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ボーイングの株価の今後 世界の二大航空業のこれからを解説【米国株】

ボーイング社は、ライト兄弟が世界初の有人飛行を成功させた13年後に設立された企業です。

現在では、民間航空機の分野で世界を代表する企業になっただけでなく、防衛・宇宙分野にも長けた企業に成長しています。

(引用:株探米国)

この記事では、ボーイングの株価の今後について解説します。以下のことがわかります。

  • ボーイングの株価急落の理由
  • ボーイングの懸念点
  • ボーイングの将来性

ボーイングが将来的にも伸び続ける銘柄か、判断する材料になるでしょう。


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ボーイングの概要

ボーイングは、世界最大の航空宇宙機器開発製造会社です。

歴史は古く、1916年に設立されました。

アメリカでは唯一の大型旅客機の製造・販売をてがけ、ヨーロッパのエアバスと市場を二分しています。

二度の世界大戦を経験しており、軍用機やミサイルの研究開発や設計製造を行う巨大企業です。

ボーイングは1934年にニューヨーク証券取引所に上場しています。

株価は2017年頃から急上昇し、2019年には446ドルを記録。

その後、急激な株価の下落がうかがえます。

(引用:Yahoo!ファイナンス)

現在は200ドル付近を推移しています。

なぜ、ボーイングはここまで株価が急落してしまったのでしょうか?

ボーイングの株価急落の理由

2019年3月10日、ボーイングの新型旅客機”737MAX"が墜落事故を起こしました。

これだけを聞くと、よくある飛行機の墜落事故の1つとして終わりですが、2018年10月末にも同じ期待で事故を起こしていたのです。

犠牲者は2つの事故を合わせて300人を超えます。

事故の原因は飛行制御システムの不具合と事故の調査当局が明らかにしました。

半年もたたない間に2度の事故、しかも同じシステムの不具合が原因ということでボーイングの信頼は地に落ちました。

もともと優秀な技術力を持ち合わせていたボーイングが、なぜこのような事故を起こしてしまったのか?

ボーイングはもともと技術者集団といった感じで、自社の利益にならなくても最終的に高品質なものを届けることを理念に研究開発を行っていました。

しかし、社内エンジニア出身のフィリップ・コンディットが社長として君臨する90年代前半から、性格が変わり始めます。

自社の株価に連動したボーナスの導入などを進め、従業員が株価や最終利益に注目するようになったのです。

利益と株価に重点が置かれ、飛行機生産に割く予算や人員が徐々に削られていきました。

さらに2013年から自社株買いを行い、本業の利益以上の利益を上げ、株主に還元。

その額は600億ドルを超え、その7割近くが自社株買いによる利益でした。

※自社株を会社の資金で購入し、購入した株式を消却することで、発行済株式が減少します。

発行済株式の母数が減ることで、1株あたり利益(EPS)が増加、配当と同じく株主還元策になります。

(参考:三井住友DSアセットマネジメント|自社株買いとPBRの関係について)

課題解決主義と呼ばれ、高い技術力をもとに製造販売を行っていた社風から、株価上昇に注力する利益第一主義の社風へシフトしてから約10年。

ボーイング史上最悪の事故が起きました。

一連の流れから、コロナ禍も相まってボーイングの株価は急落したのです。

(参考:朝日新聞DIGITAL|強欲の代償 ボーイング危機を追う)

ボーイングの懸念点

ボーイングの株価に関する最大の懸念点は、ライバル会社であるエアバスの台頭です。

アメリカの航空業界を支配するボーイングに対抗するために設立されたエアバスのスタートは難しいものでしたが、現在は2019年から5年連続でボーイングを上回る受注獲得に成功しています。

