投資を始めたからには「大金持ちになりたい!」「億り人になりたい!」と誰しも夢見るものではないでしょうか。
SOXLはETFでありながら、そのような投資家の夢をかなえてくれるかもしれない銘柄として注目を浴びています。
そこでこの記事では投資歴15年の私が「SOXLとはどのようなETFなのか」、「もし過去にSOXLに投資をしていたら億り人になれたのか」について解説します。
今後の見通しについても考察しているため、億り人を目指している投資家の方は、ぜひ最後まで読んでみてください。
SOXLの特徴とは?
SOXLとは、「Direxion Daily Semiconductor Bull 3X Shares(Direxion デイリー半導体株ブル3倍ETF)」のことで、Direxion社が運営している米国上場ETFです。
国内では、SBI証券や楽天証券が取扱いをしています。
SOXLの特徴は次の2つです。
- NYSE半導体指数に連動する
- レバレッジETF
順番に見ていきましょう。
NYSE半導体指数に連動
SOXLは、もともとはSOX指数に連動するように設計されたETFでしたが、今では「NYSE半導体指数(旧ICE半導体指数)」がベンチマークです。
いずれの指数も世界を代表する半導体メーカーなどで構成されていながら、NASDAQなどに比べボラティリティが高いため、高リターンを狙うことができます。
※「SOX指数」も「NYSE半導体数」もほぼ同じ値動きをしているため、同義として使用します。
レバレッジETF
SOXLは、日々の運用実績がベンチマーク(NYSE半導体指数)の値動きの3倍となることを目指しています。
例えば、NYSE半導体指数が1%上昇するとSOXLは3%上昇します。
逆にNYSE半導体指数が2%下落するとSOXLは6%下落することになります。
このようなベンチマークの何倍もの値動きをするように設計されたETFは「レバレッジETF」と呼ばれ、リスクが大きい反面、大きな利益を上げることができる可能性があるため個人投資家からも人気です。
SOXLの構成銘柄
SOXLがベンチマークとする「NYSE半導体指数」は30銘柄で構成されています。
NYSE半導体指数構成銘柄上位10社(2024/9/18時点)
No. | 会社名 | 構成割合 |
1 | ブロードコム | 9.18% |
2 | エヌビディア | 8.56% |
3 | アドバンスト・マイクロ・デバイセズ | 7.38% |
4 | アプライド・マテリアル | 6.60% |
5 | クアルコム | 5.87% |
6 | ラムリサーチ | 4.34% |
7 | KLAコーポレーション | 4.12% |
8 | TSMC | 4.04% |
9 | マイクロンテクノロジー | 4.00% |
10 | モノリシック・パワー・システムズ | 3.89% |
世界的に有名な半導体関連の会社が並んでいますね。
SOXLに投資するだけで、これらの会社に分散投資をしたことと同じ効果をえられることはとても魅力的と言えるでしょう。
SOXLの値動き
生成AIの普及期待などから半導体需要が拡大することが見込まれたことから、代表的な半導体指数のSOX指数は10年前の600ドル台から、2024年9月には4,000ドル台まで上昇しています。
[SOX指数(月足)]
(出典:Trading View)
これに連動する形でSOXLも上昇を続けています。
10年前は2ドル程度でしたが、2024年9月は30ドル以上で推移しています。
[SOXL(月足)]
(出典:Trading View)
SOXLに投資をしていたら億り人になれたのか?
ここまでSOXLの基本的な情報をお伝えしてきましたが、SOXLの最大の魅力は「リスクはありながらもハイリターンを狙えること」でしょう。
そこで気になるのが、過去にSOXLに投資をしていたら億り人になれたのかという疑問ではないでしょうか。
独自検証をしてみました。
もし10年前にSOXLに投資をしていたら?
今から10年前の2014年10月1日にSOXLに100万円を投資して、10年間放置をしていたらどうなっているでしょうか?
買値① | 為替② | 円ベース①×② | |
2014年10月 | 1.89ドル | 109.60円 | 207.14円 |
2024年9月 | 31.14ドル | 143.00円 | 4,453.02円 |
100万円 → 2,150万円 |
100万円では億り人にはなれなかったようですね。
億り人になるためには500万円が必要だったという結果でした。
もしSOXLを設定日の2010年から保有し続けていたら?
SOXLは2010年にスタートしたETFです。
もしスタート時に100万円を投資していたら、今どうなっているでしょうか?
