育児時短就業給付金は、2歳未満の子を育てるために勤務時間を短くして働く方へ、各月の賃金の10%が支給される制度です。2025年4月1日に創設されました。時短勤務で収入が減った分の一部を補う仕組みで、育児休業給付とは別の給付になります。短縮する時間の長さに決まりがない点など、意外と知られていない条件があります。厚生労働省のパンフレットをもとに、対象になる条件と金額の考え方を整理します。
育児時短就業給付金とは
2025年4月に創設された新しい給付
厚生労働省のパンフレットでは、雇用保険の被保険者が2歳未満の子を養育するために所定労働時間を短縮して就業した場合に、賃金が低下するなど一定の要件を満たすと支給される給付として説明されています。出生後休業支援給付金と同じく、2025年4月1日に創設されました。
各月の賃金の10%が支給される
支給額は、育児時短就業中の各月に支払われた賃金額の10%です。育休中の給付のように休業前の賃金を基準にするのではなく、時短で働いて実際に受け取った賃金に対して計算されます。
たとえば時短勤務中の月給が20万円であれば、支給額は2万円です。働いた分の賃金に上乗せされる形になります。
時短前の賃金を超えないよう調整される
ただし上限があります。支給額と各月に支払われた賃金額の合計が、育児時短就業開始時の賃金額を超えないように、支給率が調整されます。
時短の幅が小さく、賃金があまり下がっていない場合は、10%満額ではなく調整された率になります。時短で働いたほうが手取りが増えるという逆転が起きない設計です。
受け取れる人の条件
2歳未満の子を養育し、所定労働時間を短縮している
まず受給資格として、2歳未満の子を養育するために、1週間当たりの所定労働時間を短縮して就業する被保険者であることが必要です。ここでいう被保険者は、雇用保険の一般被保険者と高年齢被保険者を指します。
育休から続けて時短に入るか、被保険者期間が12か月あるか
もう1つの受給資格として、次のどちらかを満たす必要があります。
- 育児休業給付の対象となる育児休業から引き続き、同一の子について育児時短就業を開始したこと
- 育児時短就業開始日前2年間に、賃金支払基礎日数が11日以上ある完全月が12か月あること(11日以上の月がない場合は、賃金の支払いの基礎となった時間数が80時間以上ある月)
育休を経ずに時短勤務へ入る場合でも、被保険者期間の条件を満たせば対象になります。
育休終了から14日以内なら引き続きと扱われる
実務で迷いやすいのが、育休から時短への切り替えのタイミングです。厚生労働省は、育児休業期間の末日の翌日である復職日から、育児時短就業を開始した日の前日までの期間が14日以内であれば、引き続き開始したものとして取り扱うと説明しています。
復職日と時短開始日がぴったり同じ日でなくても問題ありません。この扱いに該当する場合は、賃金証明書の提出も不要になります。
月ごとに満たす必要がある4つの条件
受給資格を満たしたうえで、支給は月単位で判定されます。次の4つをすべて満たす月が対象です。
- 初日から末日まで続けて、被保険者である月
- 1週間当たりの所定労働時間を短縮して就業した期間がある月
- 初日から末日まで続けて、育児休業給付または介護休業給付を受給していない月
- 高年齢雇用継続給付の受給対象となっていない月
月の途中で退職した場合や、育児休業給付を受けている月は対象外になります。育休と時短の給付は同じ月に重ねて受け取れません。
時短の程度に決まりはない
短縮後の所定労働時間に上限・下限はない
見落とされやすいのがここです。厚生労働省は、短縮後の1週間当たりの所定労働時間に上限も下限もないと明記しています。
育児・介護休業法に基づく所定労働時間の短縮措置は1日の所定労働時間を原則6時間とするものですが、この給付はそれに限りません。2歳に満たない子を養育するために1週間当たりの所定労働時間を短縮していれば、育児時短就業として扱われます。
1日30分だけ短くする働き方でも対象になり得ます。フルタイムに戻せないほど大きく時間を減らさないと使えない制度、ではありません。
週の所定労働日数を減らす形でもよい
1日の時間を短くする方法だけが対象ではありません。1週間当たりの所定労働日数を変更した結果、1週間当たりの所定労働時間が短縮される場合も含まれます。
週5日を週4日にするといった形でも、週の所定労働時間が減っていれば対象です。働き方の相談をする際の選択肢が広がります。
手続きと相談先
ハローワークで手続きする
支給を受けるには所定の手続きが必要です。窓口は、事業所を管轄する公共職業安定所、つまりハローワークになります。
実際の申請は勤務先を通じて行うのが一般的です。時短勤務の相談をする段階で、この給付を使う予定であることを勤務先の担当部署へ伝えておくと手続きが滞りません。
ほかの育児関係の給付との関係
育児休業等給付には、出生時育児休業給付金、育児休業給付金、出生後休業支援給付金、育児時短就業給付金があります。時期と働き方によって使う制度が変わります。
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まとめ:賃金の10%、2歳未満の子が対象
育児時短就業給付金は、2歳未満の子を養育するために所定労働時間を短縮して働く雇用保険の被保険者に対し、各月の賃金の10%が支給される制度です。支給額と賃金の合計が時短開始時の賃金を超えないよう、支給率は調整されます。
押さえておきたいのは、短縮後の所定労働時間に上限も下限もないという点です。大幅に時間を減らさなければ使えない制度ではなく、週の所定労働日数を減らす形でも対象になります。
まず子が2歳未満かどうか、次に育休から14日以内に時短を始めたか、あるいは被保険者期間の条件を満たしているか。この順で見ていけば対象かどうかを判断できます。当てはまりそうなら、勤務先へ早めに相談してください。申請先はハローワークですが、実務は勤務先を通して進みます。
