「親の介護をしながら出来る仕事ってある?親の介護が必要になったんだけど、今の仕事と両立できるかどうかが分からないから不安だ。良い仕事があれば、転職も検討したいから知りたい。」
「今はまだ親の介護は必要ないけど、将来に備えて考える必要があると感じている。今の仕事を辞めるかどうかも含めて、介護と仕事を両立させるコツがあれば知りたい。」
「親の介護と仕事を両立させている人の体験談を聞きたい。」
そんな悩みを抱えていませんか?
親の介護と仕事の両立に悩んでいる場合も多いことでしょう。悩んだ結果、介護に専念するため、今の仕事を辞めようかと考えているかもしれません。
しかし職種や支援制度次第で、今の仕事を辞めなくても済む可能性もあります。
別の職種に転職して、仕事と介護の両立ができる場合もあるでしょう。
そこで、この記事では、親の介護をしながら出来る仕事について、以下を詳しく解説します。
- 介護離職は避けた方が良い理由
- 介護と両立できる仕事の特徴3選と具体例4選
- 介護と両立させる5つのコツ
- 筆者の体験談
この記事を読めば、親の介護と仕事の両立への不安を軽減させられます。ぜひ最後までお読みください。
介護離職にはリスクがある
介護離職とは、今の仕事を辞めて介護に専念することをいいます。
介護離職をすれば、仕事と介護を両立させる必要がなくなります。一見、心身の負担が軽減できると感じられるかもしれません。
しかし、介護離職にはリスクがあるのも事実です。
具体的なリスクとしては、以下の3つが挙げられます。
- 収入がなくなるため、金銭面で不安が生じる
- 介護期間中は職歴が空白になるため、再就職が難しくなる
- 介護への専念で社会とのつながりが薄くなる
さらに厚生労働省の調査によれば、離職前に比べて心身への負担が増したという結果が出ています。( 参考:三菱UFJリサーチ&コンサルティング「介護離職者の離職理由の詳細等の調査及び 勤労世代の介護離職防止に資する 介護保険制度の広報資料等の作成」P.171)
介護離職をして、心身の負担が減ったと思える人もいることでしょう。一方で心身の負担が増して、後悔している人も少なくはありません。
可能な限り、親の介護と仕事を両立させる方法を模索することをおすすめします。
それではどんな仕事であれば、介護と両立させやすいのでしょうか。次の項目で、その仕事の特徴について詳しく解説します。
親の介護をしながら出来る仕事の特徴3選
親の介護と仕事は、両立する方が望ましいといえます。それでは、どんな仕事であれば介護と両立しやすいのでしょうか。
親を介護しながら出来る仕事の特徴としては、以下の3つが挙げられます。
- 時間や仕事量の融通が利く
- 在宅で仕事ができる
- 仕事での関係者が少ない
1つずつ解説していきます。
①:時間や仕事量の融通が利く
親の介護と両立させやすい仕事の特徴として、時間や仕事量の融通が利くことが挙げられます。
介護では突発的に対応を求められることが多いため、時間や仕事量が柔軟に調整できれば安心して働けるでしょう。
例えば「今日は午前中に通院するから、夕方から働こう」といった調整も可能になります。
親を介護しながら働きやすい仕事の特徴といえるでしょう。
②:在宅で仕事ができる
自宅で親を介護しながら仕事を両立することを考えている場合、会社への出社は難しくなります。
この場合、在宅で仕事ができれば、介護との両立が可能です。仕事中に親に何かトラブルがあった場合でも、すぐに対応できるでしょう。
ただし在宅の仕事は、基本的にインターネット環境が整っていることが、ほぼ必須条件といえます。
また、パソコンやスマホなどの電子機器も必要となる場合が多いといえます。
仕事の内容次第では、高スペックである必要はありませんが、ある程度の初期費用が必要な点には注意が必要です。
③:仕事での関係者が少ない
仕事での関係者が少ないほど、介護との両立がしやすくなるでしょう。
仕事と介護の優先度を考えたときに介護を選んだ場合、影響が少なかったとしても相手には迷惑をかけることになります。
この場合、関係者が少ない方が迷惑をかける範囲が狭くできます。
反対に仕事での関係者が多ければ多いほど、迷惑をかける範囲が広くなり、より多くの人に迷惑をかけることになるでしょう。
迷惑をかけた分、余分な仕事も増えると予想できるため、介護との両立も難しくなります。
