家電製品を購入するさいに、お店のスタッフから延長保証を勧められた経験がある方は多いのではないでしょうか。
家電延長保証の利用率は37.2%という調査結果があります。
しかし、家電の延長保証は結論から言うと必要ありません。
この記事でわかること
- 家電延長保証のしくみ
- 家電の延長保証が必要ない理由
- 家電の故障にはどのように対応すればよいのか
家電が故障したときのために延長保証に入っておいたほうがよいのか?
あるいは、故障しなかったら払った保証料が無駄になるのではないのか?
と悩んでいるあなたに、FPを持つ家計アドバイザーの筆者が、明快な理論で解説します。
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家電の延長保証はムダな支出を増やすだけ
家電の延長保証は、損害保険とまったく同じものです。
保険は、「かけるべきもの」と「かける必要がないもの」に分けられ、家電製品は保険をかける必要がないものに該当します。
家電に延長保証をつけると、生涯で大きな支出増になります。
家電の延長保証とはどのようなものか
ここで家電延長保証のしくみと、実際に家電量販店で提供されている延長保証の保証期間や保証料を見てみましょう。
家電の延長保証は損害保険と同じ
家電の延長保証は損害保険と同じだと考えればイメージしやすいでしょう。
- 家電製品を購入するときに延長保証料を支払います。
- 保証期間中に故障があれば、無償で修理または同品との交換を受けられます。
- 故障がなければ、払った保証料はお店のものになるのです。
ほとんどの家電製品には1年間のメーカー保証がついている
家電製品を購入すると、ほとんどの場合は1年間のメーカー保証がついていますよね。
家電の延長保証は、メーカー保証が過ぎてからの故障が対象となります。
実際の家電量販店の延長保証を見てみると
では、大手家電量販店ヤマダ電機の家電延長保証を見てみましょう。
延長保証2年
商品価格1万1,000円以上 3万3,000円未満(税込)のもの
保証料1,100円(税込)
メーカー保証1年のあと、有料の延長保証が2年ということです。
延長保証4年
商品価格3万3,000円以上(税込)
保証料 購入代金の5%
メーカー保証1年のあとに、有料の延長保証を4年つけるものです。
家庭にある家電製品を見渡してみると
冷蔵庫、洗濯機、炊飯器、電子レンジ、掃除機、テレビ、エアコン、電気ポット、空気清浄機、ゲーム機・・・など
家庭にある家電製品すべてに延長保証をつけたら、保証料はかなりの額になる、また買い替えるたびに延長保証に入ったら生涯で大きな額になりますね。
家電の延長保証が必要ない根拠をFPが理論的に解説
ここでは家電の延長保証が必要ない根拠と、家電の故障にどのように対応すればよいのかを解説します。
そもそも保険はどのようなものにかけるべきなのか?
家電の延長保証は損害保険と同じ、ということを冒頭で述べましたが、では保険をかけるべきものとかける必要がないものの判断基準は何なのでしょうか?
結論、保険をかけるべきものとは、自分の持ち金で解決できない高額なリスクということです。
具体的な例を挙げてみましょう。
自動車保険の対人補償と対物補償
自動車を運転していて万が一、人をはねて死亡させた場合、1億~2億円の賠償額になるといわれています。
また、クルマが店舗などに突っ込んだ場合、店舗の修繕費用のほか、休業の補償もしなければなりません。
その額、数十万~1,000万円、あるいはそれ以上になるかもしれません。
このように、自動車保険の対人事故と対物事故は、自分の持ち金で賠償できない高額なリスクにあたるため、保険をかける必要があるといえます。
生命保険
家族の中で、働いて生活費を稼いでいる夫が万が一死亡したとき、収入が途切れてしまい、その後に家族が生活に困ってしまうことが想定されるでしょう。
こちらも高額なリスクとなるため、保険が必要になりますよね。
保障額は家族構成にもよりますが、1,000万~2,000万円程度になるでしょう。
自分の持ち金で解決できない高額なリスクについて2つ紹介しましたが、では「家電製品の故障」というリスクはどうでしょうか?
家電製品が故障し、買い替えるとしてもせいぜい数万円から、冷蔵庫やエアコンであっても20万円あれば足りるでしょう。
これくらいの金額であれば、自分の持ち金で十分買い替えできますよね。
また、「お金がなくて買い替えるための数万円すらもないから、やっぱり延長保証をつけておこう」とするとどうなるでしょうか。
保証料の支払いでますますお金がなくなりますよね。
さらに、家電製品に延長保証をつけていながら故障しなかった場合、払った保証料は無駄になってしまいます。
想定されるあらゆるリスクに保険をかけるとすれば、働いて稼いだお金の多くが保険料の支払いで消えてしまうでしょう。
これらの理由から、
- 保険は自分の持ち金で解決できない高額なリスクに対してのみかける
- 自分の持ち金で解決できる少額なリスクに対しては保険をかけない
ということで、家計上手になるためにも家電の延長保証は必要ないという結論になります。
家電の故障にはどのように対応するべきか
メーカー保証の1年が経過したあとに家電製品が故障したらどうすればよいのでしょうか。
有償で修理に出す
または
買い替える
これだけです。
有料の延長保証をかけずに、そのお金を貯めておけばよいでしょう。
もし故障したらそのお金で有償修理をするか、または買い替えます。
逆に故障しなかったら、そのお金は別のことに使うこともできますよね。
家にある複数の家電製品すべてに延長保証をつけ、それを生涯続けたら、その保証料だけで家電が買える金額になってしまいます。
それで故障しなかったら、払った保証料はお店のものになってしまいます。
ではなぜ家電の延長保証というサービスが用意されているのでしょうか。
それは家電量販店が儲かるから、それだけです。
お店から見て、延長保証の申し込みを100件受け付けたとしましょう。
そのうち、故障が発生して延長保証による修理または同品交換を2件対応したとしても、故障がないほかの98件は保証料が払い込まれるだけで何の対応もしなくていいですよね。
これでお店は儲かるわけです。
まとめ:家電の延長保証は損害保険と同じ!必要なし
今回は家電の延長保証は必要ない、というテーマでその理論を解説しました。
家電の延長保証は損害保険と同じで、製品を購入した時点で修理代を前払いしているようなものです。
これで故障しなかったら、払い込んだ保証料は無駄になりますよね。
家電はもし故障しても、自分の持ち金で買い替えができる金額です。
保険をかけるべきものと、かける必要がないものの選別基準も理解いただけたかと思います。
この考え方を、これからの家計管理にぜひ役立ててください。
ライター名:FP2級/家計アドバイザー 瀬木直人
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