視能訓練士を目指す人々の中には、「視能訓練士はやめとけ」という言葉を見聞きしたことがあるかもしれません。
視能訓練士には確かに厳しい現実もあるようですが、本当に「やめとけ」だけで片づけてしまって良いのでしょうか?
本記事は「視能訓練士やめとけ」の意味とリアルな実態に迫り、視能訓練士を目指す人や興味がある人の参考になれば幸いです。
やめとけって言われる視能訓練士とは?仕事内容とその魅力
まずは、視能訓練士の仕事内容や魅力について説明していきます。
視能訓練士とは?
視能訓練士とは、眼科で患者の視機能の検査や矯正訓練を行う医療技術者です。
主な仕事内容は以下の通りです。
1.視力、視野、眼圧などの検査を行い、眼科医に検査結果を提供する 2.屈折異常(近視、遠視、乱視など)や白内障、緑内障などの眼疾患の検査を行う 3.視覚補助具(拡大鏡、遮光眼鏡など)の使用訓練や基礎的な歩行訓練などを行う 4.日常生活で視覚に不自由を感じている人のための支援を行う |
視能訓練士の魅力は、人々の生活をより良くすることに直接貢献できることです。
視機能や視覚機能に関する問題は、日常生活に大きな影響を与えることがあります。
そのため、視能訓練士は患者さんの生活の質を向上させることができる重要な存在となっています。
また、専門的な知識や技術を身につけることで、医療の現場で活躍することができる点も魅力の一つです。
視能訓練士はどうやったらなれる?必要な教育課程や資格要件について解説
視能訓練士になるためには、大学などで視機能や視覚機能に関する専門知識を学ぶことが必要です。
視能訓練士の資格取得に必要な条件は以下の通りです。
いずれの場合も、視能訓練士国家試験に合格する必要があり、国家試験に合格しなければ視能訓練士として働くことはできません。
視能訓練士やめとけって言われる理由
なぜ「視能訓練士やめとけ」と言われるのか?
実際に労働条件、賃金、キャリアの点から掘り下げてみましょう。
視能訓練士のリアルな労働環境
- 給与水準が低い
視能訓練士の給与水準は、他の医療職に比べて低いと言われています。
専門性の高さに見合った報酬が得られないと感じる人も少なくありません。
- 休暇取得が難しい
視能訓練士が1人しかいない眼科では、特に夏休みなど忙しい時期に休暇を取りにくいといったこともあるようです。
- 昇進・キャリアアップが限定的
視能訓練士の職業としての領域は、比較的狭い範囲に特化しており、キャリアアップの機会が限られているとされています。
現場でのスキルや経験を積んでも、他の病院や医療職への転職が難しいといった問題もあります。
- 患者対応の負担が大きい
視力検査や点眼指導など、患者への丁寧な対応が求められ、精神的にも肉体的にも負担が大きいようです。
視能訓練士は専門性が高いですが、給与水準が低めで、キャリアアップの選択肢も限られるなど、いくつかのデメリットが指摘されているのが現状です。
実際に視能訓練士の現場からは、以下のような声があがっています。
このポストからも分かるように、視能訓練士としての仕事には労働条件の厳しさや報酬の低さが課題となっています。
また、転職の難しさもあるようです。
視能訓練士やめとけって言われるけど充実感や達成感はないのか?
「やめとけ」と言われても、もちろん悪いことばかりではありません。
視能訓練士の魅力について解説していきます。
視能訓練士としてのやりがい
視能訓練士は、視機能検査の専門家として眼科医のサポートを行うという重要な役割を担っています。
また、患者さんの視機能や視覚機能に関する問題を改善することで、患者さん本人はもちろん、家族や周囲の人々の生活をより良いものにすることができます。
さらには、社会全体の健康や福祉に貢献しているとも言え、非常に大きな充実感や達成感と共にやりがいを感じることができるのではないでしょうか。
視能訓練士やめとけって言われてもキャリアについて考えてみる
「やめとけって言われても、視能訓練士を目指していく!」
そんなあなたに、視能訓練士を目指す上でおさえておくべき重要なポイントと将来性について解説していきます。
需要は高まっている
眼科医1人に対して2〜3人の視能訓練士が必要とされていますが、現状では不足しています。
その理由としては、主に以下の3点が挙げられます。
1.高齢化に伴い、白内障や緑内障などの眼疾患患者が増加している 2.眼科医療の高度化に伴い、より専門的な検査や訓練が必要とされている 3.小児の斜視や弱視などの視機能障害への対応が重要 |
これらの眼疾患の検査や治療、リハビリテーションには視能訓練士の専門的な知識と技術が不可欠であり、需要が高まっています。
正規雇用が多い
(引用:公益社団法人 日本視能訓練士協会視能訓練士|2020年実態調査報告書)
このグラフを見てわかる通り、正規職員が70%以上を占めています。
また、時間など柔軟に働きたいという人にとっては、パートや非常勤での求人は比較的見つけやすいようです。
つまり、視能訓練士には給与水準の低さや休暇取得の難しさなどの課題がある一方で、需要が高く、正規雇用が多いなどの強みもあります。
専門性の高さから、やりがいを感じられる仕事であり、総合的には将来性のある職業だと考えられています。
やめとけで終わらない視能訓練士のキャリア
ネガティブにばかり考える必要はない視能訓練士ですが、キャリアアップしていくにはどのような道があるのでしょうか。
いくつかの例を見ていきましょう。
視能訓練士のキャリアアップのルート例
- 勉強して経験を積めば、高い専門性や豊富な経験数を有すると「認定視能訓練士や「専門視能訓練士」の称号が与えられる
- 弱視斜視の小児患者が多い病院や最新設備がある医療機関への転職で、新しいスキルや経験を身につけることができる
- 大学病院や総合病院では、外科や内科など他の診療科との連携業務を経験できる
- 大学や専門学校、研究機関で教育や研究に携わることで、専門性を高められる
- 医療系企業やリハビリ施設への就職で、機器の開発や、リハビリテーション分野での仕事に従事できる
眼の構造はとても複雑であるため、知識や技能を向上させるための勉強は欠かせませんが、その中で努力を重ねることによって、上記の例のようなキャリアアップを目指すことができます。
「視能訓練士やめとけ」を最後にもう1度考える
視能訓練士という職業には、充実感や達成感がある一方で、確かに労働条件や報酬面などの厳しい現実も存在します。
しかし、視能訓練士としてのキャリアは、患者さんの生活に直接貢献することができるやりがいのある職業でもあります。
一部では「やめとけ」という声もあるかもしれませんが、「眼」に興味を持ち、患者さんのために仕事をしたいという熱意があるかどうかで自ずと答えは出てくるのではないでしょうか?
今後、視能訓練士を目指す方々の一助となれば幸いです。