賃貸物件を退去する際には、部屋を原状回復するための退去費用を支払うのが一般的ですが
「退去費用が思っていたより高額で払えない!そもそも払わないといけないの?踏み倒したいんだけど」
「室内でペットを飼っていたし、煙草も吸っていたけど、清掃も全然しなかったから退去費用が高くなったのは納得できた。でも高くて払えない。何とかして退去費用を捻出する方法はない?」
そんな悩みを抱えていませんか?
結論をいいますと、退去費用の支払いは入居者の義務です。
請求された退去費用が適正である場合、入居者は支払う義務があります。
支払いを放置すると最悪、裁判を起こされる可能性があるでしょう。
この記事では、退去費用について
- 退去費用が払えないとどうなる?相場や降格になる原因など
- 退去費用が高額だと感じた時に取る4つの行動
- 退去費用が払えないときの対処法5選
- 退去費用を抑える4つの方法
を解説します。
この記事を読むことで、退去費用に関するトラブルの対処法が分かります。
ぜひ最後までお読みください。
退去費用が払えないとどうなる?相場や高額になる原因など
請求された退去費用が適正であった場合、支払いを放置すると最悪、裁判を起こされる可能性があるでしょう。
ここでは、退去費用に関する解説に加えて、以下の3項目について紹介します。
- 退去費用の相場
- 退去費用が高額になる原因
- 退去費用の支払いを放置した場合
1つずつ解説していきます。
退去費用とは
退去費用は、修繕やクリーニングなど、退去した部屋を借りた時と同じ状態に戻す原状回復のための費用です。
入居者には、賃貸退去時に原状回復の義務(民法621条)が課せられます。
請求された退去費用が適正であった場合、入居者は支払う義務を負います。
なお年月の経過に伴う劣化(経年劣化)や通常の使用に伴う損耗については、原則、入居者に支払いの義務はありません。
退去費用の相場
賃貸を契約した際に敷金を支払った場合、退去費用は基本的に敷金から支払われます。
退去費用が敷金以内に収まれば、残った金額が返金されます。
退去費用の間取り別の具体的な相場は、以下のとおりです。
- 1K~1LDK:約5万円
- 2K~2LDK:約8万円
- 3DK~4LDK:約9万円
(出典:CHINTAI情報局|賃貸の退去費用の相場はいくら?高額請求をされたときの対処法とは?)
そのほかの退去費用は、住んでいた年数が長いほど高額になる傾向があります。
退去費用が高額になる原因
退去費用が高額になる場合として、以下の原因が考えられるでしょう。
- ペットを飼っていた(床や壁の傷や臭い)
- 煙草を吸っていた(壁紙の黄ばみや臭い)
- 清掃していない(善管注意義務違反(民法第400条))
- 目立つ損傷がある
- 敷金0円の部屋だった など
そのほか筆者の経験ですがほぼ毎日、室内でお香を焚いていたことで、退去時に壁紙の黄ばみや臭いを指摘されたこともあります。
筆者は男性ですが、トイレの壁紙の黄ばみを指摘されて以来、用を足すときは常に座ってしています。
その結果、以降に入居した賃貸で、トイレの壁紙の黄ばみが指摘されたことはありません。
筆者の経験も交えて紹介しましたが、思い当たる点があれば、退去費用が高額になる可能性があることをあらかじめ知っておく必要があるでしょう。
退去費用の支払いを放置した場合
退去費用の支払いを放置し続けると最悪の場合、裁判を起こされる可能性が高くなります。
具体的には、以下の流れで裁判に発展することになるでしょう。
- 管理会社から入居者へ、支払いの催促の連絡が来る
- 入居者が支払いを放置すると、連帯保証人に連絡がいく
- 連帯保証人も支払いを放置すると、裁判を起こされる
上記の流れの中で、最も重要なのは「1.管理会社から入居者へ、支払いの催促の連絡が来る」への対応です。
請求された退去費用が高額で支払えない金額であったとしても、無視してはいけません。
無視した結果、裁判を起こされてから「退去費用が高額で支払えなかった」と主張しても、受け入れてもらえないでしょう。
退去費用が高額で払えないと感じた時に取る行動については、次の項目で紹介します。
退去費用が高額だと感じた時に取る4つの行動
請求された退去費用のなかには、入居者が負担する必要のないものが含まれている可能性があります。
ここで紹介する以下の4つは、請求された退去費用が高額だと感じたときに取る行動です。
- 賃貸契約書や国土交通省ガイドラインを確認する
- 管理会社や大家に交渉する
- 専門窓口に相談する
- 弁護士に相談する
1つずつ解説していきます。
①:賃貸契約書や国土交通省ガイドラインを確認する
国土交通省では「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を公開しており、原状回復義務の考え方や実際にあったトラブルの事例などを紹介しています。
退去費用の請求書を受け取ったら、内容を確認せずにサインすることはおすすめできません。
