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生活保護で月40万も支給される?支給条件や注意点などを解説

長引く不況、先行き不透明な日本経済に加え、近年のコロナ禍により経済的ダメージを受けている人も少なくない状況です。

我が国では、2023年度は生活保護の申請が25万件超と、ここ10年で最も多い件数となりました。(※1)

このような背景があってか、昨今ではネット上のSNSを中心に

「最後の手段は生活保護がある。」

「マジメに働くのは損」

のような、やや過激な意見が取り上げられるのも目にするようになってきました。

中には「生活保護は申請次第で40万円もらえる」というまことしやかな噂まで流れる始末です。

ここではそんな生活保護の実態や本当に40万円もの額が支給されるのか?など解説していきたいと思います。

(※1)NHKニュース:生活保護申請 去年は25万件超と最多 この10年余りで)

1.生活保護ってそもそもどういう制度?

我が国では、生活保護を受給されるのは恥ずかしい、後ろめたい、といった雰囲気がいまだ多い様です。

しかし憲法25条で「健康で文化的な最低限度の生活」が定められており、文字通り国民の生活を保障するための制度であり、立派な国民の権利でもあります。

つまり、生活保護制度は貧困層の支援をすることで我が国の社会や経済、秩序の安定や自立の促進などを目的としている大事な制度です。

生活保護の対象は、失業や病気、障害、高齢による就労困難など、生計を立てるのが非常に困難な人々であるなど、条件は厳格に定められています。

生活保護の支給額は、受給者の「最低生活費」に満たない額を算出します。

この最低生活費は、衣食住の費用に加え、義務教育費、医療費、介護費などが該当し、お住まいの地域や年齢、家族構成などによって異なります。

また、生活保護費は以下の8つの扶助があります。(※2)

  1. 生活扶助 日常の暮らしに必要な生活扶助衣食、光熱水費など
  2. 住宅扶助 住に必要な家賃(地代)、共益費、住宅補修費など
  3. 教育扶助 義務教育を受ける上で必要となる給食費や学用品代など
  4. 医療扶助 病気やケガの治療や療養のために医療に必要な費用
  5. 介護扶助 介護サービスを利用するための費用
  6. 出産扶助 出産に要する費用
  7. 生業扶助 生計を維持するため技能を身につけたり、仕事に就くための費用
  8. 葬祭扶助 葬祭に必要な費

生活保護を受けるのは、まずお住まいの地域の社会支援課に相談し、申請書を提出します。

その後担当員による調査が行われ、条件をクリアすれば受給決定、という流れになります。

もしご自身が対象となる場合は迷わずお住まいの地域の福祉事務所や支庁に相談する事をお勧めします。

(※2)出典:東京福祉局 生活保護制度とはどのような制度ですか。)

2.生活保護で40万円も支給されるのか?実際のケース

では、生活保護はいったいいくらまで支給されるのでしょうか?

最初に触れたように、「生活保護は一人40万円までもらえる」などという噂なども出回った様です。

あくまで噂の領域と思われますが、実際のところどうなのでしょうか。

結論から言うと、我が国において生活保護を月40万もらえるケースは非常に稀有なケースです。

そもそも生活保護の制度は、生活が困窮し、自立も困難な場合に必要最低限支給されるというものだからです。

しかし、まったく例がないケースではありません。

月40万円という額が支給されるのは以下の様な状況が考えられます。

まず、対象者が重度の障害や疾病により生活に支障が出る場合です。

こういった場合、医療費や介護費などの負担額が膨大になり、かつ高額な支払いができない場合に支給されます。

厚生労働省も障害者福祉法などに基づき支給を判断します。

また、まれなケースではありますが、収入の割に家族が多い場合も可能性はあります。

例えば両親プラス子供が4人以上の家族となれば、多額の家賃や食費などの生活費、義務教育費、そして医療費などの負担が大きくなるためです。

実際の生活保護の支給額は居住地域の関連窓口などに相談して決めますので、適切な支給額が公平かつ正確に算出されます。

3.生活保護40万円支給がおよぼすメリットとデメリット

では、もし生活保護が40万円もの高額を支給される事となれば、そのメリット・デメリットについて改めて考えてみたいと思います。

まずメリットとしては、40万円という額は生活が困窮している人にとっても安定かつ安心した暮らしができる十分な額だと言えます。

高額な支給は生活必需品や医療費などを十分に賄うことができます。

特に健康面などに支障がある人にとってはありがたい支給額といえるでしょう。

一方、デメリットもあります。

40万円という高額の支給への経済的依存です。

何らかの理由で高額な生活保護を長年貰っていると、いざ復帰となっても働く意欲やモチベーションを失うことも多く、社会生活への参加が難しくなることが挙げられます。

また、高額受給者に対して不公平感を生む原因となります。

OECD(経済協力開発機構)の調査によると我が国においては少なくとも過去20年間、労働者の実質賃金は上がっておらず(※3)、高額な受給に対し不満や疑問視する声が高まっているのも事実です。

(※3)出典:日本人は韓国人より給料が38万円も安い!低賃金から抜け出せない残念な理由)

4.生活保護受給中の注意点は?

生活保護を受給するうえでいくつか注意点がありますので挙げておきます。

特に40万などという高額な支給の場合は一層きちんと把握しておくことが必要です。

まず、役所の窓口に対し、正確な情報提供が必要となります。

収入はもとより家族構成や就労状況の変化などがあった場合は速やかに報告する必要があります。

これは、支給額が就労や収入の増加に伴って変動する為です。

受給者が仕事を始めたり、収入が増えた場合は支給額の調整がなされる場合が多いですので、こまめな報告や相談が必要です。

また、言うまでもありませんが、支給された生活保護費をきちんと管理し、必要な支出に充てることです。

生活必需品や医療費に適切に利用し、浪費や無駄遣いを避けることが将来的な支給・生活維持につながります。

以上が適切な生活保護を受けるうえでの注意点です。

特に窓口へのまめな情報開示は、様々な誤解を避ける事にもつながりますので必須と言えます。

5.生活保護制度の問題点や今後の課題

生活保護制度は文字通り貧困層や社会的に弱い立場にある人々を保護・支援する重要な制度です。

しかしその運用にはいくつかの問題点や課題点があります。

まず、近年減少傾向にあるものの(※4)、ごく一部で生活保護の不正受給があることです。

その多くは稼働収入の無申告や過少申告ですが、まれに悪質な不正受給者が報道されることにより、正当な受給者も含め世間からのイメージがマイナスになる可能性も否めません。

また、生活保護受給者の自立支援や再就職支援の体制が不十分であることも事実です。

受給者の多くは長期にわたって受給に依存し、再就職や経済的自立が困難な状況に置かれています。

さらに、地域ごとに支給基準や制度の運用が異なることも問題です。

これにより、地域格差や不公平感が生じ、支援が必要な人々への平等なサービス提供が困難になる恐れがあります。

今後も我が国の経済状況は先行き不透明です。

生活保護制度の更なる見直しや改善により、公平で有用な制度をもって、社会的弱者への適切な支援が実現されることが望まれます。

(※4)出典:厚生労働省 令和4年6月3日「生活保護制度の現状について」48ページ)

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マネーリテラシー編集部

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