エアバスが台頭してきた背景が以下のとおりです。

  • 無償リースによる市場開拓
  • 新技術を導入した機体の売れ行きが好調
  • ボーイング機の事故

無償リースによる市場開拓

エアバスの初の航空機であるA300は世界初のワイドボディ双発機でした。

※ワイドボディ双発機とは、エンジンが2機ついたボディに客室に通路が2つある旅客機です。

当時のワイドボディ機は、ボーイング製のようにエンジンが3〜4機ついており、エアバスの機体は革新的で燃料効率が良いものでした。

しかし、思うように受注が取れなかったエアバスは賭けに出ます。

当時アメリカ最大の空港だったイースタン航空にA300を6ヶ月もの間、無償でリースしたのです。

多額の負債に苦しんでいたイースタン航空は、燃料費削減に成功、これを機にボーイングの独壇場だったアメリカの市場を開拓できました。

(参考:BUSINESS INSIDER|エアバスがボーイングを超えた5つの理由)

新技術を導入した機体の売れ行きが好調

アメリカへ市場を拡大したエアバスが、成功を収めたのはA320が登場してからです。

A320には、戦闘機や超音速旅客機のコンコルドにのみ搭載されていたフライ・バイ・ワイヤというシステムを搭載しました。

従来の手動制御からコンピューター制御が可能になり、故障箇所が少なく、従来の飛行機より安全性が高まりました。

システムは修理も簡単で、部品の数も減ったことから、燃費効率が上昇、航空会社のコストも削減しました。

後継機のA320neoは、より静かで燃費効率がさらにアップ。

各航空会社から人気を博し、2011年のパリ航空ショーでは600億ドル相当にあたる667台の受注獲得という記録を出しました。

エアバスの快進撃に対抗するために、ボーイングは新型機である737MAXの開発を急いだのでした。

(参考:BUSINESS INSIDER|エアバスがボーイングを超えた5つの理由)

ボーイング機の事故

利益至上主義の社風と新型機開発の焦りから、ボーイングは半年の間に2度もの墜落事故を起こしたのは先述のとおりです。

しかし、事故は現在も続いています。

直近では、2024年1月に737MAX9のドアが吹き飛ぶという事故を引き起こしています。

安全性や信頼性という面では、エアバスに大きく引き離される結果になりました。

(参考:BBC NEWS JAPAN|米ボーイング、主力機のドア落下事故で責任認める 原因究明に取り組むと)

ボーイングの将来性

ボーイングは今後20年で航空機受注を42,000機以上と予測しています。

新型コロナウイルスの脅威が収まりつつある現在、コロナウイルスが蔓延する前の2019年と比べて、2023年は運行数で97%、輸送力で90%と回復の兆しが感じられます。

2022年に行われたファーンボロ航空ショーからの1年で1,100機の航空機の受注を獲得。

コロナ禍以降では世界のワイドボディ機の64%がボーイング製であるといわれています。

世界的な大企業の知名度と相まって、今後ますます受注を獲得できる可能性があります。

(参考:Seizo Trend|ボーイングの予測航空機需要は20年間で「4.2万機」期待かかる脱炭素航空機)

しかし、ボーイング機には事故の話がついて回ります。

2018年10月末から2019年3月までの約半年間で2度の墜落事故を起こし、2024年1月にも機体のドアが落下するという始末。

安全が一番求められる輸送業において、この事故の数は異常ともいえます。

知名度では航空業界をけん引するボーイングですが、ESG投資が注目されている現在では資金が集まりにくいのではないかと予想できます。

まとめ:ボーイング株は株価が伸びにくい

ボーイングの株価が暴落した原因は、短期間に2度にわたる墜落事故とコロナ禍が相まってのことです。

さらにライバル企業であるエアバスの台頭により、今後ますますボーイングの株価は伸びにくくなるのではないかと予想します。

ボーイング自体は、今後20年で4万機を超える機体の受注獲得が可能と予測していますが、難しいのではないでしょうか?

株価が下がった今が仕入れ時とも考えられますが、今後伸び続けるかと聞かれると、即答しづらいのが現状です。

ボーイングの株価は伸びにくいのではないかと考えます。

ボーイングの株式を購入する時の参考にしてみてください。


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