「住宅ローンの審査に通らなかった」
「なぜ、住宅ローンが否認となったか分からない」
人生最大の買い物を前に、住宅ローンの審査が通らず、困った状況にある方もいらっしゃると思います。
筆者は、銀行に10年勤務し、住宅ローンの担当者も長く務めていました。
筆者自身の実務経験から、住宅ローンの審査を通す最終手段を伝授します。
夢のマイホーム実現の一助となれば、幸いです。
ぜひ、ご協力させてください。
住宅ローンが通らない人は多い
「クレジットカードの審査に落ちたことはない」
「車のローンは、組めている」
クレジットカードや他のローンの審査は問題なく通ったが、住宅ローンの審査は通らなかった、というケースは多く見られます。
住宅ローンは、融資を行う金融機関側にとって、抱えるリスクが大きく異なります。
- 融資金額が大きい。3,000万円、5,000万円等
- 融資期間が長い。30年~50年
金融機関側はより慎重な審査を求められ、クレジットカード等の審査よりも非常に厳格なものとなります。
筆者の経験上、住宅ローンの申込4件につき、1件は否認となっていました。
住宅ローンの審査で否認となることは、決して珍しいことではありません。
否認となってしまったら、そこからの対応が重要です。
住宅ローンが通らない代表的な理由
① 勤続年数が短い | 「勤続年数が1年以上」等の申込条件があります。 1年以上であっても、勤続年数が短いと審査に不利です。 |
② 収入が少ない | 「年収250万円以上」等の申込条件があります。 250万円以上であっても、借入金額に対して少なければ、審査に不利です。 |
③ 購入する物件の金額が大きすぎる | 勤続年数や収入に問題は無くても、購入する物件があまりにも高すぎると、審査に不利です。 身の丈に合った物件を選びましょう。 |
④ 資金使途に疑念を持たれる | 住宅ローンは原則、「自己居住用」の不動産に対する融資です。 これは「投資用」ではないか?と金融機関に疑念を持たれると、審査に不利です。 (事例)4人家族なのに、1LDKのマンションを購入しようとしている。 |
⑤ 団体信用生命保険の審査に通らない | 金融上の審査以外に、団体信用生命保険(略称:団信)の審査が別であります。 通常の生命保険と同様、健康状態に懸念があると審査に通りません。 |
⑥ 個人信用情報に問題がある | クレジットカードや各種ローンで、 過去に延滞履歴や自己破産経験等の事故歴があると、 住宅ローンの審査は基本的には通りません。 |
上記の「⑤ 団体信用生命保険の審査に通らない」に該当される方は、まず、別種類の団信に申込を検討しましょう。
異なる審査結果が出ることもあります。
フラット35の様に、団信加入が必須ではない住宅ローンもあります。
上記の「⑥ 個人信用情報に問題がある」に該当される方は、住宅ローンの借入は極めて厳しいものとなります。
延滞履歴が「1回だけで、かつ1日だけ」という状況であれば、承認となる可能性もありますが、それ以上の事故歴の場合は難しいです。
住宅ローンは再申込・再審査依頼が可能
住宅ローンは一度、審査が否認となっても、再申込・再審査依頼が可能です。
筆者の銀行員時代も、審査が否認となった場合、再申込・再審査依頼をお客様へ打診することがよくありました。
不動産会社から、打診されることもあります。
銀行は「融資実績」が欲しく、不動産会社は「契約実績」が欲しいため、銀行も不動産会社も、住宅ローン審査の再挑戦を行うことに前向きであることが多いです。
ただ、否認理由が明らかに「個人情報の問題」である場合は、打診を受けることは少ないです。
住宅ローンが通らない場合の最終手段
1.【最重要】金融機関の担当者へ詳細な情報開示を行う |
まず、これが基本中の基本です。 住宅ローンの申込書に記載した内容だけでは、十分な情報が伝わっていないことがほとんどです。 金融機関の担当者は、再申込・再審査に当たって、支店としての「意見書」を添付します。 その意見書に書く材料が重要となります。 ・保有する金融資産(預貯金、株式、債券等) ・既存の借入(カードローン、車のローン等) ・勤務年数が短い場合、「同業種から転職し、年収アップした」等の経緯 ・収入が不足する場合、同居家族の収入 ・定年が近い場合、定年退職の年齢 ・退職金の見込額・再雇用の可否 申込書中に、「保有する金融資産」と「既存借入」の項目はありますが、正確に記入していない方も多いと思います。 「既存借入」というマイナスの要素も、ありのままに金融機関へ伝える必要があります。 金融機関は個人信用情報機関に照会を行うため、既存借入を隠していても、バレることになります。 「正直に告知していない」という事実が、審査にはマイナスに働きます。 前提として知っておきたいこととして、「金融機関の支店担当者は、敵ではない」ということです。 金融機関における住宅ローン審査は、最終的には本部や保証会社において承認・否認が決定されます。 支店で最終決定されるわけではありません。 支店担当者としては、「個人・支店の営業成績を上げたいから、ぜひ、審査の承認を勝ち取りたい」という考えを持っています。 筆者が住宅ローン担当を務めていた時、意見書作成のためお客様へヒアリングを行うと、「なんで、そんなことまで銀行に話さないといけないんだ!」とおっしゃる方もいました。 それでは、審査の承認は遠のいてしまいます。 支店担当者へ「協力」する姿勢を見せることが、承認を得るための第一歩です。 残念なことに、それをご理解されていない方が非常に多いです。 |
2.所得合算者を追加する |
同居家族で収入のある方がいれば、所得合算者とすることができます。 ほとんどの場合は配偶者(妻)となりますが、同居していれば親の年金収入も合算することが可能です。 配偶者の収入は、アルバイト・パートとしての収入でも構いません。 |
3.購入物件を再検討する |
借入金額を減らすために、購入物件をより安価なものに変更しましょう。 借入金額が減れば、収入に対する住宅ローン返済負担もより軽くなり、その後の生計も楽になります。 |
4.複数の金融機関へ申込を行う |
審査が否認となった後だけではなく、初めから複数の金融機関への申込をする方もいらっしゃいます。 不動産会社経由で申込を行う場合、不動産会社側から複数申込を打診されることもあります。 金融機関毎に審査基準は異なります。 一方では承認、もう一方では否認、というケースもよくあります。 |
5.既存の借入を完済する |
カードローン、車のローン等、既存の借入がある場合は、完済を検討しましょう。 現在の借入金額・返済負担が軽減されれば、住宅ローン審査に有利となります。 金融機関側から、既存借入の完済を打診されることもあります。 「完済条件付き」で承認する、といったケースもあります。 |
6.既存の所有不動産を担保提供する |
かなりレアケースです。 既存の所有不動産があり、そこに抵当権等が付いていなければ、「共同担保(添え担保)」として担保提供するという方法もあります。 |
まとめ
住宅ローンが通らなかったとしても、そこで終わりではありません。
まだ、あきらめてはいけません。
住宅ローンが通らないというケースは、決して珍しいことではありません。
その後の対処方法が分かれば、逆転することも十分に可能です。
上記をご参考にして頂き、ぜひ、夢のマイホームを実現させてください。応援しています。
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ライター名:元銀行員の金融・不動産ライター グッチ3