2013年に創業されたヌーバンクはブラジルのフィンテック企業です。
(引用:株探米国)
ヌーバンクはわずか十年足らずでニューヨーク証券取引所に上場するほど成長します。
株価は上場直後に最高値の12.54ドルを記録したものの、その後低迷し3ドル付近まで落ちこみました。
現在は再び最高値を更新する勢いで伸びてきています。
(引用:Yahoo!ファイナンス)
ヌーバンクはこれまでの最高値を更新し、成長を続けるのでしょうか?
この記事では、ヌーバンクの株価や将来性について解説します。
ヌーバンク設立の歴史
ヌーバンクの設立はCEOであるダビド・ベレス氏の実体験がキッカケです。
スタンフォード大学でMBAを取得したベレス氏は入社したベンチャー投資会社の異動でブラジルに赴任しました。
ブラジルで銀行口座を開設したとき、衝撃を受けました。
銀行口座の開設に4か月もの時間を費やしたのです。
しかも、4か月もの間コールセンターに電話をし、銀行の支店で長蛇の列に並び、多くの書類を書いた末にようやく開設に至りました。
開設した講座は年間で数百レアル(1レアル約20円)もの手数料が必要です。
日本では考えられません。
ブラジルの金融業界は5大銀行が席巻しており、8割近くものシェアを占めています。
しかし、この大手銀行の恩恵を国民は十分に受けられていません。
国民の3割もの人々は銀行口座を保有できていないからです。
個人の信用度や収入などに制限があるため、誰でも口座開設が可能というわけではありません。
さらに、大手銀行が市場を独占しているため手数料が割高に設定されており、気軽に手を出せる代物ではありませんでした。
この状況に目を付けたのが、ヌーバンクCEOのベレス氏です。
日本では当たり前のように享受できているため実感はありませんが、銀行口座がないということは現代社会において不利益を被ります。
代表的なものに、クレジットカードが使えないことがあげられるでしょう。
スマホが普及した現代では、ネットショッピングにクレジットカードは欠かせない存在です。
銀行口座を持たない南米の人々は、この利便性を享受できません。
ヌーバンクは、そんな人々のために安価で使いやすい銀行口座やクレジットカードを提供しています。
(参考:Forbes|南米発デジタル銀行「ヌーバンク」が創業8年で顧客数世界一になれた秘密)
ヌーバンクの事業内容
バンクと名前にありますが、正確には銀行ではありません。
銀行業務代行企業のフィンテック企業です。
通常、銀行業を営むためには銀行免許の交付が必要ですが、ヌーバンクは持っていません。
その代わりに決済などの関連業務はブラジル当局から認可を得て行っています。
ヌーバンクは当初、クレジットカード業務からスタートしました。
その後「銀行口座業務(支払いや貯蓄等」「保険業務」「投資(証券)業務」「個人ローン業務」と事業を拡大し、総合金融業といえるレベルにまでなっています。
ヌーバンクが急速に拡大していった背景には次の2つがあります。
- 潜在的顧客の多さ
- 徹底的な顧客中心主義
ヌーバンクの主要エリアである南米では銀行口座を持っていない人が多くいます。
コロンビアやメキシコでは半数近くの国民が銀行口座を持っていないとのこと。
ブラジルでは先述したとおり、手間とコストがかかりすぎて一般層に普及していませんでした。
しかし、ヌーバンクが最初に手がけたクレジットカード業務では、それらの課題をすべて克服しています。
- カードの最低限度額を月50レアル(日本円で約千円)と低く設定
- 利用歴に問題が無ければ限度額が上がっていく
- カードとアプリは無料
- 申込は3分、半月でカードが届くスピード感
- 制限内の分割払いは利息ゼロ
- リボ払いの利息は平均23%(既存銀行は200~400%)
誰でも使いやすい設定です。
ヌーバンクは実店舗を持ちません。
いわゆるネット銀行です。
そのため店舗運営にかかる設備投資や諸経費、人件費を大幅にカットすることができ、既存銀行よりも安くサービスを提供できます。
低コストで素早くサービスを手にすることができるため、ヌーバンクの顧客は大きく伸びていきます。
