結論から書きます。着なくなった服や使わなくなった家電をメルカリで売った分は、そもそも課税されません。申告する必要がないため、税務署に伝わったところで何も起きません。ただし、扱っている物と金額によっては、この枠から外れます。外れた場合に国税局がプラットフォームへ情報の報告を求められる仕組みが、法律に用意されています。
「メルカリはバレる」という話は、この2つが混ざったまま語られがちです。国税庁の説明と、国税通則法の条文で分けて整理します。いずれも2026年8月31日に確認した内容です。
不用品を売った分は、そもそも課税されない
国税庁のタックスアンサーには、譲渡所得の対象とならない資産としてこう書かれています。
家具、じゅう器、通勤用の自動車、衣服などの生活に通常必要な動産の譲渡による所得(中略)貴金属や宝石、書画、骨とうなどで、1個または1組の価額が30万円を超えるものの譲渡による所得は除きます。
出典は国税庁のNo.3105 譲渡所得の対象となる資産と課税方法(2026年8月31日確認)です。
読み方を分けます。着ていた服、使っていた家具、家電。これらを手放した分は、いくらで売れても譲渡所得の課税対象から外れています。金額の上限は書かれていません。一方で、貴金属や宝石、書画、骨とうは別扱いで、1個または1組が30万円を超えると対象に入ります。
枠から外れる3つの型
| 売っているもの | 扱い |
|---|---|
| 自分が使っていた服、家具、家電、通勤用の自動車 | 生活に通常必要な動産。譲渡所得の課税対象外 |
| 貴金属、宝石、書画、骨とうで1個または1組が30万円超 | 上の例外にあたるため対象 |
| 転売するために仕入れた品物 | 生活用動産ではないため、継続していれば事業所得か雑所得 |
3番目が実際にはいちばん多い分かれ目です。安く買って高く売る目的で仕入れているなら、それは持ち物の処分ではありません。ハンドメイド品の販売や、写真や文章の販売も同じ考え方になります。
申告が要るかどうかの線は20万円
給与をもらっている人が確定申告をしなければならない条件として、国税庁は次を挙げています。
- 給与の年間収入金額が2,000万円を超える人
- 1か所から給与を受けていて、給与以外の所得金額の合計額が20万円を超える人
- 2か所以上から給与を受けていて、年末調整されなかった給与の収入金額と、各種の所得金額との合計額が20万円を超える人
出典は国税庁のNo.1900 給与所得者で確定申告が必要な人(2026年8月31日確認)です。
ここで数えるのは売上ではなく所得です。仕入れや送料や販売手数料を引いたあとの金額になります。売上が30万円でも、仕入れと手数料で15万円かかっていれば、所得は15万円です。
もう1つ、この20万円は所得税の話です。住民税には同じ免除の仕組みがありません。所得税の確定申告をしない場合でも、お住まいの市区町村へ住民税の申告が必要になります。
国税局がメルカリに報告を求められる条件は、条文で決まっている
ここが「バレる経路」の実体です。国税通則法第74条の7の2は、特定事業者等への報告の求めを定めています。第1項はこうです。
所轄国税局長は、特定取引の相手方となり、又は特定取引の場を提供する事業者(中略)に、特定取引者に係る特定事項について、特定取引者の範囲を定め、六十日を超えない範囲内においてその準備に通常要する日数を勘案して定める日までに、報告することを求めることができる。
「特定取引の場を提供する事業者」に、フリマアプリの運営会社が当たります。ただし、いつでもできるわけではありません。第2項が条件を3つに絞っています。そのうち第1号はこう書かれています。
当該特定取引者が行う特定取引と同種の取引を行う者に対する国税に関する過去の調査において、当該取引に係る所得の金額その他の特定の税目の課税標準が千万円を超える者のうち半数を超える数の者について、当該取引に係る当該税目の課税標準等又は税額等につき更正決定等(中略)をすべきと認められている場合
出典は国税通則法(昭和37年法律第66号)第74条の7の2(e-Gov法令検索・2026年8月31日確認)です。第2号は違反の事実が生じると推測される場合、第3号は取引の態様が経済的必要性から見て不合理な場合を挙げています。
第1号に出てくる千万円という数字は、報告を求める相手を選ぶための基準ではなく、過去の調査結果を評価するための基準です。ここを取り違えて「1,000万円を超えなければ照会されない」と読むと誤ります。ただ、この条文が全体として、少額の取引を一件ずつ拾う作りにはなっていないことは読み取れます。
よくある誤解:売上が20万円を超えたら必ず申告
2つずれています。1つは、数えるのが売上ではなく所得だという点。もう1つは、そもそも不用品の売却なら所得として数えない点です。生活に通常必要な動産を手放しただけなら、金額が大きくても課税対象から外れています。
逆に、仕入れて売っているなら、20万円を超えた時点で申告が必要になります。同じ「メルカリの売上」でも、扱いはまるごと変わります。
自分がどちらか、3手順で判定する
- 取引履歴を開き、売った品物を「自分が使っていたもの」と「売るために手に入れたもの」に分ける
- 前者だけなら、貴金属や宝石、書画、骨とうで1個30万円を超えるものがないかを確認する。なければ課税対象外です
- 後者があるなら、その売上から仕入れ、送料、販売手数料を引いて所得を出す。20万円を超えていれば確定申告、超えていなくても住民税の申告が要ります
判断に迷う品物があるときは、最寄りの税務署に電話で聞けます。名前を告げずに一般的な取扱いを尋ねることもできます。
まとめ
- 着ていた服や使っていた家具、家電を売った分は、譲渡所得の課税対象外です
- 貴金属、宝石、書画、骨とうで1個または1組が30万円を超えるものは例外にあたります
- 仕入れて売っている場合は生活用動産ではなく、事業所得または雑所得になります
- 給与をもらっている人は、給与以外の所得が20万円を超えると確定申告が必要です
- 数えるのは売上ではなく、仕入れや手数料を引いたあとの所得です
- 住民税には20万円の免除がありません。所得税の申告が不要でも市区町村への申告が要ります
- 国税局がプラットフォームに報告を求められる条件は、国税通則法74条の7の2第2項で3つに限られています
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