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同じようなマンションで、パソコンのWi-Fiだけどうも不安定、という経験はないでしょうか。筆者の部屋もそうでした。賃貸の備え付け無料Wi-Fiでスピードテストの下りは142.5Mbps出ているのに、Web会議のときだけ音声と映像が乱れます。そこで思いついて、壁のLAN差し込み口からケーブルを1本引いてみました。この記事は、その前後を測った記録です。何が変わり、何が変わらなかったかを、数値のまま書いておきます。
賃貸のWi-Fiが遅いというより、不安定だったというのが実感です
先に結論を書くと、困っていたのは回線の速度ではなく、通信の安定性でした。数値は在宅ワークに足りているのに、不具合はWeb会議のときだけに集中していました。
スピードテストの数字は、実は悪くありませんでした
切り替え前の備え付けWi-Fiで測った結果は、下り142.5Mbps、上り86.2Mbps。数値だけを見れば「十分に速い」と判断してしまう水準でした。ただし、これはある時点の単回測定であり、常にこの速度が出ていたことを示すものではありません。
それでもWeb会議のときだけ乱れる
一方で、Web会議の最中だけは音声が飛び、映像が止まります。数値と体感が一致しない、もやもやする状態でした。
理由は後になって腑に落ちました。スピードテストは、短い時間にどれだけまとめてデータを流せるかを測ります。対してWeb会議は、少量のデータを途切れさせずに流し続ける通信です。性質が違うため、テストの数値が良くても会議だけ崩れる状況は起こり得ます。
無線区間で何が起きていたか記録してみた
気になって無線区間の状態を記録したところ、電波の強さは概ね良好でした。ところが一時的に再送率が50%を超え、チャネルの使用率が約90%まで上がった記録が残っていました。再送率が高いときは、電波が届いていないというより、電波の取り合いが起きている可能性が考えられます。
ただし、これは筆者の住戸で記録した1例です。特定のチャネルや設備を原因と断定できる材料はなく、備え付けの無料Wi-Fiが一般に遅いという話でもありません。
壁のLAN差し込み口につないだら、数値はここまで変わりました【下り約3.2倍】
有線に替えた結果、スピードテストの数値は下りで約3.2倍、上りで約5.3倍になりました。実際に測った数値です。
切り替え前後の実測データ
| 指標 | Wi-Fi | 有線LAN | 変化 |
|---|---|---|---|
| 下り速度 | 142.5Mbps | 453.748Mbps | 約3.2倍 |
| 上り速度 | 86.2Mbps | 452.676Mbps | 約5.3倍 |
| 待機時の遅延 | 38.5ms | 29.239ms | 約24%短縮 |
(筆者作成)
PC側のリンク速度は1000BASE-Tの全二重と表示されており、インターネット速度は単回測定の結果として約454Mbpsでした。
遅延と、30回pingの損失率
待機時の遅延は38.5msから29.239msへ、約24%短くなりました。遅延は小さいほど応答が速い指標です。
あわせて、有線接続の状態で30回のpingで検査したところ、宅内のゲートウェイ宛て、インターネット宛てのいずれも損失は0%でした。なお、Wi-Fi側で同じ条件の比較を取っていないため、「有線にしたから0%になった」とまでは言えません。
この数字は、こう読んでください
数値が動いたのは確かですが、前提が3つあります。
- いずれも1回ずつの測定であり、時間帯や混雑によって結果は変わります
- 測ったのは下り・上り・待機時の遅延と、30回pingの損失率だけです
- 建物の設備や契約回線が異なれば、同じ倍率にはなりません
そのうえで、大事な点を書いておきます。回線速度が約3.2倍になったことは、仕事の速度が約3.2倍になったことを意味しません。速度が効くのは、作業のうち通信を待っている部分だけです。
変わりそうな作業と、たぶん変わらない作業
有線にして変わりそうな作業と、ほとんど関係のない作業ははっきり分かれます。ここから先はスピードテストの実測値をもとにした見込みで、作業ごとの所要時間は計測していません。根拠のラベルを分けて整理します。
| 作業 | 期待できる度合い | 根拠 |
|---|---|---|
| 大容量ファイルの送受信 | 大 | 速度実測からの推定 |
| Web会議 | 大 | 推定 |
| ツールを使うAI作業 | 中 | 推定 |
| 通常のAI文章応答 | 小 | 推定 |
| Word・Finderなどの手元の作業 | なし | 対象外 |
(筆者作成)
速度の実測値から短縮が見込めるもの
いちばん見込みが立つのは、大容量ファイルの送受信です。上りが約5.3倍、下りが約3.2倍という実測値が出ているため、同じファイルなら送受信を待つ時間の短縮が見込まれます。
ただし、これは速度の数値からの推定です。転送そのものの所要時間は計測していないため、「何分が何分になった」という数字は出せません。
改善を期待しているもの
Web会議については、安定化が期待できると考えています。有線接続であれば、先ほどの無線区間の再送や電波の取り合いをそもそも通らないためです。
