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ヤマダ電機の株価はなぜ安い?今後の株価はどうなる?

家電量販店の勝ち組であったヤマダ電機の株価は、現在低迷しています。

なぜ安いのでしょうか?

ひと昔前は、家電量販店といえばヤマダ電機でした。

ただ現在では、多くの人がビックカメラなどの家電量販店や楽天市場などのネット通販の価格を見ながら、家電を買うようになっています。

このような消費行動の変化が影響していそうですね。

そこで今回は、ヤマダ電機の株価が安い理由について、戦略や業績を見ながら解説していきます。

さらにこの記事の最後には、ヤマダ電機株を買うべきなのか、筆者の意見を書いています。ぜひ最後まで読んでください。

ヤマダ電機の会社概要

ヤマダ電機は、群馬県高崎市に本社を構える大手家電量販店です。

2005年には、家電量販店初の売上高1兆円企業となりました。

ただ近年は、家電オンリーからの脱却を図り、リフォーム事業への参入や大塚家具を買収するなど「住」をテーマとした事業に力を入れています。

そのため、家電販売のための郊外型店舗「テックランド」や都市型大型店舗「LABI」だけでなく、総合住提案型店舗「LIFE SERECT」などの新たな業態の店舗の出店が多くなってきています。

業容の拡大に伴い、2020年10月にはヤマダ電機は持ち株会社体制に移行し、ヤマダホールディングスを頂点とした企業体制となりました。

項目内容
会社名株式会社ヤマダホールディングス
本社群馬県高崎市栄町1番号
創業1973年4月
代表者(創業者)山田 昇
市場東証プライム
単元株数100株

ヤマダ電機の事業内容

ヤマダ電機は、5つのセグメントで事業を展開しています。

この5つのセグメントを順番にみていきましょう。

電機セグメント

ヤマダ電機全体の売上の80%程度を占める主力事業です。

ヤマダ電機をはじめ、大塚家具なども電機セグメントに分類されており、ヤマダ電機の店舗の中で売っているものはこのセグメントに分類されていると考えていいでしょう。

住建セグメント

電機セグメントが家の中のものを取り扱っているのに対して、住建セグメントは家そのものに関する事業です。

ハウスメーカーやマンションの建設工事事業を行っています。

金融セグメント

電機・住建セグメントを金融の力で支援する事業です。

例えば、現金一括で家電を購入できない見込み客にクレジットカードを勧誘したりすることで、家電が売りやすくなるなどのメリットが期待できます。

クレジットカードのほか、住宅ローンの提供や少額短期保険を販売しています。

環境セグメント

環境負荷の低減のため、使い終わった家電などのリユースの促進、廃棄物の再資源化・減量を目指すセグメントです。

大きく利益を上げるというよりは、上場企業・大企業としての責任を果たすための事業といえるでしょう。

その他セグメント

住宅建材卸、旅行代理店や人材派遣などが、このセグメントに該当します。

「住」をテーマに事業を拡大するヤマダ電機にとって、少し本業から外れる事業と捉えて問題ないでしょう。

ヤマダ電機の業績

ヤマダ電機の業績推移を確認していきます。

下の表は、20年間の大まかな業績推移をまとめたものです。

2004年から2008年までの4年間で売上が倍増するなど、急成長を遂げていましたが、その後は、不採算店舗の閉店などにより売上は伸びず、利益も改善しているとはいえない状態です。

単位:億円2004/32008/32012/32016/32020/32024/3
売上高9,39117,67818,35516,12716,11515,920
営業利益134654890582383415

また、現在掲げている「家電オンリーからの脱却」は、2011年にエス・バイ・エル㈱を子会社化したあたりから始まったと考えらえますが、業績回復の起爆剤にはなっておらず、道半ばの状況であると考えられます。

ヤマダ電機の株価の現状

(出典:Trading View

上のチャートは、過去20年(2004~2024年)のヤマダ電機の株価の推移です。

このチャートをみると、2006年をピークに株価は急落しています。

その後も、株価は上昇することなく、長期に亘って低迷を続け、現在も安値圏にある状況です。

次に株価指標はどうでしょうか?下の表がヤマダ電機の株価の各指標です。

<ヤマダ電機>

株価(2024/5/13)432.8円PER(予)10.6倍
時価総額4,185億円PBR0.48倍
営業利益率2.6%1株配当(予)13.0円
ROE3.9%配当利回り(予)3.0%

これをみて、パッと目につくのは1倍割れをしているPBR0.48倍という数字ではないでしょうか?

