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年末調整の紙に副業を書く欄はある?会社に金額まで伝わるのかを様式で確かめました

年末調整の紙に副業を書く欄はある?会社に金額まで伝わるのかを様式で確かめました

結論から書きます。令和8年分の年末調整の書類に、副業という名前の欄はありません。副業先の会社名を書く欄も、何をして稼いだのかを書く欄もありません。

あなたが副業に関して数字を書く場所は、この表の中だけです。「給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 給与所得者の特定親族特別控除申告書 兼 所得金額調整控除申告書」という長い名前の用紙の中にある、「あなたの本年中の合計所得金額の見積額の計算」という小さな表。そこは「⑴給与所得」と「⑵給与所得以外の所得の合計額」の2行に分かれていて、副業の所得はふつう⑵に入ります。書くのは金額だけです。この記事では、2026年9月3日に国税庁の様式PDFを開いて確かめた内容だけを書きます。

目次

書くのは合計所得金額の見積額の表。副業の多くは⑵の行です

様式の1ページ目には、「○あなたの本年中の合計所得金額の見積額の計算」という見出しの下に、所得の種類・収入金額・所得金額の3つの列があります。行は「⑴給与所得」と「⑵給与所得以外の所得の合計額」の2つ。その下に「あなたの本年中の合計所得金額の見積額(⑴と⑵の合計額)」という欄が続きます。副業をしている人は、この⑵に自分の副業の収入金額と所得金額を書き入れることになります。

⑵に入るのは、合計所得金額に含まれる所得のうち給与所得以外のものです。国税庁が案内する合計所得金額の計算方法では、合計所得金額を構成するものとして事業所得、不動産所得、給与所得、雑所得などが挙げられています。ほかにも区分はありますが、副業をしている会社員が関係するのはこのあたりです。なお、令和8年分の「合計所得金額の計算について」は、2026年9月3日時点で国税庁のページ上では準備中と表示されています。ここから給与所得を除いたものが⑵にあたると考えてください。ネットで物を売った、ライティングを請け負った、家庭教師をした、といった副業の多くは雑所得か事業所得なので、⑵の行に入ります。

ひとつ注意があります。副業がアルバイトやパートなど給与でもらう形の場合、その給与は⑵ではなく⑴給与所得に含めます。⑴の欄は「給与所得」であって「本業の給与所得」ではないので、本業と副業の給与を合わせた金額で書くことになります。⑵に入るのは、給与ではない副業、つまり雑所得や事業所得になるものです。

そして、⑴と⑵を足した金額で「判定」欄にチェックを付けます。基礎控除の額は、104万円・67万円・62万円・48万円・32万円・16万円のどれかになります。⑵に書いた数字は、あなたの基礎控除がいくらになるかを決めるためのものです。ただ、⑵に書くのは金額そのものなので、その金額は様式の上で勤務先の目に入ります。ここは正直に書いておきます。会社に伝わらないのは副業の中身と勤務先であって、金額が見えなくなるわけではありません。

ただし、この話が当てはまらない人がいます

まず、年末調整の対象になる給与の収入金額が2,000万円を超える人には、そもそも年末調整が行われません。様式の裏面にはっきりそう書かれています。この場合はこの申告書の話自体が関係なくなり、確定申告で精算することになります。

次に、合計所得金額の見積額が2,500万円を超える人は、基礎控除の適用を受けられません。副業を含めた合計で判定されるので、⑴と⑵の合計がここに届くかどうかは自分で計算しておく必要があります。

もうひとつ。この申告書は、2か所以上から給与をもらっている人の場合、主たる給与の支払者(扶養控除等申告書を出した会社)に提出します。提出の期限は、令和8年の最後に給与の支払を受ける日の前日までです。副業がアルバイトなどの給与である人は、副業先の給与が本業の年末調整に合算されて精算されるわけではなく、確定申告で精算する形になります。年末調整は、扶養控除等申告書を出した勤務先が、その年に支払う給与について源泉徴収税額との過不足を精算する手続です(所得税法第190条)。同条は、その年に前の勤務先を経由して扶養控除等申告書を出していた場合の前職分の給与は含めると定めていますが、いま同時に働いている副業先の給与や、給与以外の所得を含めるとは定めていません。だから副業分は確定申告で精算することになります。