ただし、切り替えた後の長時間の会議はまだ検証できていません。現時点で「途切れが解消した」とは書けない状態で、次回の会議で確認します。品質は回線以外の要因でも変わるため、切り分け方は公式ヘルプが参考になります。
出典:Google Meet の動画と音声の品質に関するトラブルシューティング
有線にしても、どうにもならない部分
一方で、有線LANでは届かない範囲もあります。改善できるのは、宅内の機器から壁の差し込み口までの区間だけです。建物全体で回線を共有していることによる混雑や、回線事業者側の遅延までは変えられません。
もうひとつ、有線にしただけで通信の安全性が確保されるわけでもありません。在宅で仕事をするなら、通信の経路とは別に端末やアカウントの対策が必要です。
関連記事:フリーランスのセキュリティ対策7選!リスクと対策費用を徹底解説
賃貸のため、壁に穴は開けずにやりました
壁に有線LANの差し込み口はあったものの、仕事用のPCは離れた別の部屋にあります。穴を開けずに配線するため、距離を測って長いケーブルを1本用意する方法を選びました。
壁の差し込み口からPCまで、どう引くか
賃貸で配線するときの前提は原状回復です。穴を開ける方法は取れないため、壁際や巾木沿いにケーブルを沿わせる方針にしました。固定にはがせるコードクリップを使う、床を横切る箇所だけをケーブルカバーで保護する、といった選択肢もあります。いずれも下地や床材の条件が製品ごとに異なるため、製品の表示と原状回復条件を確認してください。
長さは「実際の経路+余裕」で決める
長さは、直線距離ではなく実際に通す経路で決めます。筆者の場合、壁際を回って家具を避けた配線距離は10m強でした。そこに余裕を持たせ、床やドアのすき間を通しやすい15mのフラットタイプを選んでいます。張った状態は端子に負担がかかり、引っかける危険もあります。
長くてもCat6で足りた理由
選んだのは、サンワサプライのCat6対応LANケーブル(フラット・15m・ホワイト)です。配線が長いと上位規格が必要に思えますが、今回の環境ではCat6で必要十分でした。
理由は、この配線に通っている速度です。PC側のリンク速度は1Gbps、実測したインターネット速度は単回測定で約454Mbps。Cat6はギガビットに対応しており、15mの配線でケーブルが上限になっている状態ではありません。
ただし、Cat6A・Cat7・Cat8に意味がないという話ではありません。宅内のLANを10Gbpsへ更新する予定がある、業務上の規格指定があるといった場合は、上位規格を検討する意味があります。逆に、建物側の設備や回線、PC側のポートが1Gbpsのままなら、規格を上げても速度は自動的に上がりません。
かかったのはケーブル代だけ。何か月で元が取れるか
今回かかったのは、LANケーブル1本の代金だけです。月々の支払いは増えていません。
月額は増えていません
費用の内訳は次のとおりです。
- 回線契約の追加:なし
- ルーターの買い替え:なし
- LANケーブル:購入履歴上の商品表示額は2,200円
ポイントやクーポン、送料を含めた最終的な負担額は確認していないため、ここでは購入履歴に表示されていた商品価格だけを載せています。価格は変動するため、購入する場合はその時点の金額を確認してください。
削減できた時間別の回収シミュレーション
導入費を時間の価値に換算すると、回収の目安を計算できます。
回収月数 = 導入総額 ÷(1時間あたりの時間価値 × 1か月に減らせた待ち時間)
導入総額を2,200円、時間の価値を1時間あたり2,000円と仮定すると、目安は次のようになります。
| 1か月の削減時間 | 金額換算 | 回収の目安 |
|---|---|---|
| 15分 | 500円/月 | 4.4か月 |
| 30分 | 1,000円/月 | 2.2か月 |
| 60分 | 2,000円/月 | 1.1か月 |
(筆者作成)
固定用品や送料を加えれば、回収期間は延びます。
この試算に入れていないもの
この表は仮定にもとづく試算であり、筆者の実際の収入や、測定した生産性を示すものではありません。時間の価値をいくらに置くかで結果は変わります。
対象にしているのは、通信が原因で発生していた待ち時間だけです。会議の再接続、聞き直し、ファイルの送信待ちなどです。反対に、AIが文章を生成している時間や、Wordなど手元のアプリで処理している時間は含めていません。回線を使わない処理は、有線化しても変わらないためです。
まとめ:賃貸のWi-Fiが遅い・不安定なら、まずケーブル1本から試そう
同じようなマンションでパソコンのWi-Fiが不安定だと感じているなら、原因は速度不足ではないかもしれません。筆者の場合、壁の差し込み口へつなぎ替えると、単回測定で下りは約3.2倍、上りは約5.3倍、待機時の遅延は約24%短くなりました。
ただし、これは1つの住戸で1回ずつ測った結果であり、同じ結果を保証するものではありません。回線速度の倍率が、そのまま仕事の速度の倍率になるわけでもありません。
それでも、思いつきで試すには手ごろな部類だと思っています。まずは部屋の壁に差し込み口があるかを確認し、あればPCまでの経路の距離を測ってみてください。
なお、有線接続後の長時間のWeb会議はまだ検証できていません。次回の会議で、途切れ・音声・映像・再接続の有無を確認し、この記事へ追記します。