PERも10.6倍と決して高いとは言えません。

このような株価の低迷やPBR1倍割れは、業績が低迷していることに他ならないでしょう。

ヤマダ電機の株価はなぜ安い?業績低迷の理由

ここまで見てきた通り、株価低迷の要因は業績低迷に他ならないと考えます。

では、なぜヤマダ電機の業績は低迷したままなのでしょうか。

差別化しにくい業種

家電量販店は差別化しにくい業種で、ヤマダ電機でしか買えないものってあったっけ?という状態です。

もはや売っているものが同じならヤマダ電機で買う理由は価格だけになります。

また、日本の人口も増えるわけではないため顧客の取り合いになります。

その結果、売上は頭打ちで利益は限界まで落ち込んでいるのが現状と言えます。

ネット通販の台頭

近年は、楽天市場やAmazonなどでも家電製品を買うことができます。

また価格.comなどにより、どこで買うのが一番お得なのかを一目で確認することができます。

そのため、「商品はヤマダ電機で見て、実際にはネットで買う」ような人が増えています。

このように、新規参入勢との競争が加わったうえ、消費行動の変化も起こっています。

今後の株価はどうなる?ヤマダ電機株を買うべきか?

筆者の結論は、積極的な買いはおすすめしません。

その理由は、業績の回復の可能性が見通せないためです。

ここまで見てきた通り、消費行動の変化は確実に起こっており、競争の激化は避けられません。

ただ、今後株価が上昇するのであれば、次の2つの要因が考えられるのではないかと考えています。

家電からの脱却が成功する

企業が掲げるビジョン・戦略が、しっかり業績に結び付いている会社は成長を続け、株価も上昇するはずです。

ヤマダ電機が掲げる戦略は、「家電からの脱却」=「住をテーマとした事業への転換」です。

ただ、現状の業績を見る限り、うまく行っているとは思えません。

大塚家具などの買収でも注目を集めたヤマダ電機ですが、家電×家具などによるお互いのシナジー効果が業績に結び付けば、株価も上昇するでしょう。

ビックカメラの株価に追随

ビックカメラの株価が、ここ最近堅調に推移しています。

(引用:Yahoo!ファイナンス

ピンク色がビックカメラの株価で、青色がヤマダ電機の株価推移です。

一目瞭然ですが、ビックカメラの株価が上昇を始めています。

ヤマダ電機同様、株価指標をチェックしてみます。

<ビックカメラ>

株価(2024/5/13)432.8円PER(予)28.6倍
時価総額2,773億円PBR1.74倍
営業利益率1.7%1株配当(予)21.0円
ROE2.2%配当利回り(予)1.42%

PERやPBRはヤマダ電機に比べ圧倒的に高く、市場から評価されていることが分かります。

理由を探るためニュースなどをみると、ヤマダ電機に比べビックカメラは主要ターミナル駅に店舗を構えているため、インバウンド需要が取り込めているようです。

ただ、ビックカメラの業績がいいかというと、ヤマダ電機の業績の傾向とさほど変わらず、同じような状況です。

この同業界ながら、株価の状況に差がある理由が筆者には分かりませんが、場合によってはヤマダ電機もビックカメラに追随して上昇していく可能性もあるでしょう。

まとめ

ヤマダ電機の株価がなぜ安いのか、その理由を解説しました。

  • ヤマダ電機は家電量販店として初めて売上高1兆円を突破した企業です。
  • 近年は、家電からの脱却を図り、「住」をテーマとした事業を多角的に展開する企業へと変化しようとしています。
  • 現状は、その変化の道半ばで、うまく業績回復へとつなげることができていません。そのため、株価も低迷しています。
  • 今後株価が上昇するとすれば、ヤマダ電機が注力している家電以外の事業が収益貢献してくることが絶対条件でしょう。

筆者の意見は、安値圏にあるとはいえ、業績回復の見込みがたっていないため、買い場ではないという判断です。

ただ、「ヤマダ電機が目指す方向性が将来業績回復につながる」と考える方にとっては、絶好の買い場になると思います。

絶好の買い場と思う方は、ぜひヤマダ電機株を購入しましょう。

  • この記事を書いた人

マネーリテラシー編集部

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