【1655】なぜ配当金が少ない?過去の分配金や配当利回りを解説【iシェアーズ S&P500米国株ETF】

1655「iシェアーズ S&P500米国株ETF」は、S&P500に連動するETFとして注目している個人投資家が多くいますが、配当金が少ないという意見もあります。配当に魅力を感じて投資をしている方にとっては、少し残念な情報ですよね。

この記事では、1655の配当に関する情報とともに、配当が少ない理由について解説していきます。

すでに1655を保有している方や、これから投資を検討している方はぜひ参考にしてみてください。

参考記事:米国株投資の始め方を解説!金融機関選びから注文の仕方まで

目次

(証券コード:1655)IS・S&P500米国株ETFとは?

正式名称は「iシェアーズ S&P500米国株ETF」です。

その特徴は、「米国の代表的な株価指数S&P500に連動するETFであること」「世界最大の資産運用会社であるブラックロックが運用しているETFであること」といえます。

また「iシェアーズ」とは、ブラックロックが運用する投資信託を表しています。

1655の構成銘柄

まずは、1655の構成銘柄を確認するために、最新の投資信託説明書(2024年11月9日発行)で確認していきます。

No.銘柄構成比率
1アップル6.9%
2マイクロソフト6.7%
3エヌビディア6.2%
4アマゾン3.7%
5メタ2.2%
6アルファベット(クラスA)2.2%
7アルファベット(クラスC)1.8%
8バークシャーハサウェイ1.7%
9ブロードコム1.5%
10テスラ1.4%

(出典:投資信託説明書

近年の成長著しいテック系の企業が並んでいますね。

この構成銘柄は、基本的にS&P500を構成する企業と同じなため、1655を購入することで米国を代表する500社に分散投資をする効果を得ることができます。

1655の配当推移

1655の決算日は、毎年2月9日と8月9日です。そのため、例年の配当は年に2回行われています(実際に投資家に配当が支払われるタイミングは決算の翌月)。

そこで過去の決算時に、どのくらいの配当実績があるのかを確認してみましょう。

2月8月合計
2024年3.4円2.6円6.0円
2023年2.8円2.6円5.4円
2022年1.4円2.4円3.8円
2021年1.5円1.3円2.8円
2020年15.0円16.0円31.0円
2019年16.0円19.0円35.0円

(出典:ブラックロック iシェアーズ S&P500 米国株 ETF

これをみると、2019年と2020年の配当金が突出していますが、受益権の分割反映前の数字のためです。

受益権分割を考慮すると、次の通りになります。

2月8月合計
2020年1.5円1.6円3.1円
2019年1.6円1.9円3.5円

新型コロナの影響でS&P500が低迷していた2020年や2021年にはやや配当額は落ち込みましたが、現在においてはコロナ前の水準を超えています。

1655の配当利回り

2025年1月5日時点における「iシェアーズ S&P 500 米国株 ETF」の過去12ヶ月分配金(配当)利回りは0.88%です(参照:ブラックロック iシェアーズ S&P500 米国株 ETF)。

この配当利回り0.88%は、東京証券取引所に上場しているETFの中でかなり低い水準といえます。2019年のデータで古いですが、東京証券取引所のデータでは、2019年3月26日時点で上場しているETFの配当利回りは2.15%です(参照:東京証券取引所 分配金に着目したETF投資のご紹介)。

1655の配当金はなぜ少ない?理由を解説

1655の配当利回りは、ETFの中でかなり低い水準であることがわかりました。

ではなぜ配当利回りが低い(配当金が少ない)のでしょうか。

S&P500の構成銘柄の配当が少ない

1655はS&P500を構成する銘柄からの配当から諸経費などを差し引き、配当を分配します。

そのため、そもそもS&P500の構成銘柄の配当が少なければ、1655の配当も少なくなるという構図になっています。

では、1655を構成する上位10銘柄の配当利回りはどの程度なのかをみていきましょう。

No.銘柄配当利回り
1アップル0.41%
2マイクロソフト0.73%
3エヌビディア0.02%
4アマゾン0.00%
5メタ0.33%
6アルファベット(クラスA)0.31%
7アルファベット(クラスC)0.31%
8バークシャーハサウェイ0.00%
9ブロードコム0.93%
10テスラ0.00%

(参考:Trading View

このように構成銘柄の上位10社の中で1.00%を上回る配当利回りの先はありませんでした。

この理由として次のようなことが考えられます。

利益を更なる成長投資に振り向けている

第一に考えられることは、利益を成長投資に振り向けていることです。

配当の原資は企業の利益ですが、これを配当で株主に還元するか、それとも再投資に回すのかは各企業の経営方針次第となります。

ただ一般的には、成長が著しい企業は利益を配当ではなく再投資に回すことが多くなるため、これらの企業は配当を積極的に行っていないといえるでしょう。

株価が上昇している

配当利回りは、[1株あたり配当金]÷[株価]で計算します。そのため、配当金が多くても株価が上昇していれば、配当利回りは低くなります。

1655を構成する企業は、前述のような利益を成長投資に回すことで、更なる成長を遂げたことにより株価が上昇しているため、配当利回りが低くなっているのではないでしょうか。

1655は配当金ではなくトータルリターンで考えよう!

ここまでみてきたように、S&P500を構成する銘柄は成長が著しい企業が多く、配当よりも成長による株価上昇を期待するほうが良いでしょう。

このことは、過去の配当を含めたトータルリターンをみれば明らかです。

1年3年5年設定来
トータルリターン40.73%21.20%23.17%19.75%

(出典:ブラックロック iシェアーズ S&P500 米国株 ETF

2017年の設定以来、コロナショックやウクライナショックを経験しても年率19.75%の運用の実績があるため、約8年で3.5倍になっている計算になります。

1655に投資をするなら配当額や配当利回りをみるのではなく、トータルリターンをみて投資を検討していきましょう!

1655とeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)との比較

最後に1655を、ほかのインデックスファンドと比較してみましょう。

ここでは、同様にS&P500に連動するインデックスファンド「eMAXIS Slim」と比較していいきます。

信託報酬

信託報酬は、1655の方がやや低い設定になっています。

1655eMAXIS Slim
信託報酬(税抜)0.0600%0.0852%

トータルリターン

1年間のパフォーマンスで比較してみましょう。

基準価格2024/1/92025/1/8上昇率
165510,076.7213,891.9737.9%
eMAXIS Slim24,55233,81937.7%

インデックスファンドであるため、どちらもトータルリターンに差はでていません。

配当実績

1655とeMAXIS Slimの年間配当額の推移は次の通りです。

年間配当1655eMAXIS Slim
2024年6.0円0円
2023年5.4円0円
2022年3.8円0円
2021年2.8円0円
2020年31.0円0円
2019年35.0円0円

(参考:楽天証券

配当を受けたい投資家の方は、1655に投資する方が良いようです。

参考記事:【投資初心者向け】投資信託eMAXIS Slim全世界株式をおすすめしないのは本当?

まとめ

1655は世界最大の資産運用会社が運営するETFです。

S&P500に連動するETFであるため、注目している投資家も多いですが、他の投資信託と比べて、信託報酬が低く設定されていて、年間2回の配当を受け取れることが特徴といえます。

ただ配当の額はそれほど多くはありません。S&P500を構成する銘柄は、急成長を遂げている企業が多くあり、投資家に配当するよりも成長投資にまわし利益を上げることが、最大の株主還元と考えています。

1655への投資を検討する際には、配当ではなくトータルリターンで考えるようにしましょう!


ライター名:社会人ライター ひろきち

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