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保険料控除の紙で会社に伝わること|受取人の名前とiDeCoの掛金はどこまで書くのか

保険料控除の紙で会社に伝わること|受取人の名前とiDeCoの掛金はどこまで書くのか

結論から書きます。年末調整で出す保険料控除申告書は税務署ではなく勤務先に渡り、勤務先がそのまま原則7年間保管します。生命保険料控除の枠で会社に伝わるのは、保険会社等の名称・保険の種類・保険期間・新旧の区分・契約者の氏名・保険金等の受取人の氏名・支払保険料の金額で、受取人については氏名だけを書き、続柄を書く欄はありません。iDeCoは掛金の金額を書く欄しかないので運用商品も残高も伝わりませんが、年末調整で控除を受ける以上、加入していること自体は勤務先に伝わります。地震保険料や社会保険料の枠、令和8年分で新設された欄には別の記入項目があるので、次の章で様式ごと並べます。

目次

ただし、こういう場合は話が変わります

いま書いたのは、令和8年分(2026年分。今年の年末調整で使う紙)の様式で書く欄がどこまでかという話です。次の3点は先に押さえておいてください。

ひとつめ。控除証明書そのものが勤務先の手元に渡ります。国税庁の手続案内は、生命保険料・地震保険料・小規模企業共済等掛金の控除を受ける場合、「支払金額を証する書類を1部提出してください」と書いています(旧生命保険料は、剰余金や割戻金を差し引いた残額が9,000円を超える場合)。つまり申告書に書いた項目だけでなく、保険会社から届いたはがきや書類に印字されている内容も、そのまま会社に届きます。

ふたつめ。令和8年分から、23歳未満の扶養親族がいて一般の生命保険料(平成24年1月1日以後に結んだ契約=新保険料)を払っている人は、その扶養親族の氏名・個人番号・生年月日などを申告書に書くことになりました。子どもがいて一般の生命保険料を払っている人は、書く情報が去年より増えます。

この☆欄は、この記事で扱う中でいちばん踏み込んだ情報です。氏名だけでなく個人番号と生年月日を書き、住所が違う場合はその住所も書きます。離婚や別居で子どもと住所が別になっている人は、その事実が申告書に載ります。書く欄がある以上は書くことになるので、当日あわてないように、自分が記入対象かどうかと、どこまで書くことになるかを先に様式で見ておいてください。

扶養そのものが勤務先へ伝わる経路は、扶養はどうやってバレる?給与支払報告書の仕組みと、税と健康保険で違う線でまとめて説明しています。

みっつめ。iDeCoの掛金を給与から天引きする「事業主払込」にしている人は、そもそも勤務先が毎月の掛金額を把握しています。国民年金基金連合会の事業主払込の手引き(PDF)では、事業主払込は勤務先が給与から掛金を天引きして口座振替で納める方式だと説明されています。この方式を選んだ時点で、年末調整の紙とは関係なく会社は金額を知っています。

気になっているのが受取人の欄なのか、iDeCoの欄なのか、それとも「そもそも誰の手に渡るのか」なのかで、確認すべき場所が変わります。いま自分がどれで止まっているかを選んでみてください。

いま気になっているのは、どれですか。

名前もメールアドレスも聞きません。どれが選ばれたかの件数だけ、記事を直すための集計に使います。

令和8年分の紙に、実際に何を書く欄があるのか

不安の正体は「どこまで書かされるのか分からない」ことなので、様式そのものを見るのがいちばん早いです。令和8年分の保険料控除申告書のPDFから、氏名を書かせる欄と主な記入項目を並べます。

