結論から書きます。奨学金の返還が遅れたとき、いちばん影響が大きいのは延滞金ではありません。3か月以上の延滞で個人信用情報機関への登録対象になることのほうです。ただし、返せない状態そのものに対しては、返す額を減らす制度と、待ってもらう制度が用意されています。延滞になる前に手を挙げれば、登録の話にはなりません。
日本学生支援機構が公開している内容を、そのまま並べます。2026年8月31日に確認したものです。
3か月という線が、いちばん重い
個人信用情報機関への登録について、機構はこう書いています。
奨学金の返還が延滞3か月以上になった場合、個人信用情報機関への登録対象になります。
登録される中身も具体的に書かれています。
氏名・生年月日・住所・電話番号・勤務先等の本人情報、貸与金額・最終返済日等の契約の内容及びその返済状況(延滞・代位弁済・強制回収手続・完了等)が登録されます。
そして、登録されたあとに起きることについても明記があります。
個人信用情報機関に延滞情報が登録されると、スマートフォンの分割払いやクレジットカードの利用ができなくなる、また、住宅ローン等が組めなくなる場合があります。
出典は日本学生支援機構の個人信用情報機関への個人情報・個人信用情報の登録(2026年8月31日確認)です。返還を始めたばかりの人については、返還開始から6か月経過した時点で延滞3か月以上かどうかが見られ、その後は毎月判定される、とも書かれています。
延滞金と一括請求
延滞金は、延滞している割賦金(利息を除く)の額に対し、年3パーセントの割合で、返還期日の翌日から延滞している日数に応じて賦課されます。返還未済額の全体にかかるのではなく、遅れている割賦金にかかる形です。
督促に応じない状態が続いた場合は、扱いが変わります。まだ返還期日が来ていない分も含めた全額と延滞金について、一括での返還を請求されます。期限の利益の喪失と呼ばれる状態です。毎月の返還という前提が外れ、残り全部が一度に請求対象になります。
返せないときに使える2つの制度
| 減額返還制度 | 返還期限猶予 | |
|---|---|---|
| やること | 毎月の返還額を減らし、その分だけ返還期間を延ばす | 返還そのものを先送りする |
| 減らし方 | 返還月額を2分の1、3分の1、4分の1、3分の2に減額 | ー |
| 1回の期間 | 12か月まで。終了前に改めて願い出れば延長できる | 同じく願い出による |
| 通算の上限 | 15年(180か月) | 制度ごとに定めあり |
| 返す総額 | 変わらない | 変わらない |
出典は日本学生支援機構の減額返還制度の概要(2026年8月31日確認)です。
ここは誤解されやすい部分です。減額返還も返還期限猶予も、返す総額が減る制度ではありません。返す時期と1回あたりの金額を動かす制度です。免除ではない点を先に押さえておくと、あとで話が食い違いません。
よくある誤解:延滞してからでも同じ制度が使える
延滞が続いている状態と、これから返せなくなりそうな状態では、選べる手が変わります。3か月という線を越えると、個人信用情報機関への登録対象に入ります。登録されたあとで返し終えても、記録がすぐ消えるわけではありません。
収入が下がった、仕事が変わった、病気になった。そうした時点で申請するほうが、選択肢が多く残ります。返せなくなってから相談する形になると、一括請求の話が先に進んでいることがあります。
いま何をするか
- いつから振替不能になっているかを確認する。何か月分かで、次に起きることが変わります
- 3か月に達していなければ、減額返還か返還期限猶予の申請を先に進める。窓口は貸与を受けた本人からの願い出です
- すでに3か月を超えている場合も、申請自体はできます。放置して一括請求まで進むより先です
- スカラネット・パーソナルで、返還状況と残額を自分で確認する。督促の書面を開けずに置いている場合は、そこに期限が書かれています
返還以外の借入も重なっていて、全体として返せなくなっている場合は、返還制度の話だけでは足りません。生活費や借金の相談は無料の窓口があります。
借りる前に、無料で相談できる窓口があります
返済のめどが立たない、今月の生活費が足りないという状態のときは、借りて埋めると翌月の負担がその分だけ重くなります。次の2つはどちらも相談料がかからない公的な窓口です。契約をすすめられる場所ではありません。
- 日本貸金業協会 貸金業相談・紛争解決センター(無料相談窓口)/0570-051-051、050-3494-7988、03-5739-3861/平日9:00〜17:00(土日祝・年末年始を除く)。借入や返済についての相談先です
- 法テラス サポートダイヤル/0570-078374/平日9:00〜21:00、土曜9:00〜17:00。法的なトラブルについて、適した相談窓口を案内してもらえます
出典: 日本貸金業協会「貸金業相談・紛争解決センター」(http://www.j-fsa.or.jp/personal/about/)、日本司法支援センター 法テラス(https://www.houterasu.or.jp/)。いずれも2026年8月20日に確認しました。
まとめ
- 延滞3か月以上で、個人信用情報機関への登録対象になります
- 登録される内容には、本人情報と契約の内容、返済状況が含まれます
- 登録されると、分割払いやクレジットカード、住宅ローンが使えなくなる場合があると機構が明記しています
- 延滞金は、遅れている割賦金に対して年3パーセントの割合で日数に応じて賦課されます
- 督促に応じないと、期日前の分も含めた全額と延滞金の一括請求に進みます
- 減額返還は、返還月額を2分の1、3分の1、4分の1、3分の2に減額する制度です。1回12か月まで、通算15年が限度です
- 減額返還も返還期限猶予も、返す総額が減る制度ではありません
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