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株価で一人負けの住友化学|金融資産としての価値は低いままなのかを解説

2024年を迎えても日本の株式市場は好調をキープしています。

株式投資を続けていた方も、最近始められた方の中にも含み益を増やした方は多いのではないでしょうか。

しかし、上昇気流の真っ只中にありながら、流れに乗れない銘柄も少なからずあります。

今回はその中で住友化学(4005)に焦点を当ててみたいと思います。

化学業界でもここ数年一人負けが続いている住友化学ですが、このまま金融資産としては低いままなのでしょうか。

結論から言うと「数年間動かさないお金であれば投資妙味あり」と筆者は考えています

その理由を考察していきましょう。

会社の事業内容、業績

まず会社の形態です。

(引用元:住友化学|会社概要

三菱化学や三井化学と並ぶ総合化学の一角で化学メーカーとしては国内2位の規模です。

事業としては石油化学事業を中心に、機能性材料、情報電子化学、医薬品など多岐に渡ります。

事業の多角化を進めることで安定的な収益確保を目指しています。

現在の株価、ここ数年間の推移

(引用元:SBI証SBI証券|住友化学 (4005))

住友化学の直近5年間における株価の推移を見てみましょう。

コロナ流行期である2020年にいったん600円まで上昇しましたが、回復期に入った2022年以降下落が続いています。

2024年3月5日時点での終値は304円と、コロナ流行期と同じ価格にまで下がりました。

住友化学の株価が低迷している理由

株価の大幅な下落には以下の理由が考えられます。

  • 理由①:資産運用会社の保有割合減少(5%ルール)
  • 理由②:業績の下方修正、減配
  • 理由③:MSCI銘柄からの除外

それぞれの理由を解説します。

理由①:資産運用会社の保有割合現象(5%)ルール

まず理由の1つ目が資産運用会社の減少(5%ルール)です。

個人と同じく、機関もまた資産運用のために株式を購入・売却します。

この時、上場企業の発行済み株式数の5%超を保有する場合(大量保有者)は、原則として5日以内に「大量保有報告書」を国に提出しなければなりません。

そして保有割合が1%以上増減した場合も「変更報告書」を新たに提出することを義務付けられています。

個人に比べて機関の資金力は非常に大きいです。

目利きのアナリストを多数揃える機関が大量の株式を購入すれば、それだけ株価上昇には弾みがつきます。

逆に機関が手放すことはその企業の将来性を悲観視していることに他なりません。

そうなると大量の売りが出ることになり、株価は下落します。

そのため「大量保有報告書」や「変更報告書」はその企業を長期的に見た期待度と受け取れ、機関投資家の動きを知る上で注目されてきました。

住友化学については2023年の6月以降、三菱UFJ、米ブラックロック、三井住友信託が保有割合を減らしたことを報告してきました。

中でも米ブラックロックと三井住友信託は半年間に2回報告しており、株価下落に歯止めが効かない要因となっています。

理由②:業績の下方修正、減配

理由の2つ目は業績の下方修正、減配です。

24年3月期第3四半期連結最終損益は1,097億円の赤字で、通期の同損益を従来の950億円の赤字から2450億円の赤字と大幅に下方修正しました。

さらに配当金も従来の12円から9円に減配しており、これがネガティブ視されました。

減益幅拡大の主な理由は、長引く石油化学分野の市況低迷に加えて、収益の柱で期待されていた医薬品「ラツーダ」をはじめとした主力品の売上が当初の予定を下回ったことが原因です。