控除の種類氏名を書く欄ほかに書く主な項目
生命保険料控除保険等の契約者の氏名/保険金等の受取人の氏名保険会社等の名称、保険等の種類、保険期間又は年金支払期間、新・旧の区分(契約日が平成24年1月1日以後かどうか)、本年中に支払った保険料等の金額
地震保険料控除保険等の契約者の氏名/保険等の対象となった家屋等に居住又は家財を利用している者等の氏名保険会社等の名称、保険等の種類(目的)、保険期間、地震保険料又は旧長期損害保険料の区分、本年中に支払った保険料等の金額
社会保険料控除保険料を負担することになっている人の氏名社会保険の種類、保険料支払先の名称、本年中に支払った保険料の金額
小規模企業共済等掛金控除(iDeCoを含む)氏名を書く欄はありません「確定拠出年金法に規定する個人型年金加入者掛金」など4つの区分ごとに、本年中に支払った掛金の金額
☆年齢23歳未満の扶養親族(令和8年分から)扶養親族の氏名(フリガナ)個人番号、生年月日、住所が異なる場合の住所又は居所、本年中の合計所得金額の見積額、あなたとの続柄
出典:国税庁令和8年分給与所得者の保険料控除申告書(PDF)、国税庁《記載例》令和8年分給与所得の保険料控除申告書の記載例(PDF)、国税庁A2-3 給与所得者の保険料控除の申告。2026年9月3日に確認しました。

見てのとおり、受取人については氏名を書く列があるだけです。令和7年分と令和8年分のPDFを比べたところ、生命保険料の欄に受取人との続柄を書く列は見つかりませんでした。令和8年分の様式に1か所だけ「続柄」の語が出てきますが、それは新設された☆欄(23歳未満の扶養親族)の「左記の者のあなたとの続柄」で、受取人の続柄ではありません。

なぜ受取人の氏名を書かせるのか

会社があなたの家庭の事情を知りたいからではありません。生命保険料控除には受取人の要件があり、それを満たしているかどうかを確認するために書く欄です。

国税庁の記載例には、「保険金等の受取人は、あなた又はあなたの配偶者や親族(個人年金保険料については親族を除きます。)であることが必要です」と書かれています。国税庁の税金Q&Aサイト(タックスアンサー)にも、平成24年1月1日以後に結んだ新契約について、保険金等の受取人のすべてをその保険料等の払込みをする方またはその配偶者その他の親族とするものが対象だ、と載っています。

個人年金保険料はさらに条件が狭く、年金の受取人は保険料もしくは掛金の払込みをする者、またはその配偶者となっている契約であることが要件です。子など他の親族を年金の受取人にしている契約は、この枠では控除の対象になりません。受取人の氏名を書く欄は、この要件のチェックのために存在していると読めます。

ここで止まる人もいます。受取人が配偶者でも親族でもない契約は、そもそも生命保険料控除の対象になりません。控除を受けないので申告書に書く欄も使わず、その保険について会社に伝わる情報も生じません。控除が使えないのは制度が要件を定めているからで、あなたの家族のかたちに問題があるからではありません。契約の受取人を変えるかどうかは税金とは別の判断です。変更ができるかどうかを保険会社の窓口で確認したうえで、年末調整の締切に追われずに決めてください。

とはいえ、氏名そのものは会社の目に触れます。続柄の欄がないので、誰との関係かを紙の上で説明する必要はありません。ただし自分と姓が違う名前を書けば、担当者が何かを想像する余地までは消えません。様式が守ってくれるのは「関係を書かされないこと」までで、「誰にも何も思われないこと」ではない、と考えておくほうが安全です。

iDeCoは金額だけ。ただし「やっていること」は伝わります

iDeCoの掛金は、保険料控除申告書の「小規模企業共済等掛金控除」の枠にある「確定拠出年金法に規定する個人型年金加入者掛金」の欄に書きます。この欄名は国民年金基金連合会のよくある質問(PDF)(2026年9月3日時点で公開されている最新版は令和7年版です)でも同じで、「この欄に合計金額を記入してください」と案内しています。

欄にあるのは金額だけです。iDeCoを申し込んだ金融機関(運営管理機関)の名前も、どの商品を買っているかも、資産がいくらになっているかも、書く場所がありません。控除できる金額はその年に支払った掛金の全額なので、書くのは1年間の合計額です。

一方で、加入していること自体は隠せません。国税庁のタックスアンサーNo.1135 小規模企業共済等掛金控除は、給与所得者について「証明書を保険料控除申告書に添付して給与の支払者に提出するか、同申告書を提出する際に提示してください」と書いています。国民年金基金連合会の事業主向けの手引き(PDF)も、iDeCoの掛金を自分の口座から払っている人(個人払込)の年末調整は、本人が出した小規模企業共済等掛金払込証明書に基づいて行う、としています。年末調整でiDeCoの控除を受ける限り、払込証明書は必ず勤務先の目に触れます。

