で受けることになります。
まとめ:条件を満たせば夫婦でも生活保護を受けられる!夫婦なら月額およそ15万〜18万円もらえる
収入や資産などの条件がそろえば、夫婦で生活保護を受けることができます。
夫婦で生活保護を受けるなら、月額15〜18万円程度生活保護費が支給されるでしょう。
障害を持っていたり、養育する子どもがいる場合は、障害者加算や児童養育加算がつきます。
障害年金や児童手当をもらっている世帯は、最低生活費から年金・手当分が差し引かれ不足する分だけ支給される点に注意しましょう。
支給される生活保護費は、地域、年齢、世帯状況によって異なるため、正確には福祉事務所で確認するようにしてください。
もし、今生活が厳しく生活保護の受給を検討しているならば、まずはお近くの福祉事務所で相談してみましょう。
ライター名:FP2級・AFP保有ライターchaky