出典:所得税法(e-Gov法令検索)。2026年9月3日に確認しました。

あなたが今どの立場にいるかで、書く欄も、その後に確定申告が要るかどうかも変わります。下の選択肢から、いちばん近いものを選んでみてください。

あなたの副業は、どの形でお金を受け取っていますか。

名前もメールアドレスも聞きません。どれが選ばれたかの件数だけ、記事を直すための集計に使います。

様式の原文で確かめた欄と、その使われ方

令和8年分の様式PDFを開いて確認した範囲を、そのまま表にしました。推測は入れていません。

欄の名前あなたが書くことその数字の使われ方
⑴給与所得勤務先からの給与の収入金額と所得金額⑵と合計して合計所得金額の見積額になります
⑵給与所得以外の所得の合計額副業などの収入金額と所得金額(金額のみ)⑴と合計して合計所得金額の見積額になります
あなたの本年中の合計所得金額の見積額⑴と⑵の合計額この金額で「判定」欄にチェックを付けます
判定・基礎控除の額該当する区分にチェックし、控除額を記入104万円・67万円・62万円・48万円・32万円・16万円のいずれかが基礎控除の額になります
副業の勤務先名・業種を書く欄存在しません

出典:令和8年分 給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 給与所得者の特定親族特別控除申告書 兼 所得金額調整控除申告書(国税庁)。同PDFの裏面「1−2 記載についてのご注意」に、合計所得金額の見積額に基づき判定欄にチェックを付け、該当する控除額を基礎控除の額の欄に記載するという説明があります。2026年9月3日に確認しました。

なお、家族について書く「扶養控除等(異動)申告書」にも「令和8年中の所得の見積額」という欄があり、これを自分の副業の欄だと勘違いする人がいます。裏面の説明を読むかぎり、この欄は源泉控除対象配偶者や源泉控除対象親族(控除の対象になる配偶者や親族のことです)について書くものです。本人の副業の勤務先や金額を書く欄は、そこには見当たりません。

出典:令和8年分 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書(国税庁)。同PDFの裏面に、この欄には収入金額等から必要経費等を差し引いた金額を記載する旨の説明があります。2026年9月3日に確認しました。

年末調整とは別に、確定申告が要るかどうかの線があります

年末調整の欄をどう書くかと、確定申告をしなければならないかどうかは、別々の話です。国税庁のタックスアンサーNo.1900に、給与所得者で確定申告が必要な人の条件が並んでいます。副業をしている会社員に関係するのは次の2つです。

あなたの状況確定申告が必要になる条件
給与を1か所から受けていて、その全部が源泉徴収の対象各種の所得金額(給与所得、退職所得を除く)の合計額が20万円を超えるとき
給与を2か所以上から受けていて、給与の全部が源泉徴収の対象年末調整されなかった給与の収入金額と、各種の所得金額(給与所得、退職所得を除く)との合計額が20万円を超えるとき

出典:No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人(国税庁)所得税法(e-Gov法令検索)。同ページは令和7年4月1日現在の法令等によるものです。2026年9月3日に確認しました。なお、この20万円と150万円の線は、2026年9月3日にe-Gov法令検索で所得税法第121条第1項を開いて確認したところ、同じ数字のまま残っていました。

この20万円には、見落とすと話が変わる条件が2つ付いています。1つは、同ページの冒頭に「確定申告をすれば税金が還付される人は除きます」とあること。もう1つは、2か所以上から給与を受けている人向けの注記で、給与の収入金額の合計額から、雑損控除・医療費控除・寄附金控除・基礎控除を除いた各種の所得控除を差し引いた金額が150万円以下で、かつ各種の所得金額の合計額が20万円以下なら申告は不要とされていることです。20万円という数字だけを覚えて帰らないでください。

ネットオークションやフリマアプリ、家庭教師、民泊などの副収入も、一般的には雑所得として扱われます。ただし、着なくなった服や家財のように生活の用に供している資産を売って得た所得は非課税で、この所得については確定申告が不要とされています。不用品を売っただけの人と、仕入れて売っている人では扱いが違います。