支払う必要のない項目まで、請求されている可能性があるためです。
まずは賃貸契約書とガイドラインを参考に、請求書の内容を照らし合わせて確認しましょう。
②:管理会社や大家に交渉する
賃貸契約書や国土交通省ガイドラインを参考に退去費用の請求書の内容を確認した結果、明らかに支払う必要のない項目が見つかった場合、管理会社や大家と交渉します。
請求額が高額であるとただ単に不満を伝えるだけでなく、国土交通省ガイドラインを根拠に交渉しましょう。
③:専門窓口に相談する
管理会社や大家が交渉に応じないようであれば、専門窓口への相談を検討しましょう。
以下は、相談できる専門窓口となります。
電話番号・受付時間 | |
国民生活センター | 電話番号:03-3446-1623 受付時間:平日10時~12時、13時~16時 |
消費者ホットライン | 電話番号:188 受付時間:平日9時~17時、土日祝日10時~16時 |
日本消費者協会 | 電話番号:03-5282-5319 受付時間:火曜~金曜10時~12時、13時~16時 |
日本賃貸住宅管理協会 | 電話番号:03-6265-1556 受付時間:平日10時~17時 |
全国賃貸住宅経営者協会連合会 | 電話番号:0120-37-5584 受付時間:月曜、水曜、金曜10時~17時 |
相談は基本、無料です。
不当な請求をしているにも関わらず、管理会社や大家が交渉に応じないと悩んでいる場合、専門窓口に相談しアドバイスをもらいましょう。
④:弁護士に相談する
専門窓口に相談してもアドバイスがもらえなかったり、解決しなかったりする場合、弁護士への相談も検討する必要があるでしょう。
退去トラブルに強い弁護士に相談することで、交渉がスムーズにいったり、解決までの期間が短くなったりします。
ただし退去費用の支払いは入居者の義務なため、弁護士に相談した結果、適正な金額に減額できても弁護士費用も併せて支払う必要があります。
結果、高額になる可能性があるため注意が必要です。
なお弁護士への相談は、初回は無料であることも多くあります。
一度相談してみて、弁護士費用の見積もりを確認した上で、依頼するかどうか検討することをおすすめします。
退去費用が払えないときの対処法5選
退去費用が適正であっても、出費が重なっているなどの理由で支払えないこともあるでしょう。
ここでは、退去費用が支払えないときの対処法として、以下の5つを紹介します。
- 分割払いにできないかを相談する
- 家族や友人から借りる
- クレジットカードのキャッシングを利用する
- 消費者金融のカードローンを利用する
- 銀行のカードローンを利用する
1つずつ解説していきます。
①:分割払いにできないかを相談する
退去費用の一括支払いが難しい場合、管理会社や大家に分割払いにできないかを相談してみましょう。
管理会社や大家からしても支払いを放置されるよりは、分割払いでも支払ってもらえる方が良いといえます。
どうしても一括払いでは支払えない場合、一度相談してみることをおすすめします。
②:家族や友人から借りる
家族や友人からお金を借りることも、一つの対処法です。
ただしお金の貸し借りは、人間関係悪化の原因になりやすいといえます。
お金を借りたら返済期日を確実に定め、期日までに必ず返済するといった誠意ある対応の心がけをおすすめします。
家族や友人に相談することに抵抗がある場合は、次に紹介する3つの方法でお金を借りる必要があるでしょう。
退去費用を捻出するには、固定費を見直すことも有効です。
以下の記事は、一人暮らしに向けた内容ですが、格安SIMに切り替えて通信費を見直したり、利用頻度が減ったサブスクを見直したりなど世帯向けにも通用する固定費の見直し方を紹介しています。
ぜひお読みください。
関連記事:一人暮らしの節約に必須!固定費の見直し方を紹介【保険・通信・電気・水道】
③:クレジットカードのキャッシングを利用する【審査必要、即日OK】
クレジットカードを持っている場合、キャッシングを利用することでお金を借りて退去費用に充てることができます。
ただしクレジットカードすべてに、キャッシング枠が付帯しているわけではありません。
まずは自分が保有しているクレジットカードに、キャッシング枠が付帯しているかどうかを確認しましょう。
キャッシング枠が付帯していない場合、次に紹介する「消費者金融」か「銀行カードローン」でお金を借りることをおすすめします。
④:消費者金融のカードローンを利用する【審査必要、即日OK】
事前の審査が必要ですが、消費者金融のカードローンを利用してお金を借りることも一つの方法です。
アイフルやアコム、プロミスといった大手の消費者金融であれば、24時間365日申し込み可能です。
審査も最短20分ほどで完了し、即日お金を借りられます。
初回の利用に限りますが、借入の翌日から30日間は無利息という無利息サービスを展開している消費者金融もあります。
