グローブ・ライフはアメリカの保険事業を展開する持株会社です。
起源は古く、1900年に設立された友愛利益団体が生命保険会社を買収したことが始まりで、数々の買収とスピンオフ、売却を経て2019年に現在のグローブ・ライフに社名変更となりました。
(引用:株探米国)
上場後、変動はあれど右肩上がりで推移してきましたが、2024年4月に50%以上もの株価の下落を見せました。
(引用:Yahoo!ファイナンス)
グローブ・ライフは危険な銘柄なのでしょうか?
この記事では、グローブ・ライフの事業内容や株価下落理由、将来性について解説します。
グローブ・ライフの概要
グローブ・ライフは、米国の中低所得者世帯をメイン顧客にしている保険会社です。
1979年に法人化され、1980年にニューヨーク証券取引所へ上場を果たします。
設立は1900年と古く、その後買収や売却を重ね、1979年に法人化を果たします。
1980年にリバティナショナル、グローブライフを買収し、旧社名であるトーチマークを設立。
その後も買収や分離、統廃合を重ね、徐々に資本を拡大している企業です。
取り扱う商品は「メディケア補助保険」「補足医療保険」「重大疾病・傷害保険」「一時払およびフレキシブル払繰延年金」など多岐にわたります。
グローブ・ライフのメイン事業は次の4つです。
- 生命保険
- 医療保険
- 年金
- 投資
中でも生命保険の売上が半分以上を占めており、事業の中核をなしています。
事業は順調に拡大しており、2019年には配当金も出しました。
当初は配当率0.65%とかなり低い水準でしたが、現在は1.19%と徐々にですが増配しています。
バフェット銘柄にも選定されているため、事業の健全性はかなりのものでしょう。
グローブ・ライフの面白い特徴としては、メジャーリーグの球場を持っていることです。
2020年にオープンした球場の命名権を購入、2048年まで命名権を保有しています。
テキサスレンジャーズのホームグラウンドで、打者有利とのこと。
命名権を持つ企業は日本にもたくさんあります。
- セキスイハイムスーパーアリーナ
- 京セラドーム大阪
- エディオンアリーナ大阪
- くら寿司スタジアム堺
- みずほPayPayドーム福岡
一例ですが、どれも大企業ばかりです。
グローブ・ライフも命名権を持つほどの財力がある証といえます。
順調そうに見えるグローブ・ライフですが、2024年4月11日に株価を急落させました。
上場以来、最大の下落率を記録するほどの大暴落です。
一体何が起きたのでしょうか?
グローブ・ライフの株価下落理由
株価下落の理由は、空売り投資家のリポートが影響したといわれています。
リポートの内容は、グローブ・ライフの保険詐欺についてです。
- 亡くなった人や存在しない人を対象に契約を結ぶ
- 署名の偽造
- ノルマ達成のための架空契約の作成
さらに、グローブ・ライフの幹部が多額の不正な保険料を支払った見返りにキックバックを貰っていると主張しています。
これらの批判的なリポートの発表に市場が反応、一時は上場来最安値をつけるほどのダメージを受けました。
しかし、グローブ・ライフはこれに反論。
リポートは株価を押し下げるための扇動だとし、法的手段を検討すると真っ向から否定しました。
実際、グローブ・ライフの株価はその後、上昇しています。
(引用:Yahoo!ファイナンス)
株価の暴落は一時的なものとみて問題ないでしょう。
(参考:Yahoo!ファイナンス|米生保株グローブ・ライフ株、53%急落ー空売り投資家のリポート響く)
(参考:moomoo|グローブ・ライフ(GL)は、不正行為の申し立てによる株価下落後、プレマーケットでやや回復しました。)
グローブ・ライフの将来性
グローブ・ライフの将来性はあると思います。
理由は次のとおりです。
- 2023年第3四半期までバフェット銘柄だった
- 業績が安定している
グローブ・ライフは2023年の第3四半期までバフェット銘柄の構成株でした。