出典:No.1906 給与所得者がネットオークション等により副収入を得た場合(国税庁)。2026年9月3日に確認しました。

フリマアプリの売上がどこまで課税されるかは、メルカリの売上は税務署にバレる?課税されない範囲と、国税局が照会できる条件で条文にあたって整理しています。

確定申告そのものの進め方は、副業収入に確定申告は必要?申告漏れを防ぐ方法とおすすめツールの紹介にまとめています。

住民税の「自分で納付」は、年末調整では選べません

もうひとつ、順番として先に書いておきます。ここまでの20万円の話は、所得税の話です。住民税には及びません。所得税の確定申告が不要な場合でも、住民税の申告が別に必要になることがあり、その扱いや必要書類は市区町村ごとに案内が違います。この記事では、あなたの市区町村の条件までは確認できていないので書きません。お住まいの市区町村のサイトで「住民税 申告」を開いて、自分の場合を確認してください。

副業と会社の話になると、必ず住民税の徴収方法の話が出てきます。ここは年末調整とはっきり切り分けてください。住民税の徴収方法を選ぶのは確定申告書であって、年末調整の申告書ではありません。

国税庁の確定申告書等作成コーナーの説明(令和7年分申告向け)によると、給与・公的年金等に係る所得以外の所得に対する住民税は、給与から天引きする特別徴収か、自分で窓口等に納付するかを選べます。一方で、給与に係る所得の住民税は原則として特別徴収で、徴収方法を選べません。選択の対象になるのは、副業の所得にかかる分だけです。

法律の側を見ると、地方税法第321条の3第2項に、市町村は給与所得以外の所得に係る所得割額を給与天引き分に加算して特別徴収することが「できる」と定めたうえで、ただし書きで、申告書に給与所得以外の所得に係る所得割額を普通徴収の方法によって徴収されたい旨の記載があるときはこの限りでない、としています。申告書に希望を書けば給与天引きに上乗せしない仕組みが、法律の上に用意されているわけです。そして、確定申告書を出すと、その日に市町村民税の申告書も出したものとみなされます(同法第317条の3)。だから住民税の希望は確定申告書に書くことになります。

出典:住民税の徴収方法の選択(確定申告書等作成コーナー・令和7年分申告)地方税法(e-Gov法令検索)。2026年9月3日に確認しました。令和8年分の同ページは未確認です。

ここから先を、この記事は断定しません。上乗せして徴収するかどうかは、市町村が条例で決められる仕組みです。自治体ごとに実際どう運用されているかは、今回の確認範囲の外にあります。「自分で納付を選べば会社に気づかれない」という因果を裏づける一次情報も、探した範囲では出てきませんでした。書けるのは、選べる仕組みが法律にあるところまでです。

それから、これは税とは別の話です。副業を会社にどう伝えるか、就業規則でどう決まっているかは、年末調整の書き方では解決しません。届出や許可の定めがあるなら、そちらはそちらで自分の会社の規程を確認してください。この記事が答えられるのは、申告書のどの欄に何を書くかまでです。

住民税がどう会社へ届くのかという経路の話は、扶養はどうやってバレる?給与支払報告書の仕組みと、税と健康保険で違う線で扱っています。

よくある誤解を3つ、なぜ間違いかまで書きます

誤解1「年末調整の紙に副業欄があるから、そこで全部バレる」

様式に副業という欄はありません。あるのは⑵給与所得以外の所得の合計額という行で、そこに入るのは金額だけです。副業の種類も、副業先の名前も、書く場所がそもそも用意されていません。この誤解は、扶養控除等申告書にある家族の「所得の見積額」欄と混同しているケースが多いように見えます。

誤解2「⑵に書かなければ年末調整は無事に終わる」

これは間違いです。⑵は基礎控除の額を判定するための欄で、⑴と⑵の合計額に応じて控除額が変わります。空欄にすれば控除額の判定そのものが実際と違う数字で行われることになり、あなたが申告した内容が事実と食い違います。この申告書は勤務先に提出する法定の申告書類で、国税庁の手続案内によれば、本来は給与の支払者を経由して税務署長へ提出することになっているものの、税務署長から特に提出を求められた場合以外は税務署へ提出する必要がなく、給与の支払者が保管しておくことになっています。ふだんは会社の手元にありますが、税務署長が求めれば出ていく書類です。書かないという選択を、この記事はすすめません。

