FXを行っている投資家はトルコリラの動向を注視しているでしょう。
5月29日、トルコリラが基軸通貨であるトルコ共和国で大統領選挙が実施されました。
その結果、現職のエルドアン大統領が再選しました。
この10年、価値が下落しているトルコリラ。
エルドアン大統領が再選して、その価値はますます下落する可能性が出てきました。
そのため、トルコリラに見切りをつける人も出てきました。
しかし、今が手放すタイミングなのでしょうか?
多くの人がトルコリラの動向を知りたいはずです。
ここでは、10年後のトルコリラがどのような位置にあるか?
それを知ることで、保有しているトルコリラをどのようにすればよいか?
それも見えてくるでしょう。
ぜひ最後まで読んでください。
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トルコリラ直近見通し:下落はあっても上がることはない
投資は中長期計画でおこなうのが基本です。
しかし、生涯においては予期せぬ出費はつきもの。
けがや病気でまとまった金銭が必要になることが代表的な例です。
近い将来、そのような可能性を否定できない人はトルコリラに投資しないでください。
エルドアン大統領の任期が終わるまでの少なくとも5年間、トルコリラの為替は下がる事はあっても上がることはないでしょう。
なぜなら、エルドアン大統領は「金利は悪」という考えが根底にあるからです。
2022年からアメリカFRDはインフレ対策で金利を大幅に上げてきました。
しかし、一方のトルコはその間も金利を下げ続けました。
それが原因でドルに対してトルコリラは3分の1まで値を落としています。
そのような大統領が再選したので、任期が終わる5年間は下落することはあっても上がることはないでしょう。
トルコリラ10年後見通し:金融政策正常化で上昇トレンドへ
トルコリラの下落原因は主に2つあります。
- 地政学的問題
- エルドアン大統領の強権政治
トルコは地政学的に難しい場所にあります。
シリア、イラクの2カ国と国境を接し、黒海を隔ててウクライナとも接しています。
このような地理的場所にあれば、為替も落ち着きません。
しかし、この5年の下落の原因は前者ではなくて後者です。
2016年には1リラ30円ほどの値でした。
しかし、現在は1リラ6円程の値まで下落しています。
その理由は誤った金融政策と2016年のアメリカ人牧師不当拘束などの人権問題が原因です。
トルコは国際金融市場から信頼を失いました。
ゆえに、外国からの投資が引き上げられてトルコリラは価値を失ったのです。
エルドアン大統領引退でますます下落
トルコリラ下落の原因はエルドアン大統領にあります。
それならば、大統領が引退すれば価値は上がる?
残念ですが、そのような短絡的な話ではありません。
約四半世紀、良くも悪くも大統領はトルコを統治してきました。
昨今は誤った金融政策のため批判の声が大きいですが、功績もあります。
よく考えてください。
無能な大統領を四半世紀も国民が大統領として認めるでしょうか?
この四半世紀、トルコは輸出を増やして経済成長を遂げました。
また、エルドアン大統領以前のトルコは世俗主義でした。
ゆえに、公共でのスカーフの着用は禁じられていました。
エルドアン大統領はそのような慣習を見直し、イスラム教徒が暮らしやすい環境を整えたのも事実です。
昨今は強権政治が目に余ってマイナスなイメージが強いですが、評価すべきところもあります。
トルコリラ10年以上保有した場合
仮にトルコリラの価値が上がるなら、それは10年以上先です。
前述しましたが、これから先の5年はエルドアン統治が継続します。
仮に5年後政権が変わっても、エルドアン時代で欧米からの信頼は地に落ちました。
その信頼を回復するには時間がかかります。
政情不安に陥りさらに下落
トルコリラの最悪のシナリオは政情不安でさらに下落することです。
エルドアン大統領が良くも悪くも国を安定させています。
この統治が終わったとき、混迷の時代が訪れる可能性もあります。
残念ですが、大統領が退けばトルコリラが上がるといった短絡的な話ではないのです。
最悪の場合、トルコ共和国が消滅してトルコリラが紙切れになってしまう事もありえます。
確率は非常に低いですが、「そのようなことは絶対にない」と言い切れるでしょうか。
現に、ロシアはウクライナに侵攻しました。
ロシアの蛮行は19世紀の帝国主義を思わせる行為です。
決して看過できません。
しかし、現実に起こってしまいました。
外貨に投資することはそのようなリスクも覚悟しなければなりません。
将来的に欧米寄りに修正する
現在はイスラム色を強めに打ち出した強権政治ですが、将来は欧米寄りに軌道修正する可能性は十分あります。
それは歴史が証明しています。
中東やロシアに近いトルコですが、忘れてはいけません。
トルコはヨーロッパ大陸にも近いのです。
ゆえに、ヨーロッパを無視できません。
その証拠が今回の大統領選挙です。
エルドアン大統領が出馬した選挙で決選投票まで持ち込まれたのは今回が初めてでした。
野党候補クルチダルオール氏が善戦したからです。
理由は通貨安を放置していたからです。
この数年、トルコのインフレーションはすさまじくて市民生活は困窮しています。
この5年間、何も対策を打たなければ次の再選は厳しいでしょう。
トルコはエネルギーの大半を輸入に頼っています。
通貨安は市民生活を直撃します。
資源が豊富なロシアなどであれば、ある程度孤立しても問題ありません。
トルコリラ下落は資源のあるロシアのルーブル下落とは意味が違います。
まとめ
ここでは、10年後のトルコリラの動向について述べました。
前述したように、この10年は下がることはあっても上がることはないでしょう。
端的に言います。
トルコリラへの投資を考えている人は少なくとも10年長期保有を覚悟してください。
現在保有している人も売却するかどうかの選択は各々の状況次第でしょう。
20年前の1リラ90円時代に購入した人の場合、売却して次の投資先を探したほうが賢明です。
よほどの事象がない限り、1リラ90円に戻ることはありえません。
10年後または20年後、金融政策次第である程度までは戻ってきます。
ですが、1リラ25円程度までの小幅な回復で終わります。
いずれにせよ、この10年は雌伏の時です。
本記事では、トルコリラが今後の10年で上がる可能性は少ないという結論となりました。
それでも、投資に絶対はありません。世界情勢の変化、政治のちょっとした変化で大きく見通しは変化します。
今から逆張りの勝負をして大きな利益を得られる場合もあるでしょう。トルコリラ投資に賭けてみるのも人生の楽しみ方の一つかもしれません。以下の会社はトルコリラで取引できる数少ない会社の一つです。
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