介護と両立させたい場合、関係者が少ない仕事を選ぶことをおすすめします。
親の介護をしながら出来る仕事の具体例4選
ここでは、実際に親の介護をしながら出来る仕事の具体例として、以下の4つを紹介します。
- 在宅勤務
- 派遣
- パートやアルバイト
- 在宅フリーランス
1つずつ解説していきます。
①:在宅勤務
今、勤務している会社が在宅勤務の制度を設けている場合、上司や人事に相談してみることをおすすめします。
在宅勤務ができるのであれば、会社を辞める必要もなく、介護と仕事を両立させることができるでしょう。
新型コロナウイルスの影響以降、在宅勤務を導入する会社が増えましたが、現在も制度を設けている会社は多くあります。
まずは勤務している会社が、在宅勤務を導入しているかどうか確認してみることをおすすめします。
②:派遣
派遣も、親の介護と両立しやすい仕事の1つです。
週5日のフルタイム勤務が基本の正社員と異なり、派遣は時短勤務や週3、4日勤務が可能という場合も多くあります。
また派遣は、事前に業務内容を定めたうえで契約を結びます。契約と異なる想定残業時間を、大幅に上回る可能性もほとんどないといえるでしょう。
もちろん、残業がない派遣先のみを紹介してもらうことも可能です。
派遣先でトラブルにあっても、派遣会社が間に入って対応してくれるため、安心して働けます。
パートやアルバイトよりも時給が高い傾向にあるため、ある程度、安定した収入を確保しつつ、親の介護と両立させられるのが、派遣の魅力といえるでしょう。
③:パートやアルバイト
パートやアルバイトは、時間の融通が利きやすいため、親の介護と両立させやすいといえます。
自宅近くのパートやアルバイト先であれば、さらに介護と両立させやすくなるでしょう。
ただし、最低賃金は上昇しているとはいえ、時給が高いとはいえません。介護で労働時間が短くなることも予想できるため、安定した収入は期待できないでしょう。
この場合、収入を増やすために、次の項目で紹介する在宅フリーランスを兼業するのもおすすめです。
詳しく解説するため、ぜひ引き続きお読みください。
④:在宅フリーランス
フリーランスとは、特定の会社に所属せずに、個人で案件を請け負う働き方です。
仕事内容によっては、在宅でも何ら問題なく完結できます。在宅フリーランスは、介護と両立させやすいといえるでしょう。
なお在宅でできる仕事の例としては、以下が挙げられます。
- Webライター
- Webデザイナー
- Webマーケター
- データ入力
- 動画編集
- ネットショップ運営
- ブロガー など
これらの仕事は、求人サイトだけでなく「クラウドワークス」や「ランサーズ」などの仕事マッチングサイトでも探せます。
まずはサイトを確認してみて、自分に合った仕事を探してみましょう。
▼その他、Webライターにおすすめのクラウドソーシングサイト
関連記事:Webライターはどうやってなる?仕事内容や必要なスキル、手順を紹介【未経験からでも大丈夫】
親の介護と仕事を両立させる5つのコツ
介護は、怪我や病気のように治るまでの間の一時的なものではなく、明確に終わりが分かるものではありません。
そのため、介護と仕事をうまく両立させて、心身の負担や経済的な負担を軽減させる必要があります。
ここでは、親の介護と仕事を両立させるコツとして、以下の5つを紹介します。
- 家族や親戚に相談する
- 公的支援制度を利用する
- 地域包括センターに相談する
- 介護サービスを利用する
- 介護を機に転職を検討する
1つずつ解説していきます。
十分に活用して、少しでも介護と仕事の両立の負担を減らしましょう。
①:家族や親戚に相談する
親の介護の問題は、一人だけで抱え込まないことが重要です。
親のどちらかが介護の必要がない場合や、兄弟姉妹がいる場合は相談することをおすすめします。親戚にも併せて相談するのも良いでしょう。
家族や親戚に相談することで、心身の負担や経済的な負担の両方を軽減させられる可能性も高められます。
1人で介護に向き合おうとせず、負担を分け合うという考えも大切といえるでしょう。
また将来的な親の介護のために、事前に家族や親戚と相談するのも、今後に備える意味で有効といえます。
関連記事:【体験談】親の介護で兄弟トラブル発生|成年後見制度による解決方法とは?
