バークシャー・ハサウェイは1888年に創業されたハサウェイ製造会社が起源の投資会社です。
ハサウェイ製造会社は綿紡績業を営んでおり、1900年の半ばまで成長を続けましたが、7箇所もの工場の閉鎖や大量解雇をしなければならない状況に追い込まれ、衰退します。
1962年に現CEOであるウォーレン・バフェット氏がバークシャー・ハサウェイの株を購入し、筆頭株主になりました。
当初は綿紡績業を維持していたものの1985年に撤退し、投資事業に注力し始めます。
バークシャーは投資事業だけでなく、さまざまな企業を買収し、幅広い業種の子会社を傘下に収めているのが特徴です。
(引用:株探米国)
バークシャーの株価は右肩上がりに推移しており、長期的にも成長し続けています。
(引用:Yahoo!ファイナンス)
バークシャー・ハサウェイは今後も成長を続けるのでしょうか?
この記事では、バークシャー・ハサウェイの将来性について解説します。
バークシャー・ハサウェイの強み
バークシャーの強みは以下の2つです。
- 保険事業を足場とした多角的経営
- バフェット氏が厳選した銘柄からの利益
保険事業を足場とした多角的経営
当初のメイン事業である綿紡績業を撤退した後、バークシャーは保険事業に進出しました。
保険事業は順調に伸びていき、バークシャーの中核的事業にまで成長します。
バークシャーは保険事業だけでなく、さまざまな事業を買収していくことでさらに巨大化。
- エネルギー事業
- 鉄道業
- 製造業
- 食品卸売業
- サービス業
- 小売業
- 公益事業
手広く事業を広げていき、各分野で安定した収益を上げています。
順調に事業を成長させていく中で、中核事業である保険分野で再保険業を手がけるほどです。
再保険業とは、保険会社が倒産した場合に保険契約者を守るためのビジネスで、平たく言えば保険会社の保険になります。
保険業は多くの人からお金を集め、災害や事故にあった保険加入者に対して手厚い保証を行うものです。
その保険会社が倒産した場合に契約者を守る再保険業を行うには莫大な資本が必要になります。
バークシャーは事業を成長させていく中で莫大な資本を手にし、再保険業のみならず再々保険業にまで進出しました。
再々保険業は、再保険業を行う保険会社の保険です。
ここまでの規模を有する保険会社は珍しく、バークシャーの保険業は業界内でも一線を画す存在になりました。
バークシャーは事業展開をするうえで、保険業という圧倒的な基盤を持つことで、積極的に買収や多角的経営を行うことができるのです。
(参考:朝日ライフアセットマネジメント BERKSHIRE HATHAWAY INC(バークシャー・ハサウェイ)(ハリス世界株の組入銘柄))
バフェット氏が厳選した銘柄からの利益
2つ目の強みは、バフェット氏が厳選した銘柄からの投資収益です。
バフェット氏は「投資の神様」の異名を持つ人物で、彼が選ぶ銘柄は「バフェット銘柄」と呼ばれ、株式市場で注目を集めています。
バフェット氏の投資リターンは平均して約20%。
一般的に投資の平均リターン(期待値)は5%前後といわれる中、圧倒的な成績です。
投資家の中では有名なアメリカ企業の指数に「S&P500」があります。
バフェット氏も自身の死後はS&P500に遺産のほとんどを投資するよう勧めているほど、運用成績が良く、S&P500への投資が1つの最適解といわれるほどです。
そのS&P500と比べても、バークシャーの運用成績は上回っています。
(引用:マネックス証券|伝説の投資家ウォーレン・バフェットを、知る)
多くの期間でバークシャーの運用成績が上回っていることがわかるでしょう。
バフェット氏は長年にわたる投資家としての経験で「理解できない銘柄には投資をしない」「市場が下落傾向の時に買い増しする」などの鉄則を生み出してきました。
その鉄則に基づき、銘柄をリバランスしていくことで収益を上げています。
(引用:Yahoo!ファイナンス)
2022年度は株式相場の低迷により赤字となっています。