消費者金融の利用が初めてで、無利息サービスの期間で返済できる場合は消費者金融の利用を検討しましょう。
⑤:銀行のカードローンを利用する【審査必要】
消費者金融同様、審査が必要ですが、銀行カードローンを利用してお金を借りる方法もあります。
口座を保有している銀行にカードローンがあれば、利用しやすいでしょう。
なお銀行カードローンは、消費者金融カードローンよりも金利が低めです。
ただし銀行カードローンは、借入までに期間が必要な場合があります。
退去費用の支払いまで猶予がある場合は、金利の低い銀行カードローンの利用を検討しましょう。
以下の記事では、消費者金融や銀行を含めたおすすめのカードローンをニーズ別に紹介しています。
退去費用の捻出にカードローンの利用を考えている場合は、ぜひお読みください。
関連記事:【ニーズ別】カードローンおすすめ8選!選び方から申込方法まで解説
退去費用を抑える4つの方法
退去費用を支払うことは入居者の義務であり、拒否することはできません。
しかし、できれば退去費用を抑えたいと思うことでしょう。
ここでは退去費用を抑える方法として、以下の4つを紹介します。
- 退去前にしっかり清掃する
- 敷金0円の賃貸は選ばない
- 契約時に原状回復に関する特約があるかを確認する
- 入居時に室内をチェックし、傷や汚れがあれば記録する
1つずつ解説していきます。
①:退去前にしっかり清掃する
退去前にしっかり清掃することで、退去費用を抑えられる可能性があります。
筆者の経験を紹介します。
筆者の前職は有休取得に理解があったため、1日~2日程度、引っ越し日を退去日よりも前にして、清掃のために有休を取得したことも多くありました。
新居への引っ越しだけを先に済ませて、旧居に戻り徹底的に清掃したのです。
新居と旧居間の移動と清掃で、心身ともに相当疲労した覚えもあります。
しかし清掃のおかげか、退去費用が想像より高額になった経験はありません。
もちろん、普段からしっかり清掃することも大切です。
こまめに清掃することで、退去前の清掃も楽になることでしょう。
②:敷金0円の賃貸は選ばない【次の転居時に検討】
次の転居時に検討するものですが、敷金0円の賃貸を選ばないことも退去費用を抑える方法です。
敷金0円であれば、入居時には金銭的負担は減ります。
しかし退去費用を全額支払う必要があるため、退去時には金銭的負担が増える可能性が高くなります。
退去時の負担を抑えたいときや、次の転居先を選ぶ際に金銭的に余裕があるときは、敷金0円の賃貸を避けることも検討しましょう。
③:契約時に原状回復に関する特約があるかを確認する【次の転居時に実施】
特約とは、通常の賃貸契約とは別に盛り込まれた特別な契約項目です。
特約は原状回復に関する項目が多く、基本的に大家の裁量で決められます。
契約時には、原状回復に関する特約が記載されているかどうかを確認することが重要です。
原則、貸主負担である経年劣化や通常損耗の修繕費用を借主が負担するなど、不利な内容が記載されている可能性もあります。
契約した後に特約を変更することは非常に難しいため、契約前に交渉する必要があるでしょう。
④:入居時に室内をチェックし、傷や汚れがあれば記録する【次の転居時に実施】
入居時には、室内を入念にチェックしましょう。
傷や汚れがあれば記録し証拠として残しておくことは、退去費用を抑える方法の一つになります。
管理会社によっては、所定のチェックリストを用意しているため、活用しましょう。
筆者の経験を紹介します。
筆者は過去、賃貸入居時に網戸の破損を発見したことがあります。
網戸の破損を確認した後、チェックリストに記入し、写真を添えて管理会社に報告した結果、大家負担で網戸を修繕してもらいました。
筆者の例を挙げましたが、入居時には室内を細かくチェックし、傷や汚れがあれば記録し証拠として残しておくことをおすすめします。
チェックリストが用意されていない場合、国土交通省が公開しているひな形「入退去時の物件状況及び原状回復確認リスト(例)」が活用可能です。
入居時の室内チェックは、退去時のトラブルを避けるとともに退去費用を抑えることにも繋がるため、積極的に実施しましょう。
まとめ
退去費用が請求されたときは、まずは内容を確認することが重要です。
国土交通省ガイドラインなどを用いて、適正な金額であるかどうかを確認します。
内容を見ずにサインすることは、おすすめできません。
適正な退去費用が請求されていても支払いが難しい場合は、分割払いへの交渉やクレジットカードのキャッシング、カードローンの利用も検討しましょう。
退去費用の支払いは、入居者の義務です。
支払いを放置し続けると、裁判を起こされる可能性が高くなります。
この記事を参考に、退去費用に関するトラブルには慎重に対応していきましょう。
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