サービス開始から半年で顧客数2万人を突破、その後口コミなどで広がり、2018年に600万人、2021年には4,800万人まで拡大し、既存銀行を脅かす存在になりました。
ヌーバンクの収益源は主に2つです。
- クレジットカードの金利収益
- 金融サービスの手数料収益
創業当初は主力事業だったクレジットカード加盟店からの手数料が主な収益でしたが、事業が拡大していくにつれ、金融サービスの手数料収益も増えていき、収入の柱が2本になりました。
(引用:日本総研|新興デジタルバンクの現状と今後の課題~成功モデルとして注目されるブラジル Nubank~)
ヌ―バンクの業績は右肩上がりで推移しており、黒字化を達成しています。
スタートアップに多く見られる、売上高は上がっていても赤字という企業とは違います。
顧客数・売上高・最終利益の全てが順調に推移しているのがヌ―バンクの特徴です。
(引用:Yahoo!ファイナンス)
ヌーバンクの将来性
ヌーバンクの将来性はあると思います。
理由は以下のとおりです。
- ウォーレン・バフェットが投資をしている
- ネオバンクの市場が右肩上がり
ヌーバンクは、投資の神様といわれるウォーレン・バフェット氏が率いるバークシャー・ハサウェイから投資を受けています。
バフェット氏は「自身が理解できないビジネスには投資をしない」ことで有名で、今や世界的に有名になったGAFAMの一角であるApple株を購入したのも数年前でした。
(参考:iFOREX|ウォーレン・バフェット氏がついにAppleに投資)
ヌーバンクは銀行免許を持たないフィンテック企業で、フィンテックという言葉もファイナンスとテクノロジーを掛け合わせてできた言葉で、古くからある業態ではありません。
そんなヌーバンクにバフェット氏は5億ドルもの金額を投資しました。
バフェット氏は投資をする際に細心の注意を払い、決断を行います。
そのバフェット氏の眼鏡にかなったヌーバンクは将来性があるといえるでしょう。
(参考:Forbes|ブラジルの「Nubank」、ウォーレン・バフェットから5億ドル調達)
また、ヌーバンクのようなネオバンク市場は拡大することが予想されます。
2022年、世界のネオバンク市場は66.8ビリオンと非常に大きな分野です。
(引用:GRAND VIEW RESEARCH)
そのネオバンク市場はアメリカだけで、2023年から2030年にかけて53.6%もの成長が予想されています。
(引用:GRAND VIEW RESEARCH)
アメリカだけでなく、世界中の国々で同様の成長を見せると思われるため、今後もヌーバンクの成長は確実といえるでしょう。
まとめ:将来性はあり!中国のBATH的企業になる可能性も!
ヌーバンクはブラジルのフィンテック企業で、約10年でニューヨーク証券取引所に上場するほどの急成長を見せています。
スタートアップにありがちな売上高が伸びているにもかかわらず赤字という企業ではなく、売上高増とともに、しっかりと利益もでている企業です。
ヌーバンクが属するネオバンク市場は今後、拡大していくことが予想されており、拡大とともにヌーバンクの業績も伸びることが期待できます。
投資の神様といわれるウォーレン・バフェット氏も投資する企業なので期待大です。
私自身、ヌーバンクは非常に期待できる企業だと考えています。
アフリカで広まったマイクロファイナンス(小口融資)をご存じでしょうか?
アフリカの貧困層は金融機関で融資を得ることができないために貧困から脱することができない状況が続いていました。
しかし、マイクロファイナンスを低金利で利用できる企業が登場し、それを活用することで、自身の事業を成功させ、貧困から脱する人が現れたのです。
(参考:PRTIMES STORY|マイクロファイナンスとは?アフリカだからこそ価値を発揮する小口融資:利用者の声vol1)
世界の貧困問題を金融の力で解決した事例でしょう。
ヌーバンクのクレジットカードも同じようなサービスです。
金融サービスを受けられない人々に金融の力を提供することで社会問題を解決しています。
これは今はやりのESG投資にも通じる考え方です。
ESGにも通じるヌーバンクはこれからますます成長するでしょう。
ヌーバンクへ投資をする参考にしてください。