加入するときの手続きも触れておきます。2024年12月1日から、会社員がiDeCoに加入するときの事業主証明書は廃止されました。ただし掛金を給与天引きの事業主払込で納める場合は、引き続き事業主証明書が必要です。つまり、加入の入口で会社に書いてもらう書類がなくなっても、年末調整で控除を受ける段階で払込証明書が会社に渡ることは変わりません。入口と年末調整は分けて考えてください。

その紙はどこへ行き、いつまで残るのか

ここが誤解の多いところです。所得税法196条は、保険料控除申告書について、当該給与等の支払者を経由して所轄税務署長に提出しなければならないと定めています。法律の建前としては税務署へ出す書類です。

ところが同法198条1項に、申告書が経由すべき給与等の支払者に受理されたときは、その申告書はその受理された日に税務署長に提出されたものとみなすという規定があります。会社が受け取った日に、提出は済んだことになるわけです。

実際の扱いは国税庁の手続案内に書かれています。給与の支払者は、税務署長から特に提出を求められた場合を除けば税務署へ出す必要がなく、自分のところで保管します。保存の期限を決めているのは所得税法施行規則76条の3で、税務署長が提出を求めるまでの間は支払者が保存するものとし、提出期限の属する年の翌年1月10日の翌日から7年を経過する日より後はこの限りでない、という書き方です。会社の中に、原則7年残ります。正確には、7年というのは会社に保存義務が課されている期間の上限です。税務署長から提出を求められればその前に会社の手を離れますし、7年を超えて会社が持ち続けることを禁じる規定も見当たりませんでした。

7年経過後にその紙をどう扱うのか(廃棄するのか、何か手続きがあるのか)は、施行規則には保存義務の終わりしか書かれておらず、確認できませんでした。社内で何年分がどこに保管されているかは、勤務先の総務・人事に聞けば分かります。ただし、会社に知られたくなくて調べている人にとっては、総務に聞くこと自体が気の重い行為です。その場合は、制度上どう扱われるかまでを国税庁の手続案内で確認し、社内の運用は分からないままにしておいてかまいません。ここを埋めないことであなたが不利になる場面はありません。

よくある誤解

誤解1「保険料控除申告書は税務署に行く紙だから、会社には残らない」

逆です。法律上は税務署長あての書類ですが、会社が受理した日に提出済みとみなされ(所得税法198条1項)、実際の紙は税務署から求められない限り会社が保管します(所得税法施行規則76条の3、国税庁の手続案内)。税務署に行かないからこそ、会社に残ります。

誤解2「受取人の続柄まで書かされるから、家族構成が全部わかってしまう」

令和7年分・令和8年分の様式を確認したかぎり、受取人について書くのは「保険金等の受取人の氏名」だけで、その隣に続柄の列はありません。控除の要件として本人・配偶者・親族の範囲であることが求められているので氏名を書きますが、関係性を申告書の上で説明する欄は用意されていません。ただし令和8年分からは、23歳未満の扶養親族がいて一般の生命保険料を払っている人に限り、その扶養親族について続柄を含む情報を書く☆欄が加わっています。

誤解3「iDeCoは商品名や残高まで会社に報告することになる」

申告書の「確定拠出年金法に規定する個人型年金加入者掛金」の欄は、金額を書く作りになっていて、商品名を書かせる欄はありません。会社に渡るのは1年間の掛金額と、払込証明書に印字されている内容です。

誤解4「年末調整で書かなければ会社には一切バレない」

まず、年末調整で申告しないこと自体は違反ではありません。会社に出さずに自分で確定申告して控除を受ける道があり、これは正規の手続きです。一方、どこにも申告しなければ控除は使えず、その分あなたが払う所得税は増えます。会社に知られたくないという理由で申告そのものをやめると、損をするのはあなたです。そのうえで、確定申告に切り替えれば勤務先に一切伝わらないかどうかは、この記事では確認できていません。住民税の通知など別のルートを検証していないため、伝わらないとも伝わるとも書けません。断言している情報を見かけたら、その根拠がどこまで確かめられたものかを見てください。

なお給与から天引きされている社会保険料と小規模企業共済等掛金については、所得税法196条1項2号が「給与等から控除されるものを除く」と明記していて、この申告書に書く対象から外れています。