アメリカの会計基準では、保有する上場株式の評価損益を最終益に反映させるため、上場株を多く保有するバークシャーは、相場の影響を受けやすいのです。
(参考:日本経済新聞|バフェット氏の米バークシャー、最終赤字5兆円 4~6月)
しかし、翌年には黒字転換しているためバフェット銘柄の堅調さが伺えるでしょう。
保険業の強固な土台に基づく多角的経営とバフェット銘柄による安定した収益がバークシャーの強みです。
バークシャー・ハサウェイの将来性
バークシャー・ハサウェイはこれからも株価を伸ばし続けると考えています。
理由はバフェット氏の堅調な銘柄選定です。
バフェット氏はトレンドに集中投資をするような真似はせず、自身で価値があると判断した銘柄に分散して投資をするスタイルを固持しています。
そのため、スタートアップ企業だった当時のGAFAへの投資は見送る決断をしたことで有名です。
得体の知れないものに投資をするリスクを背負わず、堅実に事業を伸ばしているため、バークシャーは「1兆ドル・クラブ」に名を連ねる手前まで来ています。
1兆ドル・クラブとは、アメリカ株式市場を席巻しているIT企業のことで、現在はGAFAMとNVIDIAの6社です。
トレンドを味方につけ、急激な成長を遂げたIT企業と違い、緩やかに着実に成長を続けるバークシャーは今後も成長を続けると予測できます。
(参考:会社四季報|1兆ドル・クラブに新顔加入か?バークシャーとリリーが接近)
バークシャーの懸念点
安定して成長し続けているバークシャーにも懸念点があります。
それは、バフェット氏の引退です。
バフェット氏は現在、93歳。
いつ引退してもおかしくありません。
バークシャーの強みの1つにバフェット銘柄を挙げましたが、バフェット銘柄を選び続けられる後継者が育っているのか、不安があります。
また、近年ではバフェット氏の投資に疑問符が付く場面がありました。
ヌーバンクへの投資です。
バフェット氏は仮想通貨への投資に対して否定的でした。
ビットコインに対し「殺鼠剤を2乗したようなもの」や「世界中のビットコインを25ドルで売るといわれても受け取らないだろう」「ビットコインが何も生み出さない」といった発言をしたことで有名です。
ヌーバンクへの投資を実行した背景にはバフェット氏の長年のパートナーだった副会長が亡くなったことが原因との憶測もとんでいます。
今までの投資スタイルを崩したとも取れる仮想通貨関連株への投資は、バークシャーの更なる成長を引き起こすのか、もしくは衰退を招くのか、懸念点の1つとなるでしょう。
関連記事:ヌーバンクの将来性|南米発祥のデジタルバンクの今後を解説【米国株】
(参考:Forbes|ビットコイン否定のウォーレン・バフェット、暗号資産の関連株で巨額の儲け)
(参考:COIN POST|バフェット氏率いるバークシャー・ハサウェイ、保有する仮想通貨関連株の利益が注目される理由)
まとめ:バークシャーは今後も安定的成長を続けるも・・・
バークシャーは今後も安定的に成長するでしょう。
理由は「堅調な保険業を土台とする多角的経営」と「バフェット銘柄からくる安定的な投資収益」があるからです。
さらに、バークシャーは多額の現金を保有しており、次の買い場が来た時に備えています。
(参考:トウシル|バフェットのバークシャー・ハサウェイが史上最高値を更新!)
このようなリスクを避けた安定した経営手法があるため、今後も成長を続けると確信できます。
懸念点は現CEOのバフェット氏が93歳と高齢で、引退後の指揮者に不安があることです。
投資の神様とまでうたわれたバフェット氏の後を継ぎ、投資で最適解を出し続けられる人物がいるのか不安が残ります。
また、バフェット氏自身が「目を見張るような成長は終わった」と株主への書簡で明言しています。
今後は平均的な米国企業を若干上回る程度といったことから、IT企業のような急成長はないだろうとも予測します。
(参考:REUTERS|バフェット氏「目を見張る」業績終わった、長期的に株主貢献へ)
バークシャー・ハサウェイへ投資をする際の参考にしてください。