買値① | 為替② | 円ベース①×② | |
2010年3月 | 0.64ドル | 88.80円 | 56.83円 |
2024年9月 | 31.14ドル | 143.00円 | 4,453.02円 |
100万円 → 7,836万円 |
残念ながら2010年から保有を続けていても100万円では億り人になれないようです。
ただ130万円の元手があれば億り人になることができます。
もしSOXLを設定日の2010年に購入して高値売却できていたら?
最後に2010年からSOXLに100万円を投資して、2022年の高値74.21ドルで売却できていたとしたらどうでしょうか?
買値① | 為替② | 円ベース①×② | |
2010年3月 | 0.64ドル | 88.80円 | 56.83円 |
2022年1月 | 74.21ドル | 115.115.31円 | 8,557.16円 |
100万円 → 1億5.057万円 |
もしこのような人がいたら億り人になれているでしょう。
ただここまでうまく売買できていた人が世界にどれだけいたかはわかりませんね。
SOXLの気になる今後は?どこまで下がる?
SOXLは2024年7月の70ドルをピークに下落を続けており、足もとの9月では半値以下の30ドル台前半で推移しています。
SOXLに注目している投資家にとって「この下落はチャンスなのか」それとも「今後は投資しないほうがいいのか」、この疑問に対して個人的な考察をしていきます。
この下落は一時的な調整?
この下落の原因は大きく分けて2つあると考えられます。
- 世界経済の減速懸念
- 米中間の半導体貿易摩擦懸念
中国経済の動向は気になるものの、米国の経済は強くソフトランディング期待が高まっており、世界経済は想定以上の景気後退に陥る懸念は和らいでいます。
また貿易摩擦についても、7月の報道後から続報が伝わってきておらずバイデン大統領の本気度もあまり感じられません。
事実として、SOX指数は30%程度下落したところで下げ渋っています。
[SOX指数(週足)]
(出典:Trading View)
現状これ以上下がるとすれば、米国もしくは中国の景気減速懸念が伝わったときではないでしょうか。
そのため、現状では下落は一時的と考えられます。
反発はいつ起こる?
ベンチマークであるNYSE半導体指数やSOX指数などはいったんの底値を試した状態になっています。
ただ別の見方をすれば、米国をはじめとする世界経済が本当にソフトランディングするのかどうかを世界の投資家が見守っている状態です。
そのため本格的な反発はもう少し先(景気後退局面からの脱却が見込めたとき)になると予想します。
SOXLに投資する際の注意点
SOXLに投資することを検討しているならば知っておきたい注意点を4つ紹介します。
しっかりと理解しておきましょう。
経費率が高い
ETFの経費率は0.1%以下であることが一般的ですが、SOXLは先物取引などを利用していることから年間0.98%と高額になります。
分散効果が薄い
NYSE半導体指数に連動したETFであることから30銘柄に分散した効果を得ることができます。
ただ半導体業界のみで構成された指数であることから、銘柄分散としての効果は薄くなっています。
上下の値動きに弱い
レバレッジETFはボックス相場などの上下動を繰り返す相場に弱いとされています。
N日 | N+1日 | N+2日 | N+3日 | |
NYSE指数 (ベンチマーク) | 100 | 110 (10%上昇) | 88 (20%下落) | 97 (10%上昇) |
SOXL | 100 | 130 (30%上昇)) | 52 (60%上昇) | 68 (30%上昇) |
このようにベンチマークが+10%→-20%→+10%となっても指数は下落しますが100→97とさほどは変わりません。
ただSOXLは100→68と30%以上も下落してしまいます。
そのためレバレッジETFは一方的な上昇相場でないと利益を上げることができません。
事実SOXLのピークは2022年ですが、SOX指数は2022年の高値を超えています。
為替リスクがある
SOXLは米ドル建てのETFです。
そのため、円からドルへ両替する必要があり、売却して円に戻すときに万が一円高になっている場合には為替損が発生する可能性があります。
まとめ
SOXLは、NYSE半導体指数に連動するレバレッジETFです。
日々ベンチマークの3倍もの値動きが期待でき、100万円を超える資金を投下できた投資家は今では億り人になっていることでしょう。
ただ、SOXLは短期的な上昇には強いですが、経費率も高く、上下の値動きを繰り返すような相場では損をしてしまうため、長期投資には向かないETFです。
また、かなり急ピッチで上昇してきたことから、個人的には億り人を目指せるような相場が再びはやってくる可能性は低いと考えています。
もしSOXLへ投資するのであれば、安値圏で反発を狙って短期で売買することが基本スタンスになるでしょう。
ライター名:金融ライター ひろきち