出典:A2-4 給与所得者の基礎控除、配偶者(特別)控除、特定親族特別控除及び所得金額調整控除の申告(国税庁)。2026年9月3日に確認しました。

誤解3「今年の用紙は去年と同じはず」

令和8年分は違います。国税庁は、令和8年度税制改正による所得税の基礎控除の引上げ等について、原則として令和8年12月1日に施行され、令和8年12月に行う年末調整など令和8年12月以後の源泉徴収事務に変更が生じると案内しています。令和8年11月までの源泉徴収事務に変更はありません。この改正に伴って、基礎控除申告書の様式も変わりました。令和7年分の様式で選ぶ基礎控除の額は95万円・88万円・68万円・63万円・58万円・48万円・32万円・16万円の8区分でしたが、令和8年分は104万円・67万円・62万円・48万円・32万円・16万円の6区分です。去年の記憶や、去年書いた紙のコピーを頼りにしないでください。

ひとつ補足します。令和8年分のこの様式は、令和8年12月1日以後に行う年末調整で使うものです。年の途中で退職した場合など、令和8年11月30日以前に年末調整を行うときは、令和7年分の様式を補正して使うことになっている、と国税庁が案内しています。会社から渡された紙が令和7年分の様式だった場合は、この事情に当たることがあります。

出典:令和8年度税制改正による所得税の基礎控除の引上げ等について(国税庁)令和7年分の同申告書(国税庁)A2-4(国税庁)。2026年9月3日に確認しました。

自分で確かめる手順(今日15分でできます)

  1. 国税庁の様式PDF(2026bun_06.pdf)をスマホで開きます。12月に年末調整を受ける人は、会社から渡された紙と同じものです。
  2. 1ページ目の中ほどにある「あなたの本年中の合計所得金額の見積額の計算」という表を探します。ここに⑴と⑵の2行があること、副業という語がどこにも印刷されていないことを、自分の目で確認します。
  3. 2ページ目(裏面)の「1−2 記載についてのご注意」を読みます。⑴と⑵の合計額で判定欄にチェックを付け、該当する控除額を基礎控除の額の欄に書く、という手順がそこに書かれています。
  4. 自分の副業の所得を電卓で出します。収入から必要経費を引いた金額です。これが20万円を超えるかどうかで、確定申告が必要かどうかの入口が変わります(上に書いた2つの条件も併せて確認してください)。
  5. 手順4で出した金額を、給与ではない副業なら⑵の所得金額の欄に、収入金額を収入金額の欄に書きます。副業がアルバイトなどの給与なら、その分は⑴給与所得に本業と合わせて書きます。どちらの場合も副業先の名前を書く欄はないので、探さなくて大丈夫です。
  6. 提出期限を確認します。令和8年の最後に給与の支払を受ける日の前日までに、勤務先へ提出します。2か所以上から給与をもらっている人は、扶養控除等申告書を出した会社が提出先です。

手順4で20万円を超えることが分かった人は、年が明けたら自分で確定申告をすることになります。副業の取引が数件なら、通帳と明細を見ながら表計算ソフトで集計すれば足ります。取引が毎月あって、振込先も決済手段も分かれている場合は、銀行やカードの明細を取り込んで仕訳できる会計ソフト(マネーフォワード クラウド確定申告など)を使う手もあります。料金や無料で使える範囲は各社のページで変わるので、申し込む前に自分で確認してください。

年末調整で会社に何が伝わるか、項目ごとに調べました

会社に出す紙ごとに、どの欄に何を書くのか、そこから何が伝わるのかを国税庁の様式で1件ずつ確かめています。気になる項目から読んでください。

まとめ

ここまでの内容は、すべて2026年9月3日に国税庁とe-Gov法令検索の一次資料を開いて確認しました。要点だけ並べます。

  • 令和8年分の年末調整の申告書に、副業という名前の欄も、副業先を書く欄もありません
  • 書くのは「あなたの本年中の合計所得金額の見積額の計算」の⑵給与所得以外の所得の合計額で、記入するのは金額です
  • ⑵の金額は⑴と合計され、104万円から16万円までのいずれかの基礎控除の額を判定するために使われます。金額そのものは様式の上で勤務先の目に入ります
  • 給与の収入金額が2,000万円を超える人には年末調整が行われません。合計所得金額の見積額が2,500万円を超える人は基礎控除を受けられません
  • 確定申告が必要かどうかは年末調整とは別の判断です。20万円という線には、還付を受ける人の除外や150万円以下の場合の注記といった条件が付いています
  • 住民税の徴収方法を選ぶのは確定申告書で、年末調整の申告書ではありません。普通徴収(自分で納める方法)を希望できる仕組みは地方税法にありますが、それで会社が気づかないという結論までは一次情報で確認できていません
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