②:公的支援制度を利用する
雇用保険である「介護休業給付金」や、介護休業制度にもとづいた「介護休暇」といった公的な介護支援制度もあります。
これらの制度を利用するのも、仕事と介護を両立させるコツの1つです。心身の負担や経済的な負担を軽減させることができます。
介護休業給付金は、介護のために仕事を休業した人に対し、給付金が支給される制度です。支給条件を満たせば、一定期間、休業開始時の賃金67%に該当する金額の支給が受けられます。
介護休暇は、要介護状態にある家族を介護する人が休暇を取れる制度です。年間5日まで、家族を介護するための休暇が取れます。
どちらも介護と仕事を両立させるのに重要であり、今の仕事を辞めなくて済む可能性がある制度といえます。上手に活用して、負担を軽減させましょう。
③:地域包括センターに相談する
介護への悩みがある場合や家族や親戚を頼れない場合、各自治体に設置された地域包括センターに相談することをおすすめします。
地域包括センターには、介護に関する資格を持った専門家が配置されています。介護への疑問や不安などがある場合、相談すれば解決策を提示してくれることでしょう。
また地域包括センターでは、要介護認定の申請手続きの支援や代行もしてくれます。要介護認定を受ければ、次の項目で紹介する介護サービスが利用できます。
介護サービスを利用すれば、さまざまな負担が軽減できることでしょう。
仕事との両立もしやすくなり、不安も軽減できる可能性も高いことから、積極的に相談したいところです。
④:介護サービスを利用する
介護はできる限り、負担を軽減させた方が良いといえるでしょう。そのため、介護サービスの利用を検討することも重要といえます。
介護サービスは「居宅型」と「施設型」「地域密着型」に分けられます。
居宅型は自宅で介護が受けられるサービスで、施設型は施設に入所して介護が受けられるサービスです。
地域密着型は、地域住民に限定して提供される小規模なサービスになります。
サービスを上手に利用して、介護の負担を軽減することで仕事との両立もしやすくなります。必要に応じて、介護サービスの利用も検討しましょう。
⑤:介護を機に転職を検討する
正社員でのフルタイム勤務や在宅勤務が難しい場合、転職を検討する必要もあります。
派遣やパート、アルバイト、在宅フリーランスであれば、働く日数を減らせる可能性も高くなります。介護との両立もしやすくなるでしょう。
ただし、収入面では正社員よりも減る可能性が非常に高くなります。
介護と仕事を両立させるには、日頃から家計管理をする必要がある点には、注意が必要です。
【体験談】筆者は介護のため転職しました
筆者は、父親がしていた要介護3相当(日常生活全般で介護が必要)の母親の介護の手伝いをするため、2022年に前職を退職しました。
そのほかの理由も有りますが、父親は当時75歳と後期高齢者であり、1人で母親を介護するには困難と判断した結果でした。
現在は、在宅フリーランス(Webライター、ブロガー)とアルバイトの二足のわらじで生計を立てています。
前職と比べて収入は格段に減ったため金銭面での負担は増しましたが、心身面の負担は変わらないと感じているのが実情です。
なお母親は、家族での介護が困難な状態にまで悪化したため、2024年に特別養護老人ホームに入所させました。
入所させる前は在宅フリーランスのみで、通院や移動などの介護を手伝いつつ働けました。時間や仕事量の融通が利く仕事なため、両立できたのだと感じています。
アルバイトを兼業し始めたのは、母親を特別養護老人ホームに入所させて、介護が落ち着いた後です。
もともと筆者の母親は、指定難病「多巣性運動ニューロパチー」と「パーキンソン病」を患ったことと年齢の関係もあってか、病状が急激に悪化し、介護が必要になりました。
筆者が退職した2022年には認知症も進み、ほとんど会話もできない状態にまで悪化していました。

(筆者作成画像。母親と筆者のLINEやりとり画面。2021年1月頃まではまともに会話できたが、同年6月頃にはまともな文章を打つこともできない状態にまで悪化。)
母親が特別養護老人ホームに入所したことで、現在、介護は一旦落ち着いています。
ただし父親は現在、認知症などもなく元気ではありますが、年齢的にもいずれ介護が必要になることが予想できます。
将来的な父親の介護に備える意味でも、在宅フリーランスとアルバイトの兼業という働き方は、介護と仕事の両立に向いていると感じているのが事実です。
以上、筆者の介護と仕事の両立に関する体験談を紹介しました。参考にしていただければ幸いです。
まとめ
親の介護と仕事の両立は大変といえます。
しかし地域包括センターに相談したり、公的支援制度を利用したりすることなどで実現はできます。
介護離職は一見、心身の負担が軽減できると感じられるかもしれませんが、結果的に負担が増したと感じている人がいるのも事実です。
在宅勤務や派遣など、職種によっては介護と仕事の両立が可能になります。
介護離職を避けて、自分に合った働き方を選択し、無理の無い範囲で介護と仕事を両立させましょう。
