生活保護は日本国民全員が保証されている、必要最低限度の生活を営むための制度です。
ただ、受給を検討中の人の中には
「受給するとどんなメリットがあるのか」
「何が制限されるのか」
が気になっている人も多いと思います。
そこで今回は生活保護受給によって免除・制限される、主なものをご紹介していきます。
ぜひ受給の正しい理解にお役立てください。
生活保護のメリット
まずは生活保護を受けるメリットについてお伝えしておきます。
メリットは大きく分けて2つです。
・最低限の生活費がもらえる
生活保護の申請が認められると、生活保護費の支給が行われます。
支給額は年齢・家族構成・居住地などによって変わりますが、最低限度の生活が送れるお金が毎月支給されることになります。
・各種支払いが免除される
生活保護の申請が通ると、国や地方自治体へ支払いで免除されるものがあります。
この点については、この後詳しく述べますので、一つ一つ確認をしておくとよいでしょう。
生活保護受給によって免除されるもの
生活保護受給によって、以下の支払いが免除になります。
・国民年金の支払い
国民年金の支払い免除が「全額」免除になります。国民年金の支払い免除には「申請免除」と「法定免除」の2種類があります。
生活保護受給者は、このうち全額免除となる法定免除にあたります。
法定免除の場合、免除期間ももらえる年金に反映がされることが特徴です。
ただ、満額の半分~3分の1程度になるので、満額の支給を望む場合は追納が必要になります。
(参照:日本年金機構 国民年金保険料の法定免除制度)
・所得税や住民税などの税金の支払い
所得税や住民税など税金も免除の対象になります。
所得税については、正規雇用・非正規雇用どちらかに関わらず免除になります。
住民税についても原則支払いは免除されます。
ただ、住民税は地方税なので、地方自治体によって対応が変わります。
個別の申請が必要になる場合がありますので、その点は注意が必要です。
また、生活保護受給前に滞納していた税金も、支払いが猶予されるため、差し押さえが起きることはありません。
さらに、支払いが猶予されている期間が3年を過ぎると、滞納していた税金の支払い義務がなくなります。
(参照:大阪市 個人市・府民税が課税されない方)
・医療費や保険料の支払い
生活保護受給中は、国民健康保険の支払いが全額免除になります。
また、自己負担分の医療費も全額免除となります。
ただし保険がきかない治療については、自己負担になります。
また、医療費以外の費用(病室を個室にするなど)についても、自己負担になるので、注意が必要です。
(参照:君津市 保険料の免除制度(生活保護、障害年金を受給しているとき))
・NHK受信料の支払い
生活保護を受給している場合は、申請によりNHK受信料の支払いが免除されます。
ただし、受給と同時に支払いが免除になるわけではなく、事前の申請が必要になるので、
その点は注意してください。
(参照:NHK 受信料免除の対象となる方について)
生活保護受給によって制限されるもの
生活保護受給により免除されるものがある一方、当然制限をされるものもあります。
生活に必要な最低限度の資産以外は、持つことが認められないことが多いです。
以下、その具体例を説明していきます。
・所有物や住居に制限がある
生活保護は生活に困窮していることが大前提です。
そのため、生活に必要な物以外は、売却して生活費に充てるように言われます。
そのため、ブランド物のアクセサリーや資産価値のある住宅については、基本的に所有が認められません。
また、車やバイクなども、生活に必要がない場合は売却するよう、指導されるケースが多いです。
・ローンや借り入れ
ローンを組んだり、借り入れを行うことも基本的には難しくなります。
法律上、生活保護受給者がローン契約を行うことは禁止されていません。
生活保護を受けている事実は口外しなければ、バレることはありませんが、審査を通過することは極めて稀なケースです。
ちなみに、借金の返済に生活保護費を充てることは禁止されています。
余計に生活が苦しくならないよう、借り入れは行わないようにしましょう。
・クレジットカードの作成
クレジットカードの所有も場合によっては認められないことがあります。
ケースワーカーや福祉事務所へ相談をし、許可が下りれば作成が認められます。
ただ、作成の目的・内容が合理的とみなされる必要があります。
基本的には自由な使用は認められないと思った方がよいでしょう。
・お金の使い方に制限がある
保護費の使い道は基本的に自由が認められています。
ただ、その一方で生活保護受給者は原則として、資産形成が認められません。
そのため、実際には、必要以上の貯金や贅沢品の購入などは、受給の継続が認められなくなるケースも出てきます。
最低限の生活を保障するための制度であることを認識しておくことが大切です、
・ケースワーカーとの面談が必要
生活保護を継続するためには、最低でも年2回、ケースワーカーとの面談が必要になります。
頻度や時期について定めはありませんが、場合によっては月に2~3回の面談を行っているケースもあるようです。
人によっては、プライバシーな内容を頻繁に聞かれることがストレスになる場合もあるでしょう。
【実例】生活保護受給者の生活イメージ
生活保護受給者がどのような生活を送っているか、確認してみましょう。
以下は、単身の生活保護世帯と一般世帯の月額支出を比較したものです。
まず生活保護世帯の高齢者と高齢者以外で比べると、費用の差が大きいのは、「交通・通信」でおよそ2倍、「被服及び履物」でおよそ1.5倍、ともに高齢者以外が多く支出しています。
一方で高齢者のほうが多いのは「住居」です。
高齢者の方がそれ以外の世帯よりも、月に5,000円多く支出しています。
高齢者は住居へのこだわりが強く、高齢者以外は娯楽や交際にこだわりが強いと考えられます。
(出典:ファイナンシャルフィールド)
一方で、2人以上の世帯の場合、一般的な世帯と比べて、消費支出総額はかなり下回っています。
しかし、「食料」と「住居」の費用合計だけでみれば、保護世帯のほうが支出は多くなっています。
保護世帯は様々な免除と制約があるため、食費と住居へお金が集中しやすいのかもしれません。
(出典:ファイナンシャルフィールド)
まとめ
生活保護を受給すると、生活保護を受給すると、様々な支払いが免除されます。
その一方で、必要最低限度の資産以外は所有が制限されることが多く、正しい情報を把握しておくことが大切です。
生活保護は社会のセーフティーネットですから、生活に困窮している人は迷わず受給を検討しましょう。