不振を打ち消すような製品売上が他の事業から生み出せていないことも響いています。

理由③:MSCI銘柄からの除外

理由の3つ目はMSCI銘柄からの除外です。

MSCIとはモルガンスタンレー社が独自に算出した株価指数の総称で、日本平均やTOPIXと並んで世界中の投資家や投資信託などの運用基準として採用されています。

MSCIは毎年数銘柄が入れ替えされていますが、2024年2月13日長年組み込まれていた住友化学が除外されました。

これによって海外からまとまった資金が流れ込む可能性が減り、下落につながっていると思われます。

金融資産としての価値、投資対象

・現状評価

2024年に入ってからの住友化学に対する機関の格付け評価を見てみましょう。

(引用元:MSTG|住友化学

野村とSBIは中立、みずほとモルガンスタンレーは買いの立場を取っています。

ターゲットプライスは下限値が275円、上限が450円と直近ではほぼ底値圏に来ていることが読み取れます。

・購入価格、配当金

最低購入価格は本稿を執筆している2024年3月5日時点で30,400円(100株)となっています。

年間配当は900円(100株)で年間利回りは2.96%です。

プライム市場に上場している銘柄の単純平均利回りは2.01%であることから、平均よりも高めに設定されています。

(引用元:JPX|その他統計資料

低位株だからこそのメリット

ここからは低位株だからこその利点を考えていきたいと思います。

主に以下の3つです。

  • 理由①:高値掴みのリスクが低い
  • 理由②:金額ベースでの下落リスクが小さい
  • 理由③:0.1円刻みの価格で取引可能、出来高が多く常時売買可能

高値掴みのリスクが低い

勢いのある企業は単元価格が既に十分に高くなっており、その場合個人では中々手が出せません。

買ったところが天井圏で高値掴みのリスクもあります。

一方で単元価格が低い企業はそのリスクが小さく、底値圏にあると値動きも比較的緩やかです。

そのため日々の値動きに惑わされず、場中は仕事に集中できます。

金額ベースでの下落リスクが小さい

低位株だと同じ下落幅でも金額としては小さくできます。

例として株価が10,000円(銘柄A)、2,000円(銘柄B)、400円(銘柄C)があったとします。

それぞれ100株買って、買値から20%下落したと仮定しましょう。

  • 銘柄A:10000 ×100×0.2 = 200,000円
  • 銘柄B:2000 ×100 ×0.2 = 40,000円
  • 銘柄C:400 ×100 ×0.2 = 8,000円

下落幅(%)は同じでも、金額としては違います。

20万円なら大金を失ったと嘆く人がいても、8千円なら仕方ないと割り切れるのではないでしょうか。

不安なら未単元株でさらに少量にして様子を見てみるのも手だと思います。

初心者にとっても精神的なゆとりを持って取り組めるのが良いところです。

0.1円刻みの価格で取引可能、出来高が多く常時売買可能

いくら単元価格が低くても出来高が少なければ、必要な時に売買できません。

その点、住友化学は0.1円単位で売買されており、日々の出来高も2,000万を超えています。

売買自体は活況のため、まとまった単位での購入・売却も可能です。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

今回の解説をまとめると以下のようになります。

株価低迷の理由

  • 理由①:資産運用会社の保有割合減少(5%ルール)
  • 理由②:業績の下方修正、減配
  • 理由③:MSCI銘柄からの除外

購入を検討する上での利点

  • 理由①:高値掴みのリスクが低い
  • 理由②:金額ベースでの下落リスクが小さい
  • 理由③:0.1円刻みの価格で取引可能、出来高が多く常時売買可能

株価としては低迷が続き、反転のきっかけを掴めていません。

不安定な社会情勢で市況低迷が長引けば、さらなる減配のリスクも出てくるでしょう。

しかし企業としてのブランド、実績は十分で、事業ごとに高い技術力を保有しています。

配当性向は30%程度を基本としていることから、今後はいかに不採算事業を整理し、経営の効率化ができるかがカギになりそうです。

筆者によるテクニカル分析の面では、20年単位で見た時に株価はほぼ底値圏に来ていると考えています。

PBRが0.43倍と一般的に割安の数値で放置されているのも投資妙味のポイントです。

筆者は、300円付近で出来高が増えて横ばいの動きを続けていることから、現在は底を固めている段階と判断しています。

機関投資家は限られた時間で成績を上げなければいけませんが、個人はその限りではありません。

業績を確認しながら配当金でコツコツと買い集め、後に機関が大量に買い上げる時に売却すればキャピタルゲインを狙うこともできます。

数年間動かさなくてもよい、失ってもいい金額でなら投資先としては悪くありません。

ドルコスト平均法でじっくりと買うにもいい銘柄と考えています。

なお、投資判断は自己責任でお願いいたします。

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ライター名:nova7104

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マネーリテラシー編集部

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