転職後すぐだと育休が取れないのではないかと不安に感じる人もいるでしょう。
結論、入社1年未満の場合、労使協定により育休が取得できない可能性があります。
しかし、出産育児の補助金は要件を満たしていれば受け取れる場合が多いです。
この記事では、子育て中の筆者が、入社1年未満の育休や断られた場合、出産育児でもらえるお金について解説をします。
育休の取得を検討している人は、ぜひこの記事を参考に安心して子育てに臨んでください。
入社一年未満だと育休取れない?
入社1年未満での育休は、労使協定に期間の定めがなければ、取れる可能性があります。
育休とは、育児休業のことで、出産後6週間の産後休業の翌日から子どもの1歳の誕生日の前々日まで取得可能です。
保育園に入園できないといった理由がある場合は、1歳6ヶ月になる日の前々日もしくは、2歳の誕生日の前々日まで延長もできます。
産休とは異なり、1歳未満の子どもを育てる男女の労働者が対象であるため、男女ともに取得できるのが特徴です。
基本的に、企業は労働者の勤務年数に関わらず、申し出を断ることができません。
しかし、入社1年未満の場合は、断られるケースもあります。
労使協定で育休取得の資格を満たさない場合
正社員は、労使協定で以下のような内容が定められている場合、育休の取得を拒まれる可能性があります。
- 雇用期間が1年未満の従業員
- 1年以内に雇用関係が終了することが明確な従業員
- 1週間の所定労働日数が2日以下の従業員
労使協定とは、企業と労働者が雇用条件について書面で定めた協定のことです。
原則、無期雇用の労働者からの育休の申し出は拒めないため、入社1年未満でも取得できます。
しかし、労使協定によって、育休の対象外の要件を定めている場合に限り、企業は取得を拒むことが可能です。
労使協定は、入社前には確認しにくいことから、妊娠を考えている人は、入社後すぐに育休取得要件を確認すると良いでしょう。
有期雇用労働者で育休取得の条件を満たさない場合
派遣社員や契約社員、パート、アルバイトなどの有期雇用者は、正社員とは育休取得の条件が異なります。
以下の条件に該当している際に、育休の取得が可能です。
- 子どもが1歳6ヶ月に達する日までに、労働契約(もしくは更新後の契約)の期間が満了することが確定していない場合
以前は、有期雇用労働者は、1年以上の雇用も条件でしたが、2022年4月の法改正により条件が緩和されました。
ただし、労使協定によって、入社後1年未満の育休取得を認めていない場合は、断られる可能性もあります。
育休取得を考えている人は、勤務先に確認するのがおすすめです。
入社一年未満の出産育児でもらえるお金
出産や育児で働けない期間の生活費に不安を抱える人もいるでしょう。
入社1年未満の出産育児であっても、一定の要件を満たせていれば、給付金を受け取れます。
出産育児でもらえるお金は以下のとおりです。
- 出産育児一時金
- 出産手当金
- 育児休業給付金
出産育児一時金
健康保険に加入している本人かその扶養者が出産した場合に、赤ちゃん一人当たり50万円が健康保険から支給される制度です。
転職前後で1年以上健康保険に加入していることが条件なため、転職後1年未満であっても支給を受けられます。
ただし、転職前後で健康保険に加入していない空白期間が1日でもあると、受給できません。
また、健康保険の任意継続被保険者となっていた人も加入期間を通算できないことから、注意が必要です。
国民健康保険に加入している場合は、そちらから支給を受けられます。
出産手当金
出産日の42日前から出産後56日までの間の所得を補償するために、健康保険から支給されます。
出産手当金の1日あたりの金額は、以下の計算方法で算出可能です。
- 支給開始日以前の12ヶ月間の各標準報酬月額を平均した額÷30日×3分の2
健康保険の被保険者であれば、勤務年数に関わらず受給できますが、標準報酬月額の計算方法が異なります。
そのため、入社1年以上が経過している人よりも支給額は少ない場合がほとんどです。
また、会社から給与の支払いを受けている場合は、支給されないため注意しましょう。
育児休業給付金
育休中の生活を支援するための給付金です。
雇用保険の被保険者が対象で、以下の要件を満たす必要があります。
- 育休開始前の2年間で12ヶ月以上、雇用保険の被保険者である
- 1歳未満(最長で2歳未満)の子供を養育するために、育休を取得している
雇用保険の加入期間は転職前後で通算することが可能です。
ただし、失業保険の給付を受けた場合は、加入期間の通算ができません。
育児休業給付金の支給金額は以下の計算式で求められます。
- 育休開始〜180日:休業開始時賃金日額×支給日数×67%
- 181日目以降:休業開始時賃金日額×支給日数×50%
給付金は2ヶ月後ごとに支給されます。181日目以降は支給額が異なるため、注意しましょう。
会社に育休を断られたらどうする?辞めるしかない?
育休の取得について断られた相手が直属の上司であれば、会社の人事部や総務課などに相談するのが重要です。
必ずしも直属の上司が育休の取得条件に詳しいとは限りません。
専門の部署に確認を取ることで、育休を取得できる場合があります。
それでも育休の取得ができなかった場合は、労働基準監督署や都道府県労働局の総合労働コーナーへの相談がおすすめです。
実際に会社と交渉をしてくれるわけではありませんが、拒否が適切であるか、一般的な解決法についての回答を得られます。
育休の取得について交渉したい人は、弁護士に依頼することも可能です。
入社一年未満だと育休取れない?辞める前に確認すべきことのまとめ
入社一年未満の場合、労使協定の内容によっては、育休が取得できない可能性があります。
しかし、労使協定に育休の対象外の要件がなければ、原則会社は育休の申し出を断れません。
妊娠出産、育児を考えている人は、転職後すぐに労使協定を確認するのがおすすめです。
万が一、育休を取れなかったとしても、出産や育児でもらえるお金もあります。
一定の要件を満たしていれば支給を受けられるため、しっかりと確認しましょう。
また、育休を直属の上司に断られた場合、人事部や総務課などの部署に相談することで取得できるケースも少なくありません。
これから育休の取得を考えている人は、ぜひこの記事を参考に安心して子育てに臨んでください。
ライター名:かなふく