誤解5「社内の誰が見るかは決まっている」

誰が実際に目を通すのか、どの範囲の社員が閲覧できるのかは、法令にも様式にも定めがなく、一次情報では確認できませんでした。制度として確認できるのは、会社が保管するという扱いまでです。その先は会社ごとの運用の話になります。ネット上でよく見る「担当者しか見ない」という説明は、少なくとも法令に書かれた事実ではありません。

自分で確かめる手順

人の説明より、紙そのものを見たほうが早いです。スマホで5分あれば終わります。

  1. 国税庁の令和8年分給与所得者の保険料控除申告書(PDF)を開きます。今年の年末調整で使う様式です。
  2. 左上の生命保険料控除の枠を拡大し、列の見出しを左から順に読みます。「保険等の契約者の氏名」「保険金等の受取人の氏名」の隣に続柄の列がないことを、自分の目で確認します。
  3. 右下に「小規模企業共済等掛金控除」の枠があります。区分名が4つ並び、その右は金額を書く1列だけです。iDeCoは3つめの「確定拠出年金法に規定する個人型年金加入者掛金」にあたります。
  4. iDeCoの掛金を払っている人は、国民年金基金連合会の払込証明書のよくある質問(PDF)のQ16とQ17を読みます。どの欄に何を書くか、ハガキのどこを切り取るかがそのまま書かれています。
  5. 子どもがいて一般の生命保険料を払っている人は、☆年齢23歳未満の扶養親族の欄まで進んでください。氏名・個人番号・生年月日・続柄を書くので、自分に記入が必要かどうかを先に決めておくと当日つまずきません。
  6. 手元の控除証明書を並べて、そこに印字されている内容を確認します。この書類そのものを会社に出すことになるので、書かれている情報がそのまま渡ると考えてください。
  7. 控除の要件そのものを確かめたい場合は、No.1141 生命保険料控除の対象となる保険契約等で受取人の要件を読みます。個人年金保険料だけ条件が狭い点に注意します。
  8. 提出先と保管の扱いは、A2-3 給与所得者の保険料控除の申告の「提出先・提出方法」欄と「添付書類」欄で確認できます。

ここで多いのが、控除証明書が見つからないという詰まりです。生命保険料と地震保険料の証明書は保険会社から、iDeCoの払込証明書は国民年金基金連合会から届きます。手元にない場合は、まず郵便物を探し、それでも出てこなければ発行元に再発行を頼むことになります。iDeCoの払込証明書は、国民年金基金連合会の案内(令和7年版)で、左上に「重要」と記載がある払込証明書のページ(一番右側のページ)を切り取って添付してくださいとされています。1枚の紙の一部だけを使う形なので、捨てたつもりがなくても取り違えていることがあります。

書類の再発行を頼むのが気まずいときの進め方は、源泉徴収票の再発行で電話したくないときの対処法3選!再発行してくれない場合の対処法も解説が参考になります。

年末調整で会社に何が伝わるか、項目ごとに調べました

会社に出す紙ごとに、どの欄に何を書くのか、そこから何が伝わるのかを国税庁の様式で1件ずつ確かめています。気になる項目から読んでください。

まとめ

  • 保険料控除申告書は勤務先に出す紙で、会社が受け取った日に税務署へ出したものとみなされ、そのまま会社が原則7年保管します(所得税法196条・198条1項、同施行規則76条の3)。
  • 会社に渡るのは保険会社名・保険の種類・保険期間・契約者と受取人の氏名・保険料の金額までで、受取人の続柄を書く欄は令和7年分にも令和8年分にもありません。
  • 受取人の氏名を書くのは、本人・配偶者・親族という控除の要件を満たすかを確かめるためです(個人年金保険料は本人か配偶者だけ)。
  • iDeCoは金額を書くだけで商品名も残高も欄がありませんが、払込証明書を出す以上、加入していること自体は伝わります。
  • 社内で誰が見るのか、確定申告に切り替えれば完全に伝わらないのかは一次情報で確認できなかったので、必要なら勤務先の担当部署に確認してください。

この記事の内容は、国税庁の手続案内・令和8年分および令和7年分の申告書様式PDF・記載例PDF・タックスアンサー、e-Gov法令検索の所得税法および所得税法施行規則、国民年金基金連合会のPDFと公式サイトを2026年9月3日に開いて確認しました。

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