「配当金が受け取れる株式投資に興味があるけど、そんなお金はないなぁ」と、諦めてはいませんか?
確かに配当金で生活されている方の話を読むと、株を購入するために最初から多額な資金が必要なこともあります。
しかし株式投資は少額からでも始められ、配当金を受け取ることも出来る投資方法です。
配当金は株を売らなくてもお金がもらえるため、お小遣いのような感覚でお得感が味わえます。
投資初心者の筆者ですが一年前に株式投資デビューし、3万円以下で購入した銘柄から1,200円の配当金をもらうことができました。
そこで今回は配当金のメリットや個別株投資について、体験談とともにご紹介していきます。
配当株・配当金とは?
企業が儲けたお金から、株主へ分配するお金のことです。
ただし利益が出ても必ず支払われるわけではありません。
また、配当金が支払われる時期と回数、割合(配当率)も、銘柄によって異なります。
持ち株数に応じて利益は分配されるため、単純に多く株を持っていればより多くの配当金を得ることができます。
配当利回り
株価に対し1年間で配当金がいくらもらえるか、という割合のことで、以下の式によって算出されます。
・配当利回り(%)=(1株当たりの年間配当金額÷1株当たりの金額)×100
配当利回りの平均は変動しますが、2022年のプライム市場における利回りは2.2%前後を推移しました。(出典:日本証券グループ)
一般に配当利回りが3~4%を超えると高配当株と呼ばれます。
配当利回りは購入する銘柄選びの判断材料の一つになることも多く、誰でも簡単に確認することができます。
権利確定日と権利落ち日
「権利確定日」とは、配当金を受け取る権利を得る日のことです。
しかし株式市場ではその2営業日前のことを「権利付き最終日」といい、この日に株を保有しておく必要がある為、注意しましょう。
例えば31日(金)が権利確定日だった場合、29日(木)に株を保有しておく必要がある、という意味です。
なお、翌30日に株を売っても権利は確定している為、配当金を受け取ることができます。
この権利付き最終日の翌営業日のことを「権利落ち日」と呼びます。
権利落ち日には通常、株価が下落することが多い為、慌てないようにしましょう。
逆に、その期間の権利を諦めるのであれば権利落ち日は購入チャンスでもあります。
配当金がオススメな理由とメリット
少額でも配当金の得られる株を購入するメリットは様々ですが、ここでは以下の3つをご紹介します。
・インフレに強い
・定期預金よりもお得
・投資の知識がつく
詳しく説明していきます。
インフレに強い
現金貯金ではインフレによって通貨価値が下落すると、資産も目減りしてしまいます。
対して株式投資は物価が上がるインフレに強いといわれています。
株式投資では、インフレによって利益が上がる企業へ投資することで保有する株価も上昇し、資産を増やせるからです。
現金預金よりもお得
普通預金の利率は0.001%、定期預金の利率でも0.01%ですが、配当金は2.2%、200倍以上です。
銀行への預金は元本割れが保証されている一方、大きく増やすことはできません。
またインフレには弱いので、通貨価値が下がるリスクも解決できません。
最近はネット銀行の新規キャンペーンで0.2%というものもありますが、それでも配当金の金利は桁違いに良いと言えます。
投資の知識がつく
銘柄を買うとやはり値動きが気になり、値上がりすると嬉しくなります。
逆に値下がりしてしまうと、購入のタイミングや株の探し方、選び方などを振り返りもします。
こうしていくうちに自然と株について学び、知識を増やすことができるのです。
株式投資を始めるのと始めないのとでは0と1の差に思えますが、実際は続けていくことでより大きな差へとなるでしょう。
また少額からスタートすることで、リスクを低く抑えながら学ぶことができるのもポイントです。
配当金がもらえる少額投資方法
個別株
個別株(個別銘柄)投資では、投資家が自分自身で銘柄を選択する投資方法です。
ここでは、よく比較される日本株と米国株について簡単に説明します。
日本株
知っている企業の銘柄が多く、事業内容もイメージしやすいので初心者でも銘柄を選びやすいといえるでしょう。
また株主優待がある銘柄を必要数保有すれば、企業のサービスや商品を受け取ることができます。
ただし基本的に1単元(=100株や1000株単位)での売買となるため、少額投資では買える銘柄が限られてしまいがちです。
米国株(アメリカ株)
米国株は日本株と違い、すべての株式が1株から購入できます。
また高配当株が多く、配当を増やす「増配」を続けている銘柄も多くあり、少額投資でも配当金を得やすいといえます。
ただし株主優待はなく、またドルでの取引であるため為替リスクは避けられません。
単元未満株
単元未満株は、1単元未満、つまり日本株でも1株からの購入ができる投資方法です。
証券会社によって「ミニ株」や「まめ株」など名称が異なりますが、基本的には同様もので
す。
単元未満株でも持ち株数に応じて配当金が受け取れるため、少額での株式投資デビューに向いているといえます。
少額ずつ分散投資することでリスクを低く抑えることもできますし、憧れの銘柄を少しずつ買って将来的に1単元にすることも可能です。
注意点としては、売買価格を指定して注文する指値注文ができない点や、手数料は単元株取引と比べて割高になってしまうなどがあります。
番外編:投資信託
投資信託にも配当金と似た分配金があり、少額の投資で分配金を得ることができます。
しかしその仕組みは企業が利益を還元している配当金に対し、分配金は元本の払戻金が含まれている、という点で大きく異なります。
この違いによって分配金を受け取ると、投資信託の純資産総額が減少してしまい、資産を取り崩していることと同じになってしまうのです。
基本的に投資信託は、長期的な投資を行い分配金を再投資にまわすことによって資産を大きく増やす投資方法、といえます。
分配金の受け取りか再投資かは運用会社やコースによって途中変更が可能なこともありますが、コースによっては不可能であったり、口座内すべてのコースに適用されてしまうなど単純でない場合が多くみられます。
一方配当金は受け取った後、再投資に回すのもお小遣いとするのも自分自身で行いますので、タイミングや金額も自由です。
以上の理由により配当金の受け取りを目的とした投資を行う場合は、投資信託よりも個別株や単元未満株をオススメします。
三万円以下で購入した高配当株の一年後【体験談】
筆者は2022年1月から株式投資を始め、2月1日にオンワードホールディングスの株を購入しました。
単価288円を1単元である100株購入したので、2万8,800円です。
オンワードの配当利回りは約3.8%、配当金は1株12円ですから、5月末、優待とともに1,200円が証券口座へ入金されました。
この1,200円は3万円を現金で預金していただけでは得られないお金なので、とても嬉しかったです。
さて気になる株価の値動きはどうなったでしょうか。
そのチャートがこちらです。
(本チャートはTradingViewの提供です)
購入後はマイナスに転じ、損失となってしまいました。
6月ごろ一度プラスへ転じたものの再びマイナス、しかし9月以降はプラスへ転じ、現在もプラスを維持しています。
執筆時点の株価が313円であるため、今売却したとすれば2,500円の利益となり、配当金と合わせると約1年間で3,500円近くの利益が得られた計算になります。
ちなみにオンワードホールディングスはアパレルメーカーで、優待は自社ECサイトで使える20%割引券6回分のクーポンです。
元々このメーカーのブランドを年間1万円以上は購入していたため、筆者にとっては年間2,000円以上の価値がある優待券となりました。
3万円の投資でも十分、お得を楽しめた1年となりました。
株価は日々変動し、値動きによっては予算内になるタイミングが狙えます。
現時点では予算オーバーの株価でも、気になる銘柄はチェックしておくことが重要です。
投資の注意点とリスク
株式投資で利益が得られると、もっとお金をかけてより多くのリターンが欲しくなるのではないでしょうか。
例えば30万円あれば多くの高配当株を狙うことができ、また複数の銘柄へ分散させればどこかが値下がりしてもどこかは上がることもあり、投資に安定感が増します。
しかし株は預金と違い、マイナス時に売却すると損失になってしまいます。
急にお金が必要になった時に慌てないよう、投資に使える余剰資金を把握しておきましょう。
生活防衛資金の確保
どの投資情報でも言われることですが、まずは生活防衛資金を確保するのが先決と言えます。
生活費の3か月分以上を確保するのが一般的ですが、具体的な金額は家族構成や加入している保険によって異なるかと思います。
また、合わせて大きな出費の予定も確認しましょう。
結婚や車、住宅購入など、ライフステージによっては現金が必要な場面も多くあります。
ローンや借金は先に返済すべきか
生活防衛資金確保後の余剰資金が判明したところで次に考えるのは、借金を抱えている場合返済が先か投資が先か、ということです。
借金は利率によっては投資よりも返済を優先すべきとも言えますが、投資の最終的な結果が分からない以上答えを一様に述べることはできません。
奨学金は利子が低いので返済よりも投資を勧める場合が多く、中には奨学金を投資にまわすべき、という考え方もあるくらいです。
住宅ローンは団信で保険代わりである場合、こちらも返済せずローンのままで良いでしょう。
悩むのが車のローンで、普通に借りる場合であれば投資よりもローン利率の方が高くなりがちです。
カードローンなどは投資で得られる利益よりも利率が高い場合が多いため、返済を優先しましょう。
以上の例はあくまで一般的に考えられている話のほんの一部ですので、ご自身の状況や考え方とともに参考にして結論を出してください。
「配当利回りが高い」だけでは危険
配当金について知ると「より配当利回りが高い株がお得だ」と思いがちです。
しかし計算上、急激に株価が下がった場合でも配当利回りが上がるため、高配当である理由をしっかり分析することが重要です。
もし業績の悪化が理由の場合、肝心の株価はその後も下がる一方であり、本末転倒といえるでしょう。
また業績が悪化しているということは、利益の分配である配当金を減らす「減配」になる可能性も高くなります。
配当金は嬉しいお小遣いではありますが、それだけに振り回されると結果的に損をしてしまうことになるので注意が必要です。
一般NISAを活用
株で得た利益には20%の税金がかかります。
これは売却益だけではなく配当金にもかかるため、先ほどの1,200円に対し税金がかかると980円になってしまいます。
NISAはこれらが非課税になる制度ですので、投資を始める際にはしっかりと活用しましょう。
個別株の場合は一般NISAを利用し、配当金を証券口座での受け取りにする「株式数比例配分方式」にします。
ただし現在の制度ではつみたてNISAを利用されている場合、一般NISAとの併用はできません。
2024年から始まる新しいNISAからは併用ができるようになります。
まとめ:三万円投資でも配当金を楽しめる!
以上、配当金のメリットや投資方法、注意点について解説しました。
投資は自己責任ですので、リスクを把握した上で挑戦する必要があります。
しかし実際に投資を経験することによって、少しずつ知見が深まるのも事実です。
あなたも3万円での株式購入を始めてみてはいかがでしょうか。
この記事が「少額から個別株投資や配当金を楽しみたい」と考えている方の参考になれば幸いです。
ライター:あまなつ