バフェット銘柄とは「投資の神様」といわれるウォーレン・バフェット氏率いるバークシャー・ハサウェイが保有している株式銘柄のことです。
関連記事:バークシャー・ハサウェイの将来性 投資の神様が率いる企業の今後を解説【米国株】
関連記事:バークシャー・ハサウェイの保有銘柄から学ぶ、投資の神様の投資鉄則
通常、株式のリターンの期待値は年間5%ほどと言われています。
そんな中、ウォーレン・バフェットは年間リターン20%以上を記録する凄腕投資家です。
バフェット氏が選ぶ銘柄は株式市場において注目されており、投資の判断基準にされています。
バフェット氏が株式を購入する際は、自身のルールにのっとり銘柄を選定しており、安全性と成長性を重視しています。
グローブ・ライフは長きにわたってバフェット銘柄のポートフォリオの一部を担っていたため、期待が持てます。
2023年の第4四半期にはポートフォリオの見直しから、バフェット銘柄から外れましたが、ポテンシャルは十分にあるでしょう。
(参考:Berkshire Hathaway Inc|Q3 2023 vs. Q4 2023 13F Holdings)
(参考:MONEY INSIDER|バフェットのバークシャー・ハサウェイ、第4四半期の動き)
業績が安定している
グローブ・ライフの特徴のひとつが業績が安定している点です。
(引用:株探米国)
売上高や最終益、修正一株益が毎年右肩上がりと好調を維持しています。
また、営業益や経常益も増減はあれど、黒字をキープしています。
1株あたりの配当も、コロナ禍の2020年度を除くと右肩上がりです。
業績を見るとこれ以上ない安全性を有しています。
財務状況もおおむね良好です。
(引用:株探米国)
フリーCF(企業が自由に使えるお金)と営業CFは上昇傾向で、本業の利益が順調であることを意味します。
投資CFのマイナスは、現在グローブ・ライフが手がける投資からの収益より、投資額の方が多いことを意味します。
今は事業が大きくなるための準備期間といえるでしょう。
財務CFのマイナスは、借入や借入金返済、配当の支払いのために生じていると考えられます。
営業CFがプラス、投資CFと財務CFがマイナスの状態は、本業が好調で資金が生み出せている状況を表します。
生み出した資金を投資や配当金に回しているため、堅実経営の優良企業といえるでしょう。
懸念点は財務状況です。
(引用:株探米国)
自己資本比率、自己資本とも減少しています。
特に自己資本比率の低さには注意が必要です。
自己資本比率は企業の安全性を図る指標のひとつで、自己資本比率が高いほど倒産の可能性が低くなります。
安全に長期投資をするならば40%以上は欲しいところですが、16%だと不安です。
しかし、好調な業績やCFを見る限り、グローブ・ライフの将来性はあるといえるでしょう。
まとめ:株価が急落した今が買い時!しかし、不安もある!
グローブ・ライフはアメリカの保険会社で、最近までバフェット銘柄のポートフォリオの一部でした。
業績を見る限り、本業が好調で毎年右肩上がりです。
株価も変動はありますが右肩上がりを続けていました。
しかし、2024年4月にグローブ・ライフが不正を行っている旨のレポートが表に出たため、株価が急落。上場以来最大の下げ幅を記録しました。
レポートに対し、グローブ・ライフは法的処置を考慮しているとのことで、レポートはグローブ・ライフの株価下落を扇動するものとして市場が認識、株価は回復傾向にあります。
「バフェット銘柄の一部だった」ことと「業績が好調」なことがグローブ・ライフの将来性があると判断する理由です。
しかし、2023年第4四半期でバフェット銘柄から外れたことや自己資本比率が低いことが懸念点と言えます。
株価が下がっている今、買い時と言えますが、安心して保有し続けるには不安が残るといえるでしょう。
グローブ・ライフの株を購